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もっと身近に!開かれたファッションの世界へ。Rakuten Fashion Week TOKYO

 もう楽天が冠スポンサーになって、もう4年ほど、経過するのか。僕は「Rakuten Fashion Week TOKYO」の会見に来ていた。同イベントは、3月11日から16日まで開催されるもので、ファッションの裾野を広げようというもの。思えば、発表したのは、コロナ禍に入る直前で、楽天ブランドアベニューが、楽天ファッションへと変わった時期でもある。それが、今や彼らの経済圏構想の要となり、双方、業界と彼らウィンウィンで、ファッションを盛り上げていく。イベント自体の概要を含めて、その中身に迫りたいと思う。

リアル回帰でファッションの本領発揮

 主催の一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構は、それまでのファッション業界との強いパイプを持っている。だからこそ、アパレルなどに代表されるファッションのフィジカルの価値を最大化させる。このようなイベントを開催しているのは、もっと身近に感じてもらえるようにするためだ。

 テーマは、「Open Fashion Week」であり、コロナ禍の終焉を迎え、よりオープンにいこうということで、ここから本領発揮か。主に、表参道や渋谷の拠点で、合計43ブランドが堂々参加。

 例えば、HIDESIGN は、ユニフォームを起点にファッションに昇華して、実験的な発表を重ねてきたブランド。そのランウェイショーを行い、その先進的な視点を打ち出す。感度の高いそのデザインセンスは、これまで、ユニフォームの既成概念を打破してきた。ファッション好きは勿論、普段、関わりがない人こそ、その可能性に酔いしれてほしいと説く。

 また、「JFW NEXT BRAND AWARD (2024年度)」を受賞したKANAKO SAKAIもショーを行い。そちらはそちらで、この場所を起点に巣立っていくブランドの今も体感できるに違いない。同ブランドは、いまやプルミエール・ヴィジョン・パリショーから招聘されるなどの活躍ぶりで、注目である。

マリメッコを通してファッションを輝かせる

 また、冠スポンサーである楽天は「by R」を通じて参加をしていく。「by R」の狙いは、日本のファッションシーンをエンパワーメントしていくこと。彼らが関わる理由は自身がリテーラーであり、そこでの発展は、大元である日本のブランド自体が活気付くべきだと考えているからだ。

 今年は、誰もが知る「Marimekko(マリメッコ)」とコラボをして、ランウェイショーを行うことを明らかにした。特に、同ブランドでは、その代名詞である「Unikko」柄が、誕生60周年。それを契機に、ファッションの中に取り入れて、ショーを行うというわけなのだ。

 また、当然、彼らの本業である、モールの「楽天ファッション」とも連携を密に、当日は無料でショーの様子をライブ配信していく。また、限定商品の販売も予定している他、クリエイティブディレクターのレベッカ・ベイさんのインタビューも配信予定であるとか。

楽天、その編集力で、ファッションをもっと身近に

 彼らの姿勢は、それぞれの年ごとの違いをみれば、よくわかる。今まで、新進気鋭のブランドに光を当てていたのは、コロナ禍だから。制限される世の中で、道を示すためにそうしていたわけだ。一方で、開かれた今の時代では、よりより多くの人がファッションを身近に感じてもらえる企画は何かと考えた先に、同企画にたどり着く。

 元々、マリメッコとは取引先ではあったけど、ファッションの盛り上げに寄与してもらうべく、今回のコラボが企画されたわけである。つまり、彼らはプラットフォーマーとして、すでに色々なブランドとも関係がある。けれど、ただ名前を掲げるだけではなく、その時々で、その立場に基づき、ファッションを“編集”していくことで、自らと関係するブランドの価値を上げていくのである。

デジタルの可能性を取り込むことで広がる未来

 改めて、「Rakuten Fashion Week TOKYO」では、それ以外にも様々な演出が用意されている。特に時代を思わせるのは、キービジュアルにもAIを用いていることだ。先ほどのテーマに基づき、「開放」を表現し、自然環境が衣服を通じて、幸せを提供するというイメージを訴求。その動画は、クリエティブディレクターの声を取り入れつつ、全て生成AIで具現化されているのだ。

 また、そこにとどまらず、TOKYO AI Fashion Weekと題して、ファッションをAIを使ってより良く活用できる機会を模索していく。具体的には、コンテスト、エキシビジョン、セミナーの三つの側面からアプローチして、ファッションの進化を模索するわけだ。フィジカルの価値を思わせながらも、それを、デジタルの時代背景でどう最大化させるかというのは、これからの重要な要素になりそう。

身近に感じてもらえるためのあらゆる工夫

 ファッションというと、とかく、ハイソなイメージが伴う。だが、そうではないのかもしれない。彼らの主張には、これらのイベントを通して、これまで以上に、ファッションを身近に感じていたいという思いを感じた。だから、そうなるための工夫も惜しまない。

 例えば、メディアの「WWD」や「FASHIONSNAP」との連携企画のほか、「Denim Run TOKYO」を開催。「Denim Run TOKYO」は「Tweed Run TOKYO」とのコラボであり、広島県福山市デニム産地の協力を得て、自転車でデニムの服を着用して駆け巡るというものである。

 改めて、ファッションの魅力ってなんだろう。

 身につける衣装ひとつで、人は元気づけられることだ。それは皆が共通して、得られるべき幸せな体験である。ごく一部の人にだけ、好まれるなんて、勿体無い。だからこそ、リアルとデジタルの両面で、もっと身近にそれを楽しめる文化を広めていこうという考えには共感する。フィジカルな訴えは、デジタルを取り込みながら、身近なものへ。ファッションに対してのイメージが、ここから変わっていく。

 今日はこの辺で。