20周年は通過点。makeshopは讃えあい、そしてNEXTを見据えて
様々な視点でECは進化し、色々な側面からのアップデートが必要となっています。改めて、既存の枠組みや常識にとらわれず、変わっていかなければならないということでしょう。「NEXT〜ECの未来をともに築く〜」というサブタイトルの通り、「makeshop Day TOKYO」は、自身の20周年を祝うとともに、未来を提示する内容でした。
1.メイクショップ20周年とAmazonとのパートナーシップ
・その道のりと意義
まず、僕が目にしたのは、GMOメイクショップ自体の進化とパートナーの力の結集です。僕が足を運んだときには、まず、その“パートナー”の力強さを感じました。それが、Amazon Japanの永田さんの講演でした。
永田さんは、Amazon Payがmakeshopと共に成長してきた経緯を振り返り、特に2016年からmakeshopがAmazon Payを導入して以降、利用者にとって大きな安心と利便性を提供してきたことを強調しました。
そもそも、Amazon Payの魅力はどこにあるのでしょうか。永田さんはAmazon Payについて、「簡単・便利・安心」の3つのポイントで説明していました。Amazonアカウントを使用することで、ECサイトでのログインや支払いが迅速に完了し、顧客が入力の手間を省けるためです。
その結果、購入完了までの手順が大幅に簡略化され、さらにAmazonのマーケットプレイス保証が適用されるため、消費者は安心して買い物ができる環境が整っています。
・Amazon Payの導入事例と利用者の反応
次に、導入事例をもとに成果についても言及。Amazon Payの導入によって、何が大きいかと言えば、特に初めての顧客に対する購入ハードルを下げること。
つまり、自社ECは様々あり、その店舗の認知度に関係なく、新規会員の登録数やコンバージョンレートが向上しているという事実は大きい。導入後に新規顧客が約2.4倍に増加したという店舗も存在しているのです。
さらに、Amazon Payが活用されるフィールドは多岐にわたって広がっていて、リアルにも。最近では、コカ・コーラの自動販売機のQRコード決済機能において、Amazon Payを利用した決済が可能になっています。身近になる程、更に、Amazon Payとしての信用が増しているのです。
2.次世代開発プロジェクトの概要
・カバーする範囲の拡大
続いては、GMOメイクショップ自らの変貌。彼らからの情報共有でした。最近、メイクショップは「次世代開発プロジェクト」を進めており、その進捗と展望について語られたのです。
このプロジェクトの中心は、インフラの更新とより柔軟なシステム構築を可能にするための技術的アップデートになります。若干風向きが変わっているのは、スタートアップから年商100億円規模の企業まで、より幅広いニーズに対応することを意図している点。
2022年からGMOクラウドECもGMOメイクショップ社で扱われ、それらを一体で捉え、アップデートすることで、世の中の変化に迅速に対応しようとしているのです。これにより、makeshopのメインとなる年商10億円程度の企業だけではなく、100億円規模の企業にまで対応させようとしているわけですね。
・主な機能と改善
今年の主なリリースとしては、スマートチェックアウト機能の導入が挙げられます。これは、最短2クリックで決済を完了できるシステムで、今後のアップデートでさらに簡素化される予定です。また、LINE ID連携やYouTubeショッピングとの連携など、CRMとの統合強化も進められ、マーケティングの効率化が期待されています。
一方で、GMOクラウドECでは新たな機能を続々とリリースしており、これを活用することで、カスタマイズ性の高いECサイトの構築が可能になります。変化としては、メイクショップと同様に、デザインや機能を自由に変更できるようになってきたこと。検索エンジンの最適化やオークション形式の販売機能の追加により、より多様なビジネスモデルに対応しています。その進化の速度が加速している印象を受けました。
・モバイルを重視した今後の展望
今後の展望としては、モバイルが主なステージになるだろうということです。それに備えて、モバイルアプリの提供が予定されています。そして、売り方の多様性を求めて、無在庫販売システムの導入も計画されています。
彼らが今回のメインテーマにしている部分でもあるけど、エンゲージメントをたかめるために、CRM機能の充実を約束し、オンデマンド印刷連携など、顧客体験の向上も合わせて目指していくとのことでした。
3.塚田農場プラスの成長戦略と成功の秘訣—ECと宅配弁当市場の未来
・事業に新たな活路をもたらす自社EC
また、makeshopの仕組みがより多様性を持っていて、その意味では、BtoB向けのお弁当宅配の「塚田農場」の事例は興味深い内容でした。塚田農場プラスは、居酒屋事業を中心に展開してきたAPホールディングスから派生し、宅配弁当のECサイト「お弁当ラボ」を立ち上げました。
特に、法人向けに宅配弁当事業を展開し、2014年から本格的にこの分野に参入。これら事業の背景には、6次産業化を推進し、食産業全体の価値を高めるというミッションが存在していたのです。
・ターゲティングの成功—MR市場での快進撃
ある意味、未知数なチャレンジでした。彼らはその中で、どうやって道を切り開いたのかというと、徹底的なターゲット設定です。当初は、製薬会社の営業マンであるMR(医薬情報担当者)向けの高単価弁当に特化したことで、市場参入に成功しました。このニッチな市場での戦略的なポジショニングが、短期間で年商3億円にまで成長させました。直接のECサイト経由で利益率を向上させる工夫が功を奏した例です。
・ロケ弁市場への挑戦と成長
事業としてはそこに甘んじることなく、他ジャンルへの進出を模索。次に、塚田農場プラスが参入したのは、ロケ弁市場でした。テレビ局や制作会社への弁当提供を通じて認知度を広げ、芸能人やスタッフからの支持を獲得したのです。
これらの取引先は、自ら電話をして足で稼いで、最終的にECを活用してもらうやり方で、独特です。しかも、彼らは自らで工場を持っていたので、それらの弁当をまとまった数量用意できるという意味で、他の弁当屋にはない差別化要因を持っていました。 このマーケットはニッチながらも、安定した注文が期待でき、さらにSNSを通じてブランドの露出が増加。ウェブマーケティングだけでなく、直接営業の重要性が示されました。
・ブランドの拡大とチャネルミックスの戦略
更に、塚田農場プラスは、駅ナカ店舗への出店を通じて、一般消費者にも宅配弁当事業をアピールしました。この戦略は、BtoBでやってきたお弁当事業の販促目的でありながら、結果的にECサイトへの流入を促進。ブランド認知度を高める効果を生み出し、一般消費者にも広がっています。
今後、塚田農場プラスは「塚田農場」というブランドのシナジーをさらに活用し、ファンマーケティングを強化していく予定。APホールディングスが展開する他のブランドとも連携し、ECとリアル店舗の両方でファンを循環させる仕組みを構築するといいます。ファンコミュニティ「寄せ鍋」を通じて、グループ全体のブランド価値を高める計画を明らかにしました。
塚田農場プラスの成功を見る限り、新しいマーケットに自社ECが一役買っていること。その上で、ターゲティングの巧みさと、ECとリアルの融合によるマーケティング戦略に支えられて、結果を出しているのは、参考になる話ではないかと思います。
4.メイクショップアワード2024—受賞企業が輝いた感動の授賞式
そして、この日に合わせて、メイクショップアワードと題した授賞式も行われ、関係各社の優秀な企業が表彰されました。
伝統と新たな風が交わる—レジェンド賞
授賞式の幕開けは、長年にわたり関東地方のEC業界を牽引し続けた「盲導犬総合支援センター」へのレジェンド賞の授与で始まりました。同センターは、チャリティーグッズの販売を通じて視覚障害者や盲導犬の育成支援に尽力してきました。受賞スピーチでは、今後も盲導犬への支援と知名度向上に貢献していく決意が語られ、盛大な拍手が会場を包みました。
革新と共に歩むパートナー—パートナー賞
次に発表されたパートナー賞は、株式会社これからが受賞しました。自社ECサイトの売上アップに特化した、制作からコンサルティング・Webマーケティングを行っています。受賞スピーチでは、長年の協力関係に感謝の言葉が述べられ、ともに寄り添って成長してきた彼ららしく、今後も更なる協力と進化を約束しました。会場全体が拍手に包まれ、パートナーシップの強さが強調されました。
技術力と成長を誇る—エキスパート賞
エキスパート賞は、株式会社ベストワンが受賞しました。太陽光パネルブランド「ソーラーオフ」を展開しています。同社は、メイクショップの機能を熟知し、長年にわたり信頼性の高いサービスを提供してきました。設立10周年を迎え、これまで受賞経験がなかったため、今回の受賞はスタッフ全員にとって特別な瞬間となりました。今後もさらに成長し、長く活躍する姿勢を表明し、会場からは祝福の声が上がりました。
最高の栄誉—グランプリ
最後に発表されたのは、メイクショップアワードTOKYO 2024のグランプリです。この栄えある賞は、エクスプロージョン合同会社が受賞しました。プロテインやスポーツサプリメントを提供する企業で、正しい体作りを支援することを掲げています。彼らは日本の若者に向けたプロテイン販売で圧倒的な支持を得ており、特に集客力を強みに、売上で勢いづき、実績を積み上げました。受賞者である大谷憲弘氏は、名だたる数多くの店舗の頂点に立った喜びを語り、大きな拍手に包まれました。
実績を讃え未来を語り、ともに歩んでいく
改めて、様々な視点でECは進化し、また、その中で着実に色々な店舗が躍進していることを確認できました。ただ、これもまた、まだ通過点に過ぎないのかもしれません。あらゆる側面からのアップデートが必要であることが、同時に分かったからです。彼らのセミナー内容からも実感できたのではないでしょうか。そして、色々な業種がECによって、さらに、その裾野を広げていくことになれば、文字通り“NEXT”がありそうです。
改めて、makeshopの20年の栄光を讃えつつ、彼らが引き続き、新しいShopのありようを提示して、率先して時代をMakeしていくことを祈っています。西井さんの記事とともに、この記事を彼らの祝福にかえて。おめでとうございます。
今日はこの辺で。
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