ネット通販が“リアル”に近づく――楽天の中古品ビデオ通話接客と今後の展望
1. ネット環境の変化と“リアル”との融合
これまでインターネット通販といえば、サイト上で商品を探してカートに入れ、購入手続きをする――という無機質なプロセスが主流でした。しかし近年、ビデオ通話などの新たな接客手段を活用し、ネットとリアルが融合する動きが加速しています。コロナ禍を経て、接触を敬遠する消費者ニーズも高まったことで、“実店舗に近い接客”をオンラインで体験できる環境が整いつつあります。
2. 楽天が始めた中古品のビデオ通話接客
そんな変化の一例として、楽天株式会社は「楽天市場」に出店する中古品取り扱い店舗において、ビデオ通話システムを使ったオンライン接客サービスを導入しました。まずは以下の4店舗が対象となっています。
- • キングラム 楽天市場店
- • GINZA RASIN 楽天市場店
- • バイセルオンライン 楽天市場店
- • ロデオドライブ 楽天市場店
利用者は「楽天市場」のショップページや商品ページから事前に日時を予約し、ビデオ通話で店員に直接質問したり、商品の状態を確認したりできます。
さらに、中古品の宅配買取サービス「楽天買取」でも、2店舗を対象にビデオ通話を通じたオンライン査定サービス「ビデオ通話査定」を開始。利用者は自宅で商品を見せながら査定を受けられるため、査定のハードルも下がり、双方にメリットが生まれます。
3. 中古品取引における“リアル接客”の意義
中古品は新品と違い、商品の状態や付属品の有無など、購入前に細かな確認事項が多くなりがちです。ビデオ通話を活用すれば、購入希望者はその場で質問や要望を伝えられ、販売側も商品の状態をより正確にアピールできます。結果として、取引に対する安心感が高まり、サービスの質を向上させることが可能となります。
4. 今後の展望:5G時代と新たな接客スタイル
高速通信が可能になる5Gが普及すれば、ビデオ通話はさらに滑らかで高画質なものへと進化します。そうなればネット通販における“リアル接客”はより身近になり、商品の魅力を多面的に伝えられるようになるでしょう。
ネットとリアルがそれぞれ持つ強みを活かし、消費者にとって最適な購買体験を提供する――これはコロナ禍の一過性の動きではなく、今後の通販ビジネスにおける重要なトレンドといえます。楽天が取り組みを開始したことをきっかけに、今後さらに多くの企業がチャレンジしていく可能性が十分に考えられます。
まとめると、ビデオ通話システムを活用したオンライン接客は、ネット通販を“リアル”に近づける手段として急速に浸透しつつあります。中古品のように状態確認が欠かせない商品ジャンルで特に効果を発揮するほか、ファッションなどスタッフの個性を活かせる領域でも注目されています。5G時代を見据えて、この動きはますます活発化していくと考えられるでしょう。