ZOZOSUIT 2――ファッションと革新、その挑戦は終わらない
「何もないところに新たな何かを生み出すにはリスクが伴う。だからこそ挑戦は、人の心を高鳴らせる」――失敗を恐れず新しい可能性を追求する“ZOZOイズム”が、ここに再び花開く。前澤友作氏の退任から約一年、株式会社ZOZOは“より精緻な身体3Dモデルの生成”を可能にする3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT 2」を発表した。
1.ZOZOイズムは消えていなかった
旧ZOZOSUITによって多くの注目を集めたものの、静かに配布終了を迎えた後、「もしかして挑戦は終わりか」と思わせた時期もあった。しかし実際には、ZOZOはさらなる進化の機会をうかがっていたのだ。
旧ZOZOSUITで得た100万件以上の体型データは、現在もZOZOTOWNの「マルチサイズ」などに活用されている。つまり、彼らが培ったノウハウやデータはまだ活き続けており、今回のZOZOSUIT 2は、その積み上げの成果として誕生した新たな挑戦といえる。
2.「ZOZOSUIT 2」は何が違うのか?
旧ZOZOSUITは、ドットマーカーを全身に配置し、スマートフォンのカメラで360度撮影することで身体を計測する画期的なツールだった。今回のZOZOSUIT 2では、その基本的な計測方法の手軽さを維持しつつも、デザインやアルゴリズムを大幅に改善し、より高精度な身体3Dモデルの生成を可能にしている。
2-1.3Dレーザースキャナー級の高精度
3Dスキャナーのような専用機器を必要とせず、スマホだけで3D計測できる手軽さが大きな特長だ。しかも、その平均誤差は3.7mmと、3Dレーザースキャナーと比較しても遜色のない高精度を実現している。
3.3つの進化ポイント
ZOZOSUIT 2が高精度を実現している理由を、主に3つのポイントで見てみよう。
3-1.マーカー数の飛躍的増加
- • 旧ZOZOSUIT: 約400個
- • ZOZOSUIT 2: 平均20,000個(サイズによって変動)
マーカー数が約50倍に増加したことで、スマートフォンのカメラで読み取れる情報量が大幅に向上。これにより、身体の曲線や細部まで、より細やかな計測が可能となった。
3-2.マーカーのデザイン変更
- • 旧ZOZOSUIT: 認識対象2mmのドット
- • ZOZOSUIT 2: 認識対象6mmのマーカー
マーカーの大きさを変更することでカメラの認識率が上がり、計測精度もさらに向上。スマートフォンでも多くのマーカーを確実にとらえることができるようになった。
3-3.アルゴリズムの大幅改善
撮影中に発生するわずかな動きや、身体の輪郭情報を組み合わせて補正する新技術を導入。これにより、より精緻な3Dモデル生成が可能になっている。
4.広がる活用領域――スポーツ、医療、エンタメへ
高精度な身体データは、ファッションの枠を超えて多方面での活用が期待される。
- • スポーツウェア・アンダーウェア開発:正確なデータをもとにしたより快適なフィット感の実現
- • フィットネス・ヘルスケア・予防医療:身体変化の可視化や健康管理に役立つ
- • ゲーム・エンタメ:キャラクター作成やバーチャルアバターの精度向上
スマホで誰でも気軽に行える計測だからこそ、さまざまな業界に新たなイノベーションが期待できる。
5.パートナー募集――「ZOZOMAT」との相乗効果
ZOZOSUIT 2と並び、足の3D計測に特化した「ZOZOMAT」も注目を集めている。
- • 平均誤差1.4mmという高精度
- • 配布開始から3ヶ月で計測者数100万人を突破
- • 「ZOZOSHOES」での靴のサイズ推奨に活用中
ZOZOは、この3D計測技術を活かした新たなサービス創出に向け、パートナー企業を募集している。ファッションのみならず、他業界との連携による新たなビジネスチャンスを模索しようというわけだ。
6.挑戦は続く――失われないZOZOイズム
旧ZOZOSUITで注目を浴び、その後“終わったかに見えた”ZOZOの挑戦は、実は着実に進化を遂げていた。計画通りにいかないからこそ面白い。リスクを恐れず、新たなものを創り出すチャレンジ精神があるからこそ、私たちはワクワクを感じられる。
ZOZOの由来どおり、“想像と創造”を繰り返す彼らの姿勢が今後も失われることなく、私たちに感動を与え続けてくれることを期待したい。
「ZOZOSUIT 2」の登場は、単にファッションの枠を超え、さまざまな分野にイノベーションをもたらす可能性を秘めている。革新的な取り組みを通じて生まれるワクワク感は、まさにZOZOイズムそのもの。どんな未来を切り拓いていくのか、これからの動向に要注目だ。