自然への想いと心の豊かさを醸成する麻布台ヒルズ「SUMMER GARDEN」
実は、小さな畑がここにあるんです。その言葉は、カルティエなどのお店が並ぶ、都会の真ん中、麻布台ヒルズで聞くから面白い。このおしゃれで洗練されたこの場所のどこに、そんな畑があるのだろう。まずはそこからだった。森ビルは、麻布台ヒルズで「SUMMER GARDEN」という催しを開催することを発表し、ハーブなどを使ったこだわりのフードやドリンクを9月1日まで提供している。
自然を重んじるレシピ
東京・調布のMarutaというレストランの協力を得て、同イベントで誕生したレシピは、自然を重んじるもの。そもそもMarutaは、ローカルファーストを謳って、調布に根付いた生産物を使ったメニューを展開しており、価値をまだ見出しきれていない食材なども積極的に、料理の中に取り入れるチャレンジャーである。
なぜ、森ビルは彼らに声をかけているのかというのもみそであり、それは最初の話に戻る。高級なブランドなどが多く入るこの場所に、実は、小さな畑があって、実際に栽培をしているのである。普段は、見せていないその畑ではあるけど、見てみたいと伝えると、案内をしてくれた。
中央広場はそもそも、緑があり、川も流れていて、都会の地のオアシスといった風。とはいえ、それはパフォーマンスではないのだ。
丘の上でしっかり栽培している
こちらですと連れて行かれたのが、丘のような高いところだった。へぇ、こんなところがあったのか。
「実は、植物などが育つのは、傾斜があるところ。それは平面よりも、太陽の光が満遍なく当たるからなんですよ」。そう説明を受けて、はからずも自然の偉大さを思う。生き物にとってベストな設計が、自然には備わっている。
「あ、これがフェンネルですか?」「そうですそうです」
この日、僕がMarutaのスタッフの方から教えられたのがフェンネルだった。「SUMMER GARDEN」で、僕がこの日、いただいたのが「きゅうりとフェンネルのシロップ」という飲み物。Marutaのスタッフによれば、きゅうりをそのまま入れているのだとか。シロップと掛け合わせているから、ジュース感覚。野菜という実感がないのが流石だ。その特徴的なきゅうりの味わいに、一緒に上品に添えられ、香りと風味を作り出していたのが、「フェンネル」なのだ。
手前の緑色の飲み物が「きゅうりとフェンネルのシロップ」。アクセントとして添えられているのが「フェンネル」だ。
自らの姿勢を通して来場者に豊かさを還元する森ビル
つまり、「SUMMER GARDEN」は、森ビルが、その場で栽培している植物を、専門家であるMarutaの声を元に、最大化させて、自らの姿勢と共に、来場者に安らぎをもたらそうとしているわけである。飲み物以外にも、ハーブと野草のグリーンカレー、ローズマリーとアンチョビのポテトフライなどもある。
特に、この日は猛暑であり、そこで体を芯まで冷やしてくれるのはかき氷。とはいえ、まさに文化を醸成するこの地らしく、アーティスティックである。
帰りがけ、麻布台ヒルズのアートミュージアムなどを見ながら、かき氷のアーティスティックな表現もまた、彼ららしい一面だと思った。完成してから、約1年ほどだが、その歩みは、この植物の成長のように前へ前へ。人々にとって、過ごしやすい空間づくりにこだわる森ビルの街づくりの動きは現在進行形である。
今日はこの辺で。
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