「たまごっちは人生」——ゆりやんの言葉から見えた、大人になっても愛着が続く理由
「たまごっちは人生」。そんな言葉が、思いがけないほどの実感を伴って響いたのが、2026年11月6日、東急プラザ原宿「ハラカド」で開かれた「超たまごっち祭」のメディア向けお披露目会でした。登壇したゆりやんレトリィバァさんが語ったのは、幼い頃の憧れや、育てたたまごっちの振る舞いを見つめる楽しさです。11月23日に30周年を迎えるたまごっちは、なぜ大人になっても気になる存在なのでしょうか。翌7日から始まるイベント「超たまごっち祭」を、ゆりやんさんの言葉に表れた「愛着の理由」からたどります。
1.失恋したら、家で泣く。その小さな姿に人生が重なる
トークの途中、ゆりやんさんは、たまごっちの結婚について話し始めました。街に出かけ、気になる相手と仲良くなり、指輪を用意してプロポーズする。これまで遊んできたたまごっちの楽しさを説明するうちに、話は、そのプロポーズがうまくいかなかった時の反応へと進みます。
「笑うんですよ。その場で笑うんです。『あれ、残念がらへんねや』って思ったら、家に帰って泣くんです。ほんで、その指輪を捨てるんです。本当の人生じゃないですか」
その場では笑い、家に帰ってから泣いてしまう。そんな振る舞いを、ゆりやんさんは細かく覚えていました。画面の中の出来事を語っているのに、まるで身近な誰かの失恋話を聞いているようです。
ここに、たまごっちとの距離がぐっと縮まる瞬間があります。笑う姿を見て、一度は「残念ではないのかな」と思う。ところが、帰宅後の姿を見て、その気持ちを考え直す。プレーヤーは操作をしながら、相手の表情や行動に目を向け、そこにある感情を想像しているのです。
「たまごっちは人生」という言葉は、そうした実感から出てきたのでしょう。小さなキャラクターが経験する出来事に、人間にも覚えのある気持ちが重なります。だからこそ、自分が育てている存在の様子を、つい気にかけてしまうのかもしれません。たまごっちに起きた出来事が、遊んだ人にとっても、誰かに話したくなるエピソードになっていくのです。
子どもの頃は、成長する姿や見た目の変化を楽しんでいた人も、大人になれば、この失恋の場面を違う気持ちで受け取れそうです。遊ぶ人が人生経験を重ねることで、画面の中から読み取るものも増えていく。ゆりやんさんの話は、大人になってから出会い直すたまごっちにも、楽しさがあることを教えてくれました。
2.歴代のたまごっちを見て、よみがえるのは自分の時間
その愛着は、ゆりやんさん自身の歩みとも結びついています。初代たまごっちが登場した1996年、ゆりやんさんは6歳でした。大人気でなかなか手に入らず、住んでいた地域では、どこで売っているのかもわからない。それでも、どうしても欲しくて、憧れが募っていったと振り返ります。
初めて買ってもらったのは「てんしっちのたまごっち」でした。この日、首から下げていたものと同じ色だったそうです。初めてお世話をすることが、本当にうれしく、楽しかった。その記憶を語る言葉からは、待ち望んだ相手がようやく自分のところに来た喜びが伝わってきます。
好きな気持ちは、小さな画面の外にも広がっていました。大好きなまめっちを、小学校の夏休みの宿題で、紙粘土の貯金箱にしたこともあったそうです。自分の手で形にしたくなるほど、たまごっちは暮らしの中で身近な存在になっていました。
会場には、歴代のたまごっちデバイスを振り返る展示が用意されています。事前に見て回ったゆりやんさんは、欲しかった頃の気持ち、買ってもらったこと、たまごっちと一緒に生活していた時の思い出が「ありありと思い出されて」と話しました。
歴代の商品が並ぶ場所で、一人の遊び手が思い出すのは、自分がその商品と過ごした時間です。機種の名前や本体の色が、当時の暮らしを思い出すきっかけになる。製品の30年という歴史には、遊んだ人それぞれの記憶も重なっています。
しかも、ゆりやんさんの話には、その後の「たまごっちみーつ」や「Tamagotchi Uni」など、さまざまな機種の名前が次々に登場しました。幼い頃の憧れが、その後も新しいたまごっちと出会う楽しみへとつながっている。その積み重ねが、この日の言葉に厚みを与えていました。
3.宇宙から細胞まで。進化が広げる、お世話の楽しさ
長く遊んできたからこそ、ゆりやんさんは、たまごっちの変化にも敏感です。画面がカラーになり、通信ができるようになるなど、遊び方が広がってきたことを振り返りながら、「Tamagotchi Paradise」については「宇宙の視点から細胞まで」と、そのスケールを表現しました。
「たまごっちと触れ合えることとか、たまごっちがやってくれることがめっちゃ増えていて、説明に言葉が及ばないほど楽しいです」
この言葉の面白さは、新しい機能を、たまごっちと関われることが増えた喜びとして語っている点にあります。何ができるようになったかと同時に、その先で、どんな姿に出会えるのかが楽しみなのです。
「Tamagotchi Paradise」では、ズームダイヤルを回すことで、宇宙から細胞まで視点を変えながらお世話ができます。さらに11月21日発売の「Tamagotchi Paradise – Neon Planets」には、「たまギャラクシー」と、複数の惑星を切り替えて遊べる機能が加わります。懐かしのたまごっちを育てられる惑星も登場します。
遠くから世界全体を眺めたり、小さな存在へぐっと近づいたりする。その操作には、もっと知りたい、別のところも見てみたいという好奇心を動かす余地があります。視点が変われば、お世話をする相手の見え方も変わる。新しい技術や仕組みが、たまごっちに関心を向ける入口を増やしていると捉えられます。
ゆりやんさんが幼い頃に感じた、初めてお世話をする喜び。その入口は、進化を重ねた今もつながっているようです。久しぶりに手にする人には、覚えているたまごっちとの再会があり、その先には、まだ知らない振る舞いや遊びがあります。懐かしさを感じたところから、新しい発見が始まる。それも、長く親しまれる存在の魅力なのでしょう。
4.30周年が「3000周年!?」に。大人も入り込める遊びの世界
今回の「超たまごっち祭」は、そんな発見する楽しさを、会場全体へと広げています。企画の出発点は、「30周年だと思っていたら、本当は3000周年かもしれない」という、ユーモラスな設定です。会場で楽しめる「3000しゅ~ねん!?大発掘プロジェクト展」は、たまごっちが古代から人間と暮らしていたかもしれない、という設定を形にした展示。
まめっちやくちぱっちの姿が描かれた謎の石碑をきっかけに、「たまごっちラボ」が調査を始めたという物語のもと、会場にはさまざまな「発掘品」が並びます。商品の歴史をたどる展示に、たまごっちと人間が大昔から一緒にいたかもしれない、という想像が重ねられているのです。
金色に輝く「まめ黄金像」、みみっちの顔をかたどった「古代みみ仮面」、めめっちそっくりの「めめ土偶」も登場。見慣れたキャラクターが、神秘的な遺物の姿で現れる取り合わせに、思わず笑みがこぼれます。なかには「クリスタル・ウンチ」まであり、お世話でおなじみのものが、きらきらと輝く発掘品になっています。
立ち止まって探したくなるのが「たま図屏風」です。江戸の町を思わせる風景をよく見ると、人々の間にたまごっちらしき姿が紛れています。遠目には昔の暮らしを描く絵なのに、近づくと、知っている顔が見つかる。「ここにもいた」と発見を共有する楽しさがあります。「タマゴッチ手稿」に描かれた不思議な図も、たまごっちのお世話や成長を連想させるものになっています。
ゆりやんさんも、この日はラボの研究員として、たまごっちの装飾を施した白衣で登場し、気に入った展示として挙げたのは「真実のくちぱっち」です。願い事をして口に手を入れると、「何かが起きます」とゆりやんさん。

その先をすべて説明しませんでしたが、実は、たまごっち星からのメッセージが聞こえるのです。久しぶりに触れる人や、初めて出会う人にも、写真を撮ったり、手を入れてみたり。その場で何かを発見できる構成です。
5.好きな人っちと歩きたい。愛着が、誰かと過ごす時間になる
会場の外へ出ても、たまごっちとの出会いは続きます。期間中、原宿・渋谷エリアでは、カフェやアパレル、雑貨店などを巡るスタンプラリーを実施。対象店舗に隠れたたまごっちを探す「たまごっちあつめ」も楽しめます。

いつもの街を、好きなキャラクターを見つける場所として歩ける企画です。誰と一緒に回りたいかと聞かれたゆりやんさんは、「好きな人っちと。好きな人っちと一緒にスタンプラリーやりたいです」と答えました。続けて、一人でも、二人でも、何人とでも楽しんでほしいと呼びかけます。
この一言で、街を巡る企画の意味が、ぐっと身近になります。たまごっちが好きだから出かける。好きな誰かと、一緒に探して歩く。どこにいたかを教え合い、見つけた姿を前に立ち止まる。キャラクターへの愛着が、誰かと過ごす時間をつくるきっかけになるのです。
ゆりやんさんは、自分に合うたまごっちが見つかる診断についても、いろいろな人と試して、結果を見ながら「一緒だ」と言い合えたら楽しいと話していました。自分とたまごっちのつながりを知ることが、隣にいる人との会話にもつながります。振り返れば、ゆりやんさんが語った魅力は、どれも自分が関わったことで生まれたものでした。待ち望んで買ってもらったこと。初めてお世話をしたこと。失恋した姿に、人間らしい気持ちを見つけたこと。一つひとつの体験が重なることで、たまごっちは自分の思い出を語れる存在になっていきます。
「超たまごっち祭」は、11月7日から12月6日まで、ハラカド4階MAZEを中心に開催されます。懐かしいたまごっちを見つけ、今の自分が何に心を動かされるのかを確かめる。そして、誰かと新しい思い出を持ち帰る。そんな時間を楽しめるお祭りです。