ネット通販の抵抗感をなくすために──ヤフーがPayPayモールでレビュー機能を強化
近年、新型コロナウイルスの影響もありネット通販の利用はますます拡大しています。一方で、まだまだ「実際に商品を手に取れないこと」への抵抗感を持つ層が一定数存在しているのも事実です。こうした状況を背景に、ヤフー株式会社は運営する「PayPayモール」において、レビュー機能を刷新。視覚的にわかりやすく、多角的に商品の情報を得られる仕組みを取り入れ、リアル店舗に近い安心感を提供しようとしています。
レビュー機能をより「見やすく、わかりやすく」
今回の大きな変更点は、商品評価項目(項目別レビュー)、レビューしたユーザーの属性情報、そしてレビュー画像の追加です。
1. 項目別レビュー
- • 商品カテゴリごとに評価項目を設定し、利用者が注目しやすい情報を整理。
- • たとえばシューズカテゴリなら「サイズ」「品質」「履き心地」「履きやすさ」、コスメ(コンシーラー)なら「カバー力」「メイク持ち」といったように、商品ごとのポイントを細かくチェックできる仕組みです。
2. レビューしたユーザーの属性表示
- • 性別や年代といった属性を統計化し、グラフなどで見やすく表示。
- • 同じ性別・年代のユーザーが高評価しているかどうかなど、自分に近い条件の意見を参考にできるため、購入の判断材料として活用しやすくなります。
3. レビュー画像
- • 実際に商品を購入したユーザーが撮影した写真を、最大6枚まで投稿可能に。
- • 他の人がどのような状態で使っているのか、サイズ感や質感などが写真で確認でき、リアル店舗に近いイメージで商品を検討できます。
これらの機能拡充によって、購入前に得られる情報が増え、安心して商品を選択できる環境が整いつつあります。
シニア層にも「安心・安全」なネット通販を
ネット通販の利用拡大を裏付けるデータとして、総務省統計局の調査によれば、2020年7月時点でネットショッピングを利用する世帯の割合は前年同月比7.5%増。コロナ禍で一気に普及が加速しました。
しかし一方で、総務省の別の調査(平成27年版情報通信白書)を見ると、60歳以上の層の中には「実店舗で実物を見たり触ったりして購入したいから(36.2%)」という理由でネットショッピングを利用しない人が一定数いることもわかっています。
このような抵抗感をどう取り除くかは、ネット通販企業にとって大きな課題です。そこでヤフーは、レビュー機能の改善に加え、配送状況の追跡や安全性のアピールなど、総合的に“実物を確かめられない不安”を解消する取り組みに注力しています。
今後への期待──より等しく便利な環境へ
現在、PayPayモールで先行して行われているこれらの施策は、いずれYahoo!ショッピングにも波及していく見通しです。ネット通販における利便性や安心感を向上させることで、ネットに抵抗がある世代やユーザー層をも幅広く取り込む狙いがあります。モールとしてもストアとしても総力戦であり、より多くの利用者に“等しく”ネットショッピングを楽しんでもらう環境づくりが求められています。
ネット通販の急激な普及を支えるために必要なのは、華やかなキャンペーンや値下げ合戦だけではありません。レビューなどの「地味な」部分をいかに充実させ、ユーザーが安心して商品を選べるようにするかが、信頼獲得のカギになっているのです。
こうした背景と施策を踏まえれば、ヤフーの取り組みは、ネット通販が多様な年代・ニーズに対応していくための重要な一手といえるでしょう。私たち消費者にとっても、より便利で不安なく利用できる環境が整っていくことを期待したいところです。