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Zホールディングスで“コマース”が将来、要になる理由 2021年度通期決算で想う

 先ほど、Zホールディングスが2021年度通期および第4四半期決算説明会を行い、それによれば、売上収益が1兆5,674億円で、調整後EBITDAが3,314億円である。長年培ってきたメディア事業が安定して売上と収益の両方を稼いでくれている間に、コマース事業の土台固めと、および戦略事業として切り分けた「フィンテック」の拡充などで、三つの事業が循環して、収益を作れる構造へと転換しようとしている姿が見られる。

Zホールディングス 2021年通期決算

1.メディアに安定感のあるうちに

 具体的には、メディア事業は好調で、LINEとヤフーの経営統合の効果が発揮されているだけではなく、広告全般がネットへのシフトを見せる中で、それらが最大化した格好だ。メディア事業は、通期で売上収益が6,395億円(増減率74.3%増)、調整後EBITDAが2,661億円(増減率63.7%増)という形である。

 eコマースに関しては今後、この会社のエンジン部分となる要素が強い。下の通り、Yahoo!ショッピングとPayPayモールでシェアが拡大したので成長基調にあり幾分、安定感がある。そこに加えて、LINEとの経営統合によって得られたソーシャルコマースの裾野を広げて、他モールにはない新しいコマースの機会を創造して、躍進を担う構えである。

2.コマースの投資先とそこに投資をする理由

 それがやはり反映されているのか、売上収益が8,109億円(増減率8.7%増)、調整後EBITDAが1,315億円(増減率13.7%減)であり、どちらかというと投資フェーズの印象が強い。

 特に、上記で書いた通り、ソーシャルコマースという文脈では、LINEギフトがある一定の成果を見せているようで、それはLINEのトークを通じたコミュニケーションの上にライトなギフトを文化として定着させる考えで、それを浸透させるべく、プロモーションなどにも積極的投資しているというわけである。

 これまた、まだ実験段階の印象は否めないが「Yahoo!マート」は、アスクルが扱う日用品を中心に品揃えをしたところで、出前館のリソースを活かして、短い時間で届けるもので、これも他の経済圏では見られないクイックコマースのジャンル。こうした他の経済圏やモールがやっていないジャンルで投資を行い、その伸び代を見ているわけである。

3.他にはない要素を追う分、投資が嵩む

 現に、2021年度は、コマース事業を中心に約220億円を執行したけれど、2022年度はその投資に500〜700億円程度を執行することを明らかにしていて、次もこの投資のうち、コマース領域に関しては50%を占めるとしており、次の時代の鍵を担うのはコマースであることが分かる。

 確かに、コマース領域に関しては、リアルが伴いそれなりにコストがかかるだけに、他よりも先駆けて、Yahoo!ショッピングやPayPayモールの伸びを背景に、積極的に投資をして行こうというわけである。

4.時代を映すリユースの好調ぶり

 ちなみに、昨今の情勢をよく踏まえていると思うのは、リユース事業の伸び。彼らが「ヤフオク!」に限ることなく「PayPayフリマ」を開始して、リユースの裾野を広げたことが奏功しているわけで、リユース事業取扱高9,288億円(YoY+9.2%)、2013年度以来の高成長を達成したと明らかにした。

 昨今の情勢と書かせてもらったのは、フリマが浸透することで勿論、古着、中古品の需要が増えたのに加えて、最近ではそこをフックにして、高級なブランド品などのやり取りに関しても、ネットで行うことが定着してきているからだ。つまり、世の中に目を向ければ、コメ兵が銀座にシューズのリユース専門店を作るなど、そういう受け皿が増えてきている実態がある。つまり、そういう背景が特に、「ヤフオク!」などのオークションの単価の引き上げにつながっているわけで、それを反映したものだろう。

コマースが他と違う形で伸びないと安定しない

1.ポイント経済圏に繋げるために

 Zホールディングスとしては、この電子商取引に関連するマーケットが拡大していくことが肝だ。なぜなら、ここには消費が伴うから。ポイントなどを活用しての出口に相当する役目を果たして、これからの伸び代につながっていくわけである。コマースへの投資を積極的にするのは、少しでも他とは違う出口を作って、差別化を図って、その成長の度合いを大きくしていこうという気持ちの表れである。

 さて、今、ポイントということについても触れたが、それがフィンテックへの投資ということになる。語弊を恐れずいうなら、ここはPayPayしかり、彼らにとってはeコマース以上に新しい取り組みであり、それゆえこの決算では「戦略事業」といい、切り分けてその収支を説明している。

2.未成熟ゆえ、引き続き投資のフィンテック

 戦略事業に関しては、売上収益が1,161億円(32.9%増)で調整後EBITDAが△128億円(167.4%減)であって数値にも表れていて、売上は当然ながら伸びているが、そこへの投資額の割合が大きいので、ここは投資であることを印象付けるための切り分けだろうと思う。

 具体的にはこのフィンテック事業の投資を行い、更にそれに合わせる形で、そのボーナス特典をこれまでTポイントだったところからPayPayポイントに集約させた。また、今後、ヤフー、PayPayに加えてLINEのアカウントを連携させる方向で考えている。

 つまり、投資を続けるコマース事業と、フィンテック事業の価値とで相乗効果を図って、ユーザーにおいてはその特典ポイント獲得を通して、それらを合わせて使うように、Zホールディングスの企業価値を上げていくわけである。

3.連携させる中でZ HDの企業価値を上げる

 重要なのは個々のサービスにおいて自然と使うように促し、その上で連携させることの意義を実感してもらうことにあるから、この連携というよりは、3つのジャンルへの投資に拍車をかけて、この2022年度に向けてその存在感を出していこうというわけだ。

 この会社にとって土台となるのは、利益という部分では、ヤフーとLINEという強力なメディア。ここからの伸び代という部分では、コマース領域になる。ただ、それも経済圏が多数乱立しており、彼らとしては、LINE、アスクルというグループ企業のリソースを極力、使うことで、その投資コストを抑え新規ジャンルでその存在感が見せられるか。そこに尽きると思う。

 それができれば、恐らく戦略事業としてのフィンテックが活きてくる。そういうことで見ると投資の割合の振り分け方も自ずと理解できるだろう。だから、メディア事業で20%、コマース事業で50%、戦略事業で20%という割合になるわけである。

 長い目で見ると、このコマース事業がどう花が咲くかという部分にあるように思う、Zホールディングスの未来はいかに。

 今日はこの辺で。

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