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日本郵便 佐川急便 協業 ネット通販 拡大で 物流インフラの効率化

 先日、 佐川急便 と 日本郵便 はさらに連携を密にすることを明らかにした。両社が協業に関する基本合意について記者会見を行なったのである。互いの強みを生かす親和性の高い動きではある。けれど、一方で日本郵便そのものの個性はどこにあるのか。そこが気になった。

日本郵便 佐川急便 連携 の中身と事情

内容を見てみると、三点。

単純に言えば、それぞれのインフラを活用する。日本郵便はもともと手紙中心だから、ポストに届けるのは強い。一方、佐川急便にはそういう「小型宅配便」がないので、その窓口を作って、佐川急便契約のお客様からそこの需要を生み出すわけだ。

それは、世界120以上の国・地域へお届け可能な国際郵便サービス「EMS」でも同じ。そこに兼ねてから日本郵便はネットワークを持っているから、ここの窓口を佐川急便に作っていく。これで、越境ECなどの拡大にも順応できることになるだろう。

三つ目はその逆で、冷蔵・冷凍輸送はまだ強いとは言えない日本郵便が、佐川急便のインフラを使って今度は日本郵便のユーザーをそちらに活用するというわけである。

日本郵便の個性とはいかに

ただ、個人的な印象で恐縮だが、日本郵便は小口配送としての力は、どうなのだろうと思った。冷蔵・冷凍輸送とはいえ、小口配送は「配送企業」にとってメインストリームである。また通常の物流拠点は楽天と一緒に作っていることからすれば、日本郵便単体としての「配送企業」としての個性はどこにあるのだろう。

物流に詳しい方々何人かに聞いたが「日本郵便はもともとは手紙中心で80サイズを超える箱サイズを扱うインフラとしては、拠点数は全国にあるものの、足下が弱いイメージがある」と話していて思った。

「全国に郵便局や配送員を抱えてるとは言え、小口配送のインフラとしては不十分なのかもしれない」と。語弊を恐れず言えば、結局、それは手紙の部分からなかなか抜け出せなかった過去がこういう連携を招いているのかなと。

これは元は国営企業なので弱いのは仕方ないのかと思いつつも、「ドイツポストのDHLとは違うよね」という声も聞かれた。やはりドイツは西と東で分断されたこともあり、「国ですら分断される…その危機感を持っていること」が日本の親方日の丸的な発想とは同じ国営に近い会社でも違うのかなとも。

ドライな意見かもしれないが、一つの意見として納得できた。

物流は当然のインフラに 故に連携は増えてくる

いずれにせよ、小口配送へのインフラとしては日本郵便だけだと弱い。そこでヤマト運輸の動きを見つつ、足元の弱さを補うため佐川急便とタッグを組んだのではないかという考え方もできて、これまで小口配送のインフラを構築してこなかったツケがこういう展開になっていたのではないかと思うのである。

そう思うと、ヤマト運輸は民間で始めて着実に、その裾野を磐石にしてきたのは見事だなと思う部分もある。そのやり方には賛否あるにせよ。

これはネット通販の台頭に伴い、物流を今までの定義では捉えられない再編のフェーズに来ていることを象徴する出来事な気がする。これは配送拠点を中継地点に据えた物流環境だけど、先日記事にした配送拠点を介さず当日配送させる部分での話には及んでいない。ECに絡む文脈ではまだ何かしら再編がありそうに思うのだ。

いずれにせよ、これだけネット通販の需要が増えてくれば、物流はもっと当たり前のインフラにならなければいけなくなっていくだろう。すると、そのコストパフォーマンスをよくして、伸びしろのあるネット通販を最大限、どれだけ引き伸ばしていけるかに、物流の未来がかかってくる部分もあるわけだ。そうであるなら、企業の垣根を超えて、こうした連携をしていく必要性が出てくるわけで、このような動きは増えるのだろうと思うのだ。