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@cosme 2020 上半期 新作コスメ 大賞 は?理由と流行分析

 アイスタイルは、2020年6月11日、「 @cosme ベストコスメアワード 2020 上半期 新作べストコスメ」を発表した。 新作コスメ の頂点ともいえる、総合 大賞 に輝いた商品は、ランコム「クラリフィック デュアル エッセンス ローション」。「@cosmeベストコスメアワード」は 2002年より毎年恒例となっており、@cosmeならではの生活者視点に立った受賞ラインナップが、化粧品業界及び美容業界からも注目の賞である。この受賞の理由から現代の「コスメ」の傾向を見ていくことにしよう。

@cosme ベストコスメアワード」とは、@cosmeメンバーから寄せられたクチコミ投稿をベースに、今、生活者が支持している商品を表彰するアワードであり、「上半期新作ベストコスメ」は、この半年間(昨年11月1 日~本年 4月30日)に発売された新商品を対象とし「 @cosmeベストコスメアワード」の上半期における新人賞となっている。

@cosme 2020 上半期 新作コスメ 大賞 受賞の理由

【総評】 スキンケアに手をかけたいが時短は譲れない ~生活者のジレンマを捉え、コロナ禍をも味方に~

 対象商品の中で消費者から最も支持された商品に贈られる大賞は、ランコム「クラリフィック デュアル エッセンス ローション」が受賞した。以下(1)~(3)にて大賞受賞の背景を分析する。

(1) スキンケア意識の高まりに応えつつ、時短ニーズにも対応

「1.2020年上半期の主な傾向」にてスキンケア需要の高まりについて述べたが、本商品はそのようなスキンケア需要に応える特長が主に2つある。

  • ①化粧水でありながら、オイルが配合された、よりうるおいを感じられる配合である点
  • ②古い角質をはがれやすくし、肌の生まれ変わりを促すことが期待できる酵素を配合している点

オイル配合による高いうるおい効果に加えて、古い角質をはがれやすくするというプラスオンの機能がスキンケア意欲の高まっている生活者の心をとらえたのではないではないか。

また新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛により、おうち美容に時間をかける生活者がいる。一方で子供を持つ親にとっては、保育園・学校へ行かない子供の世話をすることで時間に追われていた状況もあった中、1本で多くの機能を兼ね備えていることが、時短に繋がるというクチコミも見られる。スキンケア意識の高まりに応えつつ、一方で時短ニーズもおさえている高評価に繋がったとみている。

2) いつものスキンケアに加わった情緒的価値

オイルを配合した二層式であることにより、容器を振ってから使うという使用工程や、オイルが混ざりやすいよう容器にウィスク(泡立て器)が内蔵されている目新しさにより、化粧水というベーシックアイテムに「使用工程の楽しさ」「気分が上がる」といった情緒的価値が加わったことを評価するクチコミが見られたのも特長の一つである。

  • <クチコミ抜粋>
  • ・「 2層になっている化粧水を使うのは初めてで、しかも使う前に振る!(ドレッシング的な)斬新な感じで使うのが楽しいです、振った後の泡がシュワーってなってる所をいつも一旦眺めてしまいますww 」
  • ・「 掌に出すと、小さなオイルの玉がはっきり見えるので、楽しいです。」
  • ・「 見た目も可愛くて、朝気分が上がります♪ 」

3) オンライン先行販売を起点としたマーケティング手法がコロナ禍でも効果を発揮

 商品の魅力だけでなく、販売方法やデジタル活用についても注目すべき点がある。ランコム「クラリフィック デュアル エッセンス ローション」は2020年1月8日に@cosmeの通販サイト「@cosme SHOPPING」にて独占先行予約開始、1月月29日独占先行販売を開始し、先行販売時期からブランドの直営カウンターにてサンプルを配布していた。

 これにより、直営カウンターに出向くようなブランドのファンにいち早く商品を試してもらうことができたことが、テスターで試すことのできないオンライン先行販売において購入の後押しとなったと考えられる。

先行販売で商品の良さを口コミに書き込んでいた

また、@cosme内の購入品におけるクチコミの3割は、先行販売で購入したユーザーのクチコミであったことから、先行販売でいち早く商品の良さを実感した生活者は、周りに勧めたくなる心理が発生しやすいとも言えそうだ。

さらに、一般販売が開始された2月14日以降、新型コロナウイルスの感染拡大により、首都圏を中心に外出自粛の動きが高まりつつあった中、すでに先行販売の購入品クチコミが蓄積されていた状況。これにより、サンプルを試していない生活者でも十分な量のクチコミを参考にできたことで、オンラインで購入することへのハードルも下がったといえる。実際に、本商品のEC購入ユーザーによるクチコミ数は、購入クチコミ数の4割を占めていたのだ。

先行予約から気持ちを惹きつけ、先行販売で「人に伝えたい心理」を通して、商品の良さを実感してもらい、伝播させることで、最終的に、コロナ禍においても、ネット通販に必要な信用を伴っていたので、結果につながったということだ。リアルとネットと同じ価値観を持った人たちの共感という今のトレンドを抑えた戦略が功を奏した格好だ。

なお、上位10商品の傾向から、最近のコスメの動きを分析したものも、こちらの記事でまとめているので、合わせてみると、新しい生活様式などの影響がコスメにも及んでいることがわかると思う。