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Zホールディングス 2020年度第3四半期決算──コマース事業は好調、積極投資が利益を圧迫

Zホールディングス株式会社(以下、ZHD)は2020年度第3四半期(10〜12月期)の決算を発表しました。主力のコマース事業が堅調に推移したことで売上収益は前年同期比(YoY)14.9%増と伸長しましたが、積極的な投資やクレジットカード事業のシステム刷新に伴う除却損などの影響で、営業利益は同8.1%減と減益となっています。本記事では、決算の主要トピックや投資の背景、eコマース事業の現状と今後の展望、楽天やAmazonとの比較などをわかりやすく掘り下げていきます。

決算の主要ポイント

1.売上収益は好調、営業利益は減少

  • 売上収益: 前年同期比14.9%増
  • 営業利益: 前年同期比8.1%減

コマース事業の取扱高拡大や広告需要の増加が売上を押し上げましたが、積極投資やクレジットカード事業のシステム刷新による除却損などの影響で営業利益は減少しました。

2.コマース事業の伸長

  • ショッピング事業取扱高: 前年同期比33.7%増
  • • ZOZOの連結子会社化や「超PayPay祭」などの販促強化が功を奏し、物販系を中心に大きく伸びました。
  • • リユース事業やサービス事業(Go To キャンペーンの影響)も好調で、Q3のeコマース取扱高全体では前年同期比33.0%増を記録しています。

 

3.広告関連売上収益も堅調

運用型広告などの広告関連: 前年同期比6.7%増

コロナ禍でも広告需要は比較的底堅く、メディア関連の収益を下支えしました。

4.通期見通し

  • 通期売上収益: 1.14兆円(前年同期比8.3%増)
  • 通期営業利益: 1,600億円(前年同期比5.1%増)

第4四半期はeコマースや決済事業を中心に積極投資を継続。年内の大型キャンペーンを予定しており、その結果を踏まえて通期での着地を予測しています。

投資戦略の背景

1.積極投資と粗利減

Q3時点で営業利益439億円を計上しているものの、第4四半期に予定される大型キャンペーンやコマース関連への投資強化、LINE統合に伴う費用などで、残りの四半期は営業利益178億円の見込みとされました。これはプロモーション費用の増加や、コマース事業の粗利減少を織り込んだ保守的な予測とみられます。

2.クレジットカード事業のシステム刷新

クレジットカード事業では既存システムの更新に伴う除却損が発生し、営業利益を圧迫。これも積極投資の一環ですが、短期的なコスト負担が増加しています。

コマース事業の詳細

1.Q3の取扱高内訳

  • ショッピング事業: 3,947億円(前年同期比+33.7%)
  • リユース事業: 2,192億円(前年同期比+7.4%)
  • サービス事業: 2,111億円(前年同期比+101.9%)
  • デジタル系: 92億円(前年同期比+20.2%)

ショッピング事業が特に好調で、その要因としては「超PayPay祭」をはじめとする販促の強化やZOZO連結子会社化が挙げられます。リユース事業はコロナ禍で高まる“無駄を減らす”意識やリピート需要を取り込み、前年同期比で堅実に成長しています。

2.新規購入者と客単価の動向

  • 新規購入者数: 前年同期比+40.7%
  • 平均客単価: 前年同期比+3.1%

一般的には新規客が増えると客単価は下がる傾向があるものの、購入回数の増加や販促施策がうまくかみ合い、客単価自体もプラスに転じています。

3.ZOZO連結によるシナジー

  • ZOZO商品取扱高: 前年同期比+26%
  • 営業利益: 前年同期比+126%

PayPayモールへの出店など、グループ連携が成果を上げています。今後はファッション分野に加え、「ZOZOグラス」を活用したコスメ分野への展開も予定しており、Z世代を意識したクロスセルにも注力する方針です。

 

PayPayモールとYahoo!ショッピングのすみ分け

1.2つのモール戦略

ZHDは「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」の2つのモールを統合的に運営しています。

  • Yahoo!ショッピング: 幅広い商品・出店者が集まるポータル的存在
  • PayPayモール: 品質の高い商品を中心に厳選されたラインアップを揃え、より購買意欲の高いユーザーをターゲット

この2つを合わせた合算値でGMV(流通総額)を追っており、ショッピング事業の伸びを牽引しているのはPayPayモールの成長としています。

2.タオバオとTモールの事例

中国Alibabaグループが展開する「タオバオ」と「Tモール」に近いモデルで、

  • • 「Yahoo!ショッピング」で商品を探したユーザーが「PayPayモール」で実際に買う
  • • ユーザーの多様なニーズに応えるため、両モールの住み分けを明確化

という流れを想定通りに作り上げています。

楽天・AmazonとのGMV比較

コロナ禍を追い風に、楽天とAmazonはいち早く利用者を獲得。長年のブランド力やリピート顧客基盤を活かし、コロナ禍での「駆け込み需要」にもしっかり対応しました。

ZHDとしては投資を行った割にはGMVが伸び悩んでいるとの批判の声もあるものの、専務執行役員・小澤隆生氏は以下のようにコメントしています。

「コロナ禍で店舗に行けない状況下、ユーザーが真っ先に思いつくECサイトは楽天やAmazonでした。月1万円買っていた人が2万円買うようになると、長年のブランド力を持つモールに流れやすいのも事実です。そこは我々の実力不足を痛感しており、今後も地道な取り組みを積み重ねていきたい。」

今後の展望

ZHDはヤフーのメディア事業をベースに、LINEとの統合によりさらなるユーザー基盤の拡大を目指しています。長期的には、

メディア × コマース × 決済(PayPay) × SNS(LINE)

といった多面的なアプローチで、生活全般を包括する“Super App”の形を追求する可能性があります。EC専業の楽天やAmazonとは異なる強みを活かし、これまで培ってきたメディア事業との相乗効果がどこまで発揮できるかが注目点です。

まとめ

2020年度第3四半期のZホールディングスはコマース事業の好調に支えられ、売上収益を伸ばしました。しかし、積極的な投資やクレジットカード事業のシステム刷新に伴うコスト増が利益を圧迫し、営業利益は前年同期比で減少しています。楽天やAmazonに比べてGMVで劣勢という見方もありますが、Yahoo!ショッピングとPayPayモールの二軸展開、ZOZOとの連携強化など、今後の攻勢に向けた布石も打っています。

第4四半期は大型キャンペーンと投資強化によるさらなる成長が期待される一方、積極的な支出が利益をどう左右するかが最大の焦点です。LINE統合を含むグループ全体の進化も視野に入れながら、ZHDの“メディア×コマース”戦略がどのように花開くのか、今後の展開から目が離せません。

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