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ソフトバンクグループ は“製造業” 孫さんの発言で感じた事

昨日、 ソフトバンクグループ の決算発表会が行われて、純利益は3兆551億円など、好業績が伝えられている。ただ、ここでは孫正義さんの発言に焦点を当てた。彼は、自らの会社を“製造業”だと説明していて、驚いたのと僕からすると「ものづくり」の発想ではなく「製造するインフラを作る」という意味合いで受け止めるのが良いのだろうな、と思って聞いていた。日本の今後にも影響を及ぼしそうなので、記事にしてみた次第だ。

彼は、会見の席上で冒頭、「ソフトバンクは製造業」と語っていて、何の製造業?って思ったわけだ。これは、比喩を用いたもので「ガチョウによる金の卵の製造業」と説明している。「ガチョウ」というのは、これまででいえば「情報革命」で、その「情報革命」のエサを食べてお腹でたまこを作って、世界に名だたる企業=金の卵になっていく、ということだ。

今から25年前、彼は「自分の会社でインターネットの養卵機を作っていた」と話して、それに絡むスタートアップに投資してきたわけで、それは自分にとっては、練習ラウンドだったと話した。

ヤフーに対しては言うまでもないし、アリババに関しても13年、赤字であったけれど、あっという間に世界でもトップ10に輝く状態であると。これらヤフーやアリババが、金の卵というわけである。

ただ、その後、その姿勢は控えめにすることにした。10年間くらい、投資会社としてのソフトバンクは鳴りを潜めていたと話し、それはヤフーBBの環境を作り、モバイルインターネットを確立するために、通信インフラの買収して、料金プランなどを考察したりして、拡大に努めたわけである。

10年ほど、投資会社の側面は休眠状態にしていたけれど、また、その金の卵を産むための動きを開始したというのが、ここ3〜4年前の「ビジョンファンド」の開始となる。

「通信(ソフトバンク)に関しては、宮内に任せて、私自身は、次の世界へ全力を投入する」と。ただ、かつてはその金の卵は「情報革命」に絡むものだったけど、今掲げているのが「AI革命」なのだといっている。

孫さん曰く、AI革命がさまざまな産業を一気に塗り替えていくと考えているからだ。いわば、もう一度、金の卵を産み始めるぞと声高らかに、その純利益を示して、語ったわけである。

「腐った卵しか産まない」と言われたのが、ほんの一年前のことと孫さんは言った。「機能していないファンドとも言われた」。でも、投資した企業のうち、上場したのは2社、4社、6社と毎年、年を追うごと伸びていき、2020年は11社となっていて、「私は信じていた。だから今こうして収穫期に訪れた」と述べたのである。

まさに投資会社でしかないし、本人も「お金儲けだけというなら言えばいい」と言ったが、それでも「製造業」と述べる理由は、AI革命という共通のテーマで投資を行なって、総合的にそれらを支えるインフラとなって、新たな文明開化を起こしているから、なのかもしれない。

話の流れの中で今ではお馴染みとなった「PayPay」に触れる文脈があった。実は「PayPay」の技術は元はインドのPaytmという会社の技術を取り入れたもの。それを技術協力したのがヤフーであり、PayPayとなって日本では営業を大いに頑張ったのだとした。

こういう風に海外で投資したものも日本にも持ち込みながら、もっと日本での経済の活性化を加速させたいとしているわけである。この話を聞いていて、ヤフー経済圏が持つ可能性は、この孫さんの言う投資会社の発展であり、それとの連携によってもたらされる、生活改善なのかもしれないな、と思った。

彼が投資家との違いを強調したのは、「ほぼ全部、筆頭株主として入り、具体的に自らアドバイスを行い、それもAI革命に特化している企業だから、グループシナジーを見込める」とした点で、それが最大化できるからだ、と説明したわけである。

孫さんの性格?から言って、地道に一つのものをコツコツと作るのは性に合わない。むしろ可能性のあるものを引っ張ってきて、それらを総合的に大きく社会を動かすエンジンへと変えて、世の中に新しい価値をもたらす、新しい製造業としてのあり方を提示したのだろう。

若干、自ら考えていない事業の話を嬉しそうに語る姿に少しの違和感を感じながら、とはいえ、それらの事業もお金がなければ、形にできないわけで、孫さんの存在価値はそこにあるのだろう。

ここからが勝負だ、というパッションを感じたのは事実で、製造業と言えるかどうかは別として、一流企業に育て、かつ世の中に圧倒的な影響力を持つ企業を作り続ける製造業として、彼の手腕に期待したい。

今日はこの辺で。