エニキャリ×アト社の新たな挑戦――ポスティング網を活用したフードデリバリーが新宿区で始動

飲食店とお客様を繋ぐ「フードデリバリー」ながら、それ自体は飲食店の価値を新しい視点で模索しているサービス「エニキャリ」が新たな一手に出た。株式会社エニキャリは、全国主要都市にネットワークがあり登録スタッフ数15,000名 を超えるポスティング最大手の株式会社アトと協業することを発表した。 

■ フードデリバリーが変える“お店”の役割

フードデリバリーサービス「エニキャリ（anyCarry）」が、新たな一手を打ち出した。全国主要都市に広がるネットワークを持ち、登録スタッフ数15,000名を超えるポスティング最大手「アト社」と提携し、両社の強みを掛け合わせた新たなデリバリーサービスをスタートさせるのだ。7月29日から始動するこの取り組みは、新宿区を中心にフードデリバリーの可能性を広げようとしている。

「エニキャリ」が見据えているのは、これからの“お店”の在り方。これまでは「お客様に来店してもらう」のが当たり前だったが、今後は「お店からお客様のもとへ行く」というニーズが高まると考えている。そこで注目したのが「デリバリー」という仕組みだ。

飲食店がお客様のもとへ商品を届ける手段があれば、提供できる“価値”は「その場で食べてもらう」だけにとどまらない。たとえば、その店ならではの視点で開発した加工食品やオリジナル商品を通販感覚で届けるなど、新しいビジネスを展開できる可能性がある。しかし、飲食店が独自に配送網を整えるには、人件費や管理のハードルが高い。そこでエニキャリは“配送”にフォーカスし、飲食店が作り出す多様な価値を届けるサポートをしようとしている。

■ アト社のポスティング網をデリバリーに転用

ただし、配送にはどうしても“人員”が必要だ。そこでエニキャリは、ポスティング最大手であるアト社との協業を決断。両社がタッグを組むことで、以下のようなシナジーが生まれる。

1. ポスティングスタッフによるデリバリー対応

エニキャリの注文サイト「anyCarry.jp」でオーダーが入ると、アト社のポスティングスタッフが一時的に投函業務を中断してデリバリーを行う。これにより、デリバリー業務の負荷が分散され、依頼に柔軟に対応できる。

2. ポスティングスタッフの生産性向上

ポスティング作業とフードデリバリーの両立によって、空き時間や移動時間を有効に活用できるため、アト社にとってはスタッフの生産性アップや収益増加が期待できる。

3. エニキャリのサービスエリア拡大

港区・渋谷区で展開していたエニキャリは、アト社のネットワークを活用することで、新たに新宿区への進出が可能となった。これにより、より広範囲のユーザーにサービスを届けられるようになる。

■ 広がるフードデリバリー市場と双方のメリット

コロナ禍を機に、フードデリバリーは“ニューノーマル”として急速に普及し、消費者の利用は増加傾向にある。一方で、地域を広げたいフードデリバリー事業者にとっては、スタッフの採用・教育や新拠点の立ち上げなど、時間とコストの課題が立ちはだかっていた。

そこで、管理体制・教育体制に定評のあるアト社が担う「既存のスタッフ」を活用することで、エニキャリはエリア拡大のスピードを上げることができる。一方のアト社は、ポスティングに加えてフードデリバリーを並行して行うことで、スタッフの稼働率を高めつつ新たな収益源を得られる。両者にとって“ウィンウィン”の関係が成立するのだ。

■ 目指すは「いつでも・どこでも商品を受け取れる」世界

エニキャリは「オフィスや自宅で、すぐに商品を受け取れるのが当たり前の時代を実現したい」というビジョンを掲げる。ポスティングで培われてきた配達スキルをデリバリーの現場に生かし、飲食店の新たな価値創造をサポートする。単なる“お弁当の宅配”にとどまらず、飲食店が生み出す多様な商品やサービスが場所を問わず手に入る世界を目指しているのだ。

今回のアト社との連携は、そうしたビジョンを具現化するための一歩ともいえる。フードデリバリー需要が高まるなか、ポスティングの新たな活用方法としての可能性が示された形だ。今後、エニキャリがどのようにサービスを拡大し、飲食店や消費者に新たな価値を提供していくのか――その次なる展開に注目していきたい。

以上が、エニキャリとアト社の取り組みの概要である。「ポスティング×フードデリバリー」という新しい組み合わせが、飲食店の価値を拡張し、利用者の利便性を高める可能性を秘めている。さらなる一手にも期待が集まるところだ。