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楽天 2022年度第2四半期(決算) ECとFintech 好調で 赤字のモバイルの成長がkeyに

楽天グループは、22年度第2四半期決算の発表を行った。売上収益は8935億9800万円で前年同期比12.6%増。営業利益は1970億7500万円減。税引前利益は2144億8700万円減。モバイルの基地局設置などに投資を行い、営業損失である。ただ、それを除いたNon-GAPP営業利益では12.6%増。会社としては順調に伸びていることを強調した。

楽天 2022年度第2四半期決算 ハイライト

1.EC Fintechいずれも好調 モバイルは次のフェーズへ

順調に伸びていることの裏付けとして、主要のKPIに対しての実績がある。

具体的には、グローバル流通層が23.9%増、国内EC流通総額が12.3%増、楽天カードのショッピング取扱高が28.8%増、発行枚数が2669万枚、楽天証券の総合口座数は805万、楽天銀行の口座数が1268万件だ。

もう少し、営業利益ベースで各セクションを比較すると、現状が見えると思う。

  • ・国内ECに関してNon-GAAP営業利益で203億3500万円増(前年同期比で30.4%増)
  • ・フィンテックでもNon-GAAP営業利益で264億5200万円(前年同期比17.4%増)
  • ・気になるモバイル事業は1243億円の赤字。

赤字のモバイルに対しての改善点については、9月以降、無料を廃止して、ARPUが上昇することに加えてモバイル関連のオプションと、デジタルサービスを充実させていく。

2.国内EC 流通総額 12.3%増の理由

それでは、セクション別にそれを掘り下げていく。

まず、国内ECは流通総額が1兆3150億円(前年同期比12,3%増)で、注目すべきは、Non-GAAP営業利益で203億3500万円増(前年同期比で30.4%増)ということになるだろう。

その理由は、各サービス単体が業界水準以上に、成長していることを明らかにした。具体的には、楽天市場が72.5%増、楽天西友ネットスーパー80.0%、楽天ファッション17.4%増というのがそうだ。

これを後押ししている要因は、クロスユース。楽天市場と楽天トラベルでは前年同期比56.4%増、楽天西友ネットスーパーでは30.9%増という具合だ。「楽天トラベル」についてであるが、コロナ禍前の水準まで回復し、Q2/19対比で14.0%増。この辺が楽天のEC戦略のうまさだと思う。恐らく、少なからずコロナ禍の落ち着きで、ECでマイナスになりがちな部分をデジタルに絡むリアルのジャンルで取り返して、ECの中では相殺している。

3.楽天市場以外のECの存在感が大きく

もう一つ、楽天西友ネットスーパーの伸びが大きいのは、物流を味方につけている事。彼ら独自に物流センターを設置。西友の実店舗と倉庫のハイブリットでやることで品揃えが強化されたことが大きい。具体的には、Q2/22流通総額は、前年同期比で14/6%増。そのうち物流センター出荷は、43.6%増である。

 

また、ファッション系においては、その成長をZOZOTOWNとの比較で説明。Q2/22での流通総額では、楽天市場、楽天ファッションを足したところで、規模は2.6倍以上だという。具体的には、2662億円で、YOYで8.6%の高い成長率がその成長を支えている。

また、楽天のEC系サービス全般で、物流環境が存在感を増している。迅速に丁寧に届ける仕組みが、顧客満足度を高めている。それらは、彼らが日本郵便と連携することで、整っていて、ここも手堅い。彼らが物流施設への投資も行っているけど、日本郵便と合弁会社を作り、そのリスクをシェアする事で、その打撃を小さくしている。一方で、楽天スーパーロジスティックスの利用に関わる店舗数が、5000店舗を超えている。

今度は次のフェーズとして、この倉庫からダイレクトに、お客様の近隣の郵便の配達局までダイレクトに送る事で、工数を削減して、早く届ける仕組みを整えるわけである。

確かに、各モールともども、物流を生かして、早く、柔軟に届けられることが、継続顧客の土台になることからすると、この辺を店舗と一体で、うまく強みに変えられるかが重要になってくるだろう。

増すフィンテックの存在感とモバイルの新しい役目

1.フィンテックが営業利益で17.4%増

これらEC関連の動きに合わせて、フィンテックの強さも際立つ。具体的には、セグメントで見た売上収益が、1627億2600万円(前年同期比6.3%増)。Non-GAAP営業利益で264億5200万円(前年同期比17.4%増)。

リアルとネットを繋げる部分にもなりECだけではなく、日用品を中心にカード利用が触発。ショッピング取扱高も4兆4660億円(前年同期比28.8%)。

ECをきっかけにカード利用が始まる。そこから日用品、生活インフラへと広がって、生活全般に関わるとともに、それが、ポイントなる。ポイントが貯まれば、それがECへの入口となる。循環して企業価値を高めることになっているわけで、まさに経済圏の功績だ。

2.銀行の存在感

消費者にとってカードは利用手段でしかない。それに対して、銀行はそのお金を蓄積し、運用していく上で重要だ。彼らが意図するのはそこをゼロキャッシュ時代の拠点にしていく。デジタルとの絡みで銀行の付加価値を高める。

そこで差別化して口座数も、1231口座から2500口座(2027年3月期)まで伸ばす。会社としても銀行をテコにお金を上手に集めて運用していく。付加価値にかえていく拠点でもあるから、来年を予定する上場は意味を持ってくる。未来の環境に合わせて、フィンテックを盤石にしていくという点も注目だろう。

3.モバイルは経済圏をフックに安さを実感

上記にも書いたが楽天モバイルに関しては、現在投資段階。主に、価格優位性、品質向上、マーケティング戦略を掲げていく。

今、東京23区の申し込み率が9.4%。その率で全国の都道府県に浸透させれば、1200万ユーザーにも及ぶ。だから、まずは基地局で同等の品質を心がけ、エリアマーケティングを強化して、そこを手堅く取りに行く。

価格優位性においても、確かに、0円キャンペーンを廃止を発表した。ただ、2980円(税抜)以上にはならない設計で、ヘビーユーザーほどお得になる。そのヘビーユーザーは他の楽天のサービスと親和性が高いので、結果、ポイントを蓄積する可能性が高く、結果、それも含めれば、携帯代金の価格破壊であるというわけである。

ちなみに0円キャンペーンをやめたことで、ある意味、お客様が峻別された。その証拠に、それなりの数が、離脱したものの、解約の8割は1GB未満のユーザーであることがわかっている。

つまり、ただ安いだけで彼らのスマホを所有してもらおうとは思っていない。安さの本質がわかっているお客様に着実に継続してもらい、その恩恵を受けてもらう考えなのである。それは、しっかりある程度、経済圏の利点を活かして、お得に“消費”していくユーザーなので、楽天とお客様、それぞれにメリットがある。

だから、モバイルへの莫大な投資も、経済圏をフックに、利益の幅が大きくなり、会社全体の利益構造にもプラスになると話しているわけである。今は投資の段階のモバイルも、利益を生み出すフェーズになれば、他の事業同様に、相乗効果の一つを担い、企業価値も底上げされることになるだろう。

今日はこの辺で。

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