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メディアを軸に経済圏を拡大するLINEヤフー——2023年度第三四半期決算から読み解く成長戦略

 LINEヤフーが発表した2023年度第三四半期決算を見ると、同社がどのように経済圏を拡大しようとしているのかが明確に浮かび上がってきます。特に、LYPプレミアム会員の増加、広告事業の成長、そしてPayPayを軸とした金融事業の発展は、同社の今後の方向性を示す重要なポイントです。

この決算をもとに、ネット通販市場やインターネット事業全体の現状を掴みながら、LINEヤフーの戦略を詳しく見ていきましょう。

経済圏ごとに異なる戦略——楽天、KDDI、LINEヤフーのアプローチ

日本の主要な経済圏は、それぞれ異なる軸を持ちながら成長を遂げています。

  • 楽天:EC(電子商取引)を軸に、カード・銀行などの金融サービスを強化。その上でモバイル事業を展開し、会員の囲い込みを行う。
  • KDDI:通信を基盤とし、そこに金融サービスを組み合わせ、ECを相乗効果のあるプラスアルファの要素として活用。
  • LINEヤフー:メディアを軸にLYPプレミアム会員を増やし、組織化。その流れでECや金融事業(PayPay)を拡大。

同じく「組織化」を目指す企業であっても、その起点が異なります。この違いを理解しておくことが、EC事業者にとっては重要なポイントとなります。

選択と集中の成果——広告事業とECの動向

LINEヤフーの2023年度第三四半期決算のハイライトは、以下の通りです。

  • 広告関連売上収益:前年同期比(YOY)+3.7%
  • 国内物販系EC取扱高:YOY+1.7%
  • LYPプレミアム会員数:ヤフープレミアム会員の2倍の増加

 これにより、楽天・KDDI・LINEヤフーの3つの経済圏が、それぞれの持ち味を活かしながら市場のシェアを奪い合う構図が明確になっています。

特にECに関しては、以下のような成長動向が見られます。

  • 国内ショッピング(Yahoo!ショッピング、LINEギフト、ZOZOTOWN、LOHACO)
  •  → 取扱高YOY -1.0%(2023年Q2の-5.5%から減少幅が縮小)
  • 国内リユース(Yahoo!オークション、Yahoo!フリマ、ZOZOUSED)
  •  → 取扱高YOY +0.4%(堅調な推移)
  • 国内サービス(一休.com、Yahoo!トラベル、Yahoo!ロコ、出前館)
  •  → 取扱高YOY -7.4%(前年の全国旅行支援の反動)

EC市場全体では横ばいまたは回復傾向が見られますが、特にリユース分野は安定した成長を遂げています。

LYPプレミアムの成長がECの鍵に

LINEヤフーが注力しているLYPプレミアム会員は、すでに2,322万人に達しています。この会員制度の拡大により、広告事業やECに対して良い影響をもたらしていると考えられます。

KDDIが通信と金融の融合によって経済圏を拡大したように、LINEヤフーは「メディア×LYPプレミアム」という形で顧客基盤を広げています。これにより、今後のEC事業の成長の原動力となる可能性が高いです。

PayPayとカード事業の相乗効果

決算資料によると、PayPayとクレジットカード事業の親和性が高まりつつあることが分かります。特に、カードは経済圏の成長に大きく貢献するため、LINEヤフーもこの分野に注力していることが伺えます。しかし、銀行事業に関しては、カードほどの伸びが見られず、テコ入れが必要とされています。

今後、LYPプレミアムを通じて金融の付加価値を強化し、ECやPayPayとの連携をより深めることが課題となるでしょう。

EC事業者はLYPデータ活用が鍵

LYPプレミアムの会員組織化が進む中で、EC事業者にとって重要なのは「データ活用によるマーケティング強化」です。

  • • LYP経済圏の中で集まるユーザーの購買データを活用
  • • 適切なターゲティングにより、EC商品のリーチを拡大
  • • Yahoo!ショッピングやLINEギフトの動向を把握し、トレンドを先読み

このように、LINEヤフーが持つ「メディア×EC×金融」の経済圏において、データマーケティングを最大限に活用することが、EC事業者にとっての成長戦略となるでしょう。

まとめ

LINEヤフーの2023年度第三四半期決算から読み取れるポイントは、以下の通りです。

  • 1. メディアを軸にLYPプレミアム会員を増やし、経済圏を拡大
  • 2. 広告事業とリユース市場が堅調に成長
  • 3. EC市場は回復傾向にあり、LYP会員の増加が後押し
  • 4. PayPayとクレジットカードの相乗効果が今後の成長の鍵
  • 5. EC事業者にとって、LYP経済圏内のデータ活用が必須

これからのEC市場を考える上で、LINEヤフーがどのようにメディアの強みを活かして経済圏を拡大するのか注目が集まります。

今後の動向を見据えつつ、EC事業者としてどのような戦略を取るべきかを考えることが求められるでしょう。

今日はこの辺で。

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