バーチャサイズがタカシマヤ に導入 オンライン 試着
1.オンライン試着の新たな局面
百貨店にとって、店頭での「試着」は長年の強みであり“専売特許”のような存在でした。ところが今、タカシマヤ ファッションスクエアにオンライン試着ソリューション「バーチャサイズ」が導入されたことで、試着の概念が大きく変わろうとしています。これまで「試着はリアル店舗でしかできない」とされていた常識が崩れ、オンラインであっても直感的にフィット感を確認できるようになったのです。
2.バーチャサイズとは何か
「バーチャサイズ」は、Virtusize社が提供するオンライン試着ソリューションです。ユーザーの体型や過去に購入した商品のサイズデータをもとに、新たに購入する商品のサイズやフィット感を可視化し、より確実なサイズ選びをサポートしてくれます。
今回タカシマヤに導入されたのは、2020年6月の大型アップデートによって機能が強化された最新バージョンです。
3.バーチャサイズの主要機能
3-1.パーソナライズシルエットの作成
- • 体の基本情報や気になる部分を入力すると、Virtusizeの機械学習アルゴリズムがユーザーに近い体型データを生成。
- • 作成したシルエットと商品のサイズを比較することで、自分の体型に合った最適な商品が見つけやすくなります。
3-2.直感的なフィット感の視覚化
- • パーソナライズシルエット上で、商品の形や丈の長さを視覚的に確認。
- • ヒートマップ機能で、差の大きい部分を色付けして表示するなど、詳細なフィット感を把握しやすくなっています。
3-3.より速くシンプルなサイズガイド
- • 商品ページから離れることなく、おすすめサイズやサイズ感を素早く提示。
- • 既存ユーザーには購入履歴や体データに基づいたおすすめサイズ、新規ユーザーには商品のサイズ情報を即座に表示します。
3-4.商品の詳細情報をまとめて表示
- • 素材情報やモデルの着用サイズ、ブランド特有のサイズ感など、サイズ選びに役立つ情報がひと目で一覧できるように。
- • ユーザーはページ移動せずに必要な情報を得られます。
3-5.自分だけのオンラインワードローブ
- • 購入した商品をブランド・カテゴリ・サイズを横断してキーワード登録できる「オンラインワードローブ」機能を搭載。
- • 過去に登録したアイテムを参照して、新しい商品のサイズとの比較やコーディネートを考えることが可能になります。
4.オンラインで完結するメリット
これらの機能により、リアル店舗でしていた試着の多くの過程がオンラインでも完結します。
- • 店頭に行かなくても、自分の体型に合うサイズやシルエットを詳しく確認。
- • サイズやフィット感についての不安を大幅に軽減できるため、オンラインでも安心して買い物ができるようになります。
5.今後の展望:依存しない体制を整える重要性
オンラインですべてを完結させることが必ずしもゴールではありません。しかし、テクノロジーの進化によって、顧客にとってより快適な購入体験を複数のチャネルで用意することが重要です。
- • どこかひとつの売り場に依存しなくても、顧客と継続的につながることが可能になり、企業としてもリスクヘッジしやすい体制を整えられます。
- • こうした取り組みは、今後の百貨店や小売業が“未来へと足を踏み出す”ための大きな一歩となるでしょう。
6.まとめ
百貨店の象徴だった「試着」が、オンラインでも直感的かつ正確に体験できるようになったことで、消費者の購買行動はさらに多様化すると考えられます。テクノロジーを取り入れた新しい体験を提供しながら、オンラインとリアルの両軸で顧客満足度を高める動きは今後ますます加速していくでしょう。
「バーチャサイズ」の導入をきっかけに、タカシマヤをはじめとする百貨店や小売業がどのように進化していくのか、今後の展開に注目が集まります。