フューチャーショップ「futureshop」シリーズの流通額とEC市場の動向(2022年10月〜12月)
フューチャーショップが運営するSaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」シリーズの2022年10月〜12月の流通額は503億円(前年比111.68%)となりました。ECを取り巻く環境や業種別の流通動向を分析し、その背景を探ります。
2021年10月〜12月のEC環境
(1) 外出機会の増加とEC利用の変化
- • 鉄道営業収入が回復し、特に中長距離の移動が増加 → 外出機会が増加
- • 飲食店の営業時間延長(10月下旬~)→ 11月以降、対面コミュニケーションが活発化
- • 結果: EC利用の機会・時間が減少傾向
(2) 百貨店売上がプラスに転換
- • 2021年10月、全国百貨店売上高が3ヶ月ぶりに前年比プラスに。
- • 11月には入店客数も4ヶ月ぶりに増加 → 実店舗での買い物が活発化
(3) ネットショッピング支出は増加
- • 総務省調査によると、2021年11月のネットショッピング支出額は前年同月比14.5%増の21,858円。
- • ECの支出額は年々増加傾向。
- • 購入品目:「食料」「旅行関係費」「衣類・履物」「チケット」などが前年より増加。
業種別流通額の動向
契約日が2020年10月1日より前の店舗を対象に、流通額の前年比を調査。
流通額が大きく伸びた業種(TOP5)
業種 |
流通額前年比(10月〜12月平均) |
---|---|
旅行用品・旅行予約 |
316.34% |
楽器・音楽機材 |
157.11% |
ゲーム・おもちゃ・ホビー |
146.95% |
本・CD・DVD |
140.41% |
ダイエット・健康 |
130.61% |
- • 旅行用品・旅行予約が300%超えの急成長
- • 「楽器・音楽機材」「ダイエット・健康」などは前年と同じく好調
- • 「推し消費」の影響で「本・CD・DVD」が伸びた
- • 年末商戦効果で「ゲーム・おもちゃ・ホビー」も安定成長
一方、外出増加により実店舗購入が増えた商材では流通額が減少。
EC利用状況の変化
調査対象: 2020年・2021年10月〜12月に、各月100件以上の注文件数がある500店舗。
(1) 注文件数の変化
全デバイスで注文件数が増加し、前年比123.42%。
期間 |
デバイス全体 |
スマホ経由 |
PC経由 |
---|---|---|---|
2021年10月 |
127.47% |
134.96% |
113.52% |
2021年11月 |
123.20% |
130.07% |
111.19% |
2021年12月 |
119.59% |
125.46% |
110.59% |
(2) 購入単価の変化
- • PC経由の購入単価はスマホより約2割高い
- • EC全体の購入単価は前年より向上
期間 |
スマホ購入単価 |
前年比(SP) |
PC購入単価 |
前年比(PC) |
---|---|---|---|---|
2021年10月 |
¥12,888 |
103.73% |
¥15,593 |
107.74% |
2021年11月 |
¥12,899 |
109.00% |
¥15,983 |
114.56% |
2021年12月 |
¥13,235 |
106.45% |
¥15,922 |
113.98% |
(3) 新規顧客利用
新規会員増加率は130.07%。しかし、年末に向けて減少傾向。
期間 |
新規会員増加率(前年比) |
---|---|
2021年10月 |
132.26% |
2021年11月 |
131.69% |
2021年12月 |
126.25% |
考察:
• 21年の微減は「外出増加による実店舗利用」ではなく、「リピーター利用が増えた」影響と推測。
決済手段の変化
決済方法を3カテゴリー(クレジットカード / ID・QR決済 / 現金・その他)に分類し分析。
- • 「現金・その他」の利用が減少し、「ID・QR決済」が増加。
- • キャンペーンやポイント還元施策の影響も大きい。
- • 「現金・その他」利用層は実店舗での購入に流れた可能性も。
「現金・その他」から「ID・QR決済」への移行が進んでいることがわかります。
さらに、すべての決済方法(クレジットカード・ID・QR決済・現金・その他)を提供している店舗(n=354)を対象に調査した結果がグラフ2です。グラフ1と同様に、「現金・その他」から「ID・QR決済」へのシフトが確認されました。
また、「ID・QR決済」の普及には、その利便性の向上や、各社が展開するキャンペーンやプロモーションの効果が大きく影響していると考えられます。
まとめ
- 1. EC流通額は前年より増加(111.68%)
- 2. 外出増加でEC利用時間は減少するも、ネット支出額は増加
- 3. 旅行関連のEC需要が急増(前年比316%)
- 4. 購入単価は向上、PC経由はスマホより高単価
- 5. 決済手段は「現金・その他」から「ID・QR決済」へシフト
2022年以降のEC市場も拡大傾向が続くと予想される。