お母さんの声から始まる服づくり──F.O.Online Storeが積み重ねてきた、リアルとECのあいだ
子ども服・ベビー服の世界は、華やかに見えて実はとても実用的だ。毎日着るものだからこそ、動きやすさ、洗いやすさ、価格、そして何より「親が納得できるかどうか」が問われる。F.O.Online Storeは、F.O.インターナショナルが展開する公式通販サイトとして、BREEZEやapres les cours**などの人気ブランドを束ねてきた。
その根底にあるのは、トレンド先行ではなく「お母さんの声」を起点にした商品づくりと、リアル店舗とECを横断する地道な積み重ねだった。今回のインタビューから、その思想と実践を紐解いていく。
通学からフォーマルまで──「日常」を軸にした商品設計
F.O.Online Storeで扱われているのは、いわゆる“特別な一着”だけではない。むしろ中心にあるのは、通学に使える日常着から、ちょっとしたお出かけ、さらにはフォーマルまでを含めた幅広いラインナップだ。子ども服というと、デザイン性や流行に目が向きがちだが、現場で語られたのは「使われるシーン」を強く意識した設計だった。学校で毎日着る服、休日に少し気分を変える服、行事で必要になる服。それぞれの場面を想定し、親が迷わず選べる構成を整えている。
この“全部揃っている”感覚は、単なる品数の多さではない。日常の延長線上で必要になるものを、あらかじめ用意しておくという思想だ。
その結果として、親にとっては「ここを見れば一通り揃う」という安心感が生まれ、子どもにとっては「着たい服がある場所」になる。商品ジャンルの広さは、利便性であると同時に、信頼の積み重ねでもあるのだ。
他と何が違うのか──“お母さんの声”を商品にするということ
インタビューの中で、最も象徴的だった言葉がある。それは「社員のママ、お母さんの声を商品化している」という一言だ。企画会議や現場のやり取りの中で、実際に子育てをしているスタッフの声が反映されていく。サイズ感、着脱のしやすさ、洗濯後の扱いやすさ。そうした細部は、カタログスペックだけでは見えてこない。
子どもが「これがいい」と言っても、最終的に購入を判断するのは親だ。その意味で、子ども服は常に“二人分の納得”が必要になる。F.O.Online Storeが重視しているのは、子どもの好みと同時に、親が共感できる理由をきちんと用意すること。その橋渡しをしているのが、現場にいるお母さんたちのリアルな声なのだ。
この積み重ねは、派手さはないが確実に効いてくる。親が「わかってくれている」と感じる瞬間が、次の購入へと自然につながっていく。
210を超えるリアル店舗とEC──売り方は違っても、届けたいものは同じ
F.O.インターナショナルは、全国に210店舗以上のリアル店舗を展開している。BREEZE、apres les coursといった店舗名は、多くの親にとって身近な存在だ。一方で、リアルとECでは売り方は大きく異なる。接客ができる店舗と、画面越しで選ばれるEC。その違いに不安がなかったわけではない。
しかし、インタビューで繰り返し語られたのは「届けたいものは同じ」という認識だった。店舗ではスタッフが言葉で伝える魅力を、ECでは写真、説明文、構成でどう表現するか。その翻訳作業を丁寧に続けてきたことが、両立につながっている。リアルとネットを分断せず、同じ価値観でつなぐ。その姿勢が、EC単体の成果だけでなく、ブランド全体の信頼を底上げしている。
距離が生まれやすいECで、どう“近さ”を保つのか
ネット通販は便利な反面、どうしても距離が生まれやすい。顔が見えない、声が届かない。その課題に対して、F.O.Online Storeが行ってきたのは、地道な対話の積み重ねだった。レビューの活用、配信によるコミュニケーション、寄せられた意見への反映。ひとつひとつは小さな行為だが、それを続けることで「声を聞いてくれる場所」という印象が育っていく。
お母さんたちの声が商品に反映され、満足につながり、それがリピートや口コミとして広がっていく。この循環が、ECという距離のある場に“関係性”を生み出している。単に売るのではなく、聞き続ける。その姿勢が、ネット上での信頼を形にしている。
配送と改善──自社で持つからこそ見える課題
物流についても、完成形ではないことが率直に語られた。現在は自社倉庫を使いながら、日々改善を続けている段階だという。だが、ここで重要なのは「最適化しきれていない」ことではなく、「改善を止めていない」ことだ。
リアル店舗を持つ企業だからこそ、配送体験も含めてブランドの印象になる。その意識があるからこそ、細かな課題にも向き合い続けている。商品が届くまでの時間、状態、梱包。そのすべてが、次の購入判断につながることを理解しているからだ
受賞はゴールではない──お母さんと一緒につくった結果
今回の受賞について、最後に語られた感想はとてもシンプルだった。「本当に嬉しい」。それは、数字や評価そのものよりも、「やってきたことが間違っていなかった」と確認できた瞬間だったのだろう。
お母さんの声を聞き、スタッフと共有し、商品に落とし込み、改善を続ける。その積み重ねの先に、結果として評価があった。ある意味でこれは、企業単独の成果ではない。お母さんたちと一緒につくり上げてきたプロセスの“ひとつの証明”なのだ。
子どもが喜び、親が納得する。その当たり前を、当たり前に続けてきたこと。その価値が、いま改めて可視化されたと言えるだろう。