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楽天も楽天市場に依存しないよう、店も楽天市場に依存しないよう 楽天 FY2021(決算)

楽天が楽天市場に依存しないように、店も楽天市場に依存しないように」今回、楽天グループは2021年12月期の通期並びに、第4四半期の決算発表を行った際、僕は思い浮かべたのは、その言葉であった。要は、楽天も店も「外に」挑戦する時代なのだと言うことなのである。

楽天 FY2021 はECを軸に追い風はまだ続く

1.決算のハイライトから

 

まず振り返ると、連結売上収益は1.68兆円(前年比15.5%増)。2021年度Non-GAAP営業損失は、2,250億円を計上している。この損失の数値は、モバイルにおける、楽天回線エリア積極拡大に伴う先行投資等によるものと説明している。

グローバル流通総額は26.9兆円(前年比20.5%増)。楽天グループの当第4四半期の平均月間アクティブユーザー数は、前年同期比で12.2%増加。2サービス以上利用するユーザーの比率は74.7%を達成していると言う。

三木谷さんが強調していたの国内EC流通総額で5兆円を達成した事と、楽天カードの発行枚数が目標として掲げている3000枚に対して、現時点で2500万枚に迫っている点。しかも、カードのショッピング取扱高が14.5兆円となって、前年同期比+25.3%であって、コア事業の順調さをアピールした。

2.日本のEC化率はまだ低い

問題は冒頭に書いた損失の行く末。

僕が思うに、キーとなるのは、この決算発表で、三木谷さんが言った言葉。「EC化率は日本ではまだ8%程度だが、いずれ欧米などの20%に近づくタイミングが来る」と示唆している点にある様に思う。なにしろ今が8%。それを20%まで伸ばすのだから、彼らを含めたYahoo!などのモールや自社ECも含めてそれなりの規模感で伸びなければ、無理な数字である。

3.20%を現実にさせる為には、まだ新規獲得の必要性あり

でも、確実に三木谷さんはその数値を実現可能なものだとしている。

ただ、一方で、コロナ禍が後押しした成長はそろそろ鈍化するはずで、ユーザーは一巡するはず。その証拠に好調な売上の中にも、それを維持している傾向が見られていて、それを経済圏によるクロスユースでカバーしているのは彼らの事業努力によるところだろう。

具体的な数値で見てみるとすれば「楽天市場」と「それ以外のECサービス」によるクロスユースに関するデータはそれを示している。4Q/2021にして前年同期比で「楽天市場」+「楽天西友ネットスーパー」は+29.8%、「楽天市場」+「楽天ファッション」は+17.1%となっていることから、ECモール自体に専門性を際立たせて、それぞれを行き来する仕組みが奏功している。

コロナ禍が楽天にとって大きかったのは、売上を膨らませるエンジンがそれにより確固たるものとして確立されたことにあると思う。

楽天市場だけではなく楽天トラベルなども入れた「国内EC業績」の推移で見れば、それがわかる。売上収益は前年比+18.1%、営業利益は前年比+37.7%でこれ単体で見れば増益を達成していて、エコシステムにより比較的投資を抑えてうまく回収できている。

4.国内ECの業績推移を見ると

ここの上にリアルとの接点が生きる。そこで、カード利用が活きてくるが、それに関しては下記で説明している。ともなく、EC化率が上がる可能性に絡んで、三木谷さんは日本はコンビニ、スーパーなど環境が整っていてリアルが強い特徴があることを認めた上で、それでもテクノロジーの進化によってリアルよりお得だと感じられる時がやって来ることを発言の中で暗に示していた。彼の中ではリアルの価値観が変わりそれがいずれ数字に反映される事を示したのである。

EC利用と表裏一体のフィンテック

1.業界水準を超えるクレカの伸びはECでの強さの裏返し

さて、EC同士の盛り上がりに準じる形で、楽天カードは他にはないECでほぼ確実に決済されるという差別化要因で、他のクレジットカード業界の水準より高い成長率を誇っている。FY2021にして+25.3%となっているわけであり、こちらはこちらでECの恩恵を受ける形になっているわけだ。

これらを触発する形で、ポイントが存在。相互に利用し合うことで、それぞれの価値を最大化させるわけだ。彼らが歩んできた多くのジャンルにまたがりサービスを提供するメリットは結果、このポイントとフィンテックを通して、コロナ禍を背景に、さらに伸びる可能性示した格好。それは今も継続していることが担保になって、安心して未来への投資ができることに繋がっている。

2.フィンテックはフィンテック内でクロスユース

そういう事情もありながら、楽天カードを軸として同じフィンテック内でも楽天銀行、楽天証券とこの中でのクロスユースを促すわけだ。こちらは2021年12月時点で、これら三つを使うユーザーの数は89.4%に至っていて、このフィンテックの一塊で、ECの利用価値をさらに高めそうな予感。

逆に言えば、ここまで相乗効果を果たしながらも、日本でのEC化率20%にはまだ程遠い。だとすれば、自分達でさらにその伸び代をフルに引き伸ばしていけるはずで、楽天モバイルという武器は、「新規獲得において」も必要だったのだ。

これは楽天カンファレンスで触れていたけど、モバイル契約前と契約後では、楽天市場における年間流通総額が+74%である。ECにとっても形を変えた新規顧客施策なのである。既存のアプローチではリーチしきれないからこそ、これが意味を持つ。

3.モバイルを「スピード!スピード!スピード!」

ここまで話すと分かる通り、20%に近づくタイミングまで、彼らは国内EC流通総額を10兆円目指す過程で、楽天はまだ「新規顧客を獲得しなければいけないフェーズにある」と考えるのが自然であり、そこでモバイルがその部分でも必要ということになる。

ここはある意味、三木谷さんらしいが「スピード!スピード!スピード!」なのだろうと思っていて、いち早く、モバイルで存在感を発揮することを意図するほど、先行投資の幅が大きくなるわけで、それは結果的に、わかりやすいところで言うと、モバイルの4Gネットワーク人口カバー率などでみることができると思う。

2020年3月時点で23.4%であったその数値は2022年2月で96%にまで至っていて、この間、わずか2年であることを考えれば、この投資の意味合いというのも見えてくるような気がする。実際、4年前倒しで達成したとのことだ。

4.赤字が吉と出るか、その答えは・・・

基本的には、モバイルにおける一丁目一番地は、楽天シンフォニーというモバイルのクラウドサービスで、一言で言うなら、AmazonがAWSというネット上の土地を提供しているようなものを、モバイル上、高い利益率で実現するもの。

そこで世界企業への一歩を踏み出すと言っているけど、まだ未知数ではある。

ただ、先ほども話した通り、不思議な話だが、楽天がECの事業を持っていることで、ここでの新規獲得が、経済圏での循環をより活性化させることから、今まで培ってきた事業がその投資のリスクヘッジになっているのは事実。​​​​​​​

ある意味、「楽天市場」(他、ファッションなど各モール)のおかげで、彼らはモバイル投資をして、新たな可能性で会社自体の価値を底上げしようとしていて、ちゃんとそれは「楽天市場」などに還元するけど、もうこの会社自体はその先を見据えている。

5店も店で楽天のように「外にも」可能性を求める

故に、彼らが投資をしている間、恐らく「楽天市場」でも上昇気流は続くが、彼らが新しいマーケットから新規顧客を呼び込むように、店も店で、楽天ありきで、投資をしないことが大事だと思う。

ECがそれだけ多様化しているわけで、売上が伸びているからといって、自らは変わらずにいると、痛い目に遭う可能性が高いと見ていて、自社ECなどで新たなマーケットを求めていくことがベターだろう。

何も楽天云々を言っているのではなく、​​​​​​​楽天も店舗もお互いで新たなチャレンジをしていく中で、相乗効果を発揮するのが長期的な視点に立てば、プラスに作用すると思うと言っているのである。

今こそ、きっと追い風が吹いている店舗もあるだろうから、彼の挑戦を見習って、店は店としてあるべき姿を、それぞれが模索し、道を切りひら中で、成長できることを祈る次第である。

今日はこの辺で。

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