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Shopifyが語る“D2C再考”──プラットフォームが見ている「ブランドと顧客の未来」

Shopifyが公式ブログで発信した「D2C戦略を始める前に考えるべき30の質問」。一見すると、D2Cを始めるブランド向けのチェックリストに過ぎない。だがその裏には、小売の構造が再び“顧客主導”へと回帰しているという時代の流れがある。

 Shopifyが語るD2Cとは、もはや単なる販売モデルではない。それは、“ブランドが顧客との関係を再設計する”ための思想そのものだ。

小売の主導権を、もう一度ブランドの手に

Shopifyが繰り返し伝えるのは、D2Cを始める前に「なぜ自分たちは直販をやるのか」を問い直すことだ。

この“なぜ”の欠如が、最も大きな失敗要因になるという。要するに、「売ること」よりも「どうつながるか」が重要だと示している。

背景には、テクノロジーの進化で“販売の壁”が消えた現実がある。誰でもオンラインストアを立ち上げ、SNSで告知できる時代。

だからこそ、思想と物語を持たないブランドは、すぐに埋もれるShopifyの言葉は、その現実を直視させる警鐘でもある。

データとコミュニティが生む“本当のブランド体験”

 記事では「顧客中心」「データドリブン」「ブランドコミュニティ」の3つを、成功の鍵として挙げている。これらはShopifyが提供する機能と直結しているが、実際はもっと深い意味がある。

 データとは“数字の裏にある人の気持ち”を可視化するための道具。コミュニティとは“ブランドが語るのではなく、顧客が語り出す場”のこと。

 Shopifyは、自社サービスを通して“販売”ではなく“関係”を設計する力をブランドに与えようとしている。それは単に便利なツールの話ではなく、ブランドが自らの物語を取り戻すための仕組みなのだ。

「それでもやる価値がある」と言い切る理由

 Shopifyは同時に、D2Cの厳しさも隠さない。広告費の高騰、物流コスト、人的リソースの不足。「D2Cは簡単ではない」と認めたうえで、それでも「やる価値がある」と言う。

 理由は明確だ。

 そこには顧客と直接つながる未来があるからだ。プラットフォームの言葉としてではなく、時代の要請としてD2Cを再定義している。

それは“効率化”のための戦略ではなく、“関係性を再構築する”挑戦なのだ。

結び

Shopifyのこの発信は、単なるノウハウ共有ではない。それは、プラットフォームが自らの立場を超えて、「ブランドと顧客がどう向き合うべきか」を語る時代のメッセージでもある。

D2Cとは、テクノロジーの話ではなく、「人がどう生きるか」を問うビジネスの形。Shopifyはいま、“売る”ではなく“つながる”という新しい経済の在り方を提案しているのだろう。

──今日はこの辺で。

参考:https://www.shopify.com/enterprise/blog/30-questions-before-selling-direct-to-consumer

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