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物価上昇下で変わる消費行動──「節約」と「高コスパ重視」が定着する日本のネットショッピング

総務省統計局によれば、2025年6月の消費者物価指数は2020年基準比で111.7と、前年同月比で3.3%上昇している【出典: 総務省統計局】。日常的な生活コストの上昇が続く中、消費者の購買行動にも確かな変化が表れている。

 ネットショッピングは今や生活の中で一般的な購買手段となり、その利用頻度は高まる一方だ。今回、調査会社イプソスが全国2,000人を対象に行った調査では、日本のオンラインショッピング利用者のおよそ7割が「コストパフォーマンスの高さ」を重視すると回答している。

「安さ」より「納得できる安さ」へ

 調査によると、単に低価格を求めるだけではなく、「価格が安くても品質は一定以上であること」を条件に選ぶ消費者が多数を占めた。6割以上が「値段の割にしっかりした商品を買えること」を重視し、節約と満足感の両立が求められていることがわかる。

 つまり、価格競争の先には「安さに納得できる理由」や「使って満足できる実感」が重要視される段階に移行しているといえる。

節約志向は“日常化”へ

 8割近くの人が「月1回以上オンラインショッピングを利用している」と回答。さらに約4割が「セールやクーポンの活用」「安価な商品の探索」「不要なものは買わない」といった行動を日常的に実践している。

このことから、ネットショッピングは「特別な買い物」ではなく、日常的に節約を意識する購買行動の場となりつつある。お得感を追求するだけでなく、計画的で熟慮した買い物が広がっている点が特徴的だ。

事例としてのTemu利用者の傾向

 調査では、グローバルECプラットフォーム・Temuの利用者に関する傾向も明らかになった。利用者の約4分の3が「日常的な支出の節約を実感した」と回答し、7割以上が好意的な評価を示している。

 特に20代を中心に、子育て世帯や勤労世帯で利用が活発であることが分かった。これは、消費者が「価格と品質のバランス」に敏感になり、合理的な節約を重視する購買姿勢を象徴している。

消費社会を映す鏡としてのネットショッピング

 今回の調査結果から見えてくるのは、「価格」だけではなく「納得感のある節約」「高コスパ」という価値基準が日本の消費社会に根付いているという事実だ。

オンラインショッピングは利便性の枠を超え、生活コスト上昇に直面する消費者心理を反映する場になりつつある。節約志向と品質へのこだわり──その二律背反をどう満たすかが、これからのECの大きなテーマとなりそうだ。

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