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ジェンダーニュートラル の価値観 若年層 を中心に浸透

「 ジェンダーニュートラル 」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。「男性は、こうあるべき」「女性は、こうあるべき」そこに異議を唱えて、既存の役割認識にとらわれない発想です。その点、「CCCマーケティング総合研究所」(以下「CCCMK総研」)が「生活者意識調査・新たな生活者意識を探る~商品に関するジェンダー意識調査~」を行い、その結果をまとめていて、そこに従来の価値観とは違う今の時代の潮流があります。

ジェンダーニュートラルの広がりが消費行動に与える影響

この調査は、「ジェンダーニュートラル」という考え方が広がる中で、男女の性差を前提としない社会の先に何があるのかを探るために実施されました。従来、当たり前とされてきた性別による消費の違いが薄れ、将来的にはなくなっていく可能性があるのではないか。そうした変化は今後の消費行動にも大きく影響を与えると考え、この記事を執筆しました。

では、<図1>をご覧ください。これは、生活者が商品やサービスに対して感じる「違和感」を調査した結果です。上段から「違和感を覚える」「やや違和感を覚える」の合計が高い項目順に並んでいます。

サービス提供者が 「一定の条件で生活者を識別するようなサービス」 について、5割以上の生活者が何らかの「違和感を覚えている」ことがわかりました。具体的には、最上段にある 「紹介制や一見さんお断りのサービス」「特定の条件(職種、資格、年収など)によって受けられるサービス」 に対して、オレンジ(「違和感を覚える」)とグリーン(「やや違和感を覚える」)の割合が多く、50%を超えています。

「違和感がない」と評価されたサービスとは?

一方で、 「違和感がない」 という回答が多かったのは、最下段にある 「利用する・しないを生活者自身が判断できるFSP(Frequent Shoppers Program)サービス」 です。具体的には 「航空会社のマイレージサービス」や「小売業のポイントサービス」 などが該当し、これらのサービスについて 「違和感がない」 と答えた人は6割を超えていました。

また、「特定の受益者を限定するサービス」 にあたる 「年代によって受けられるサービス」、「家族構成を条件に利用できるサービス」、「学割などの特定の状況で受けられるサービス」** については、「違和感を覚える」と回答した人が3割程度いる一方で、「違和感がない」と答えた人も5割を超えています。

<図1>を踏まえ、次に<図2>では 「サービス」「商品」「店舗・売り場」 というカテゴリごとに、「ジェンダー(男性・女性)」という表記の有無について世代別の回答を詳しく見ていきます。結果として、 「ジェンダーを限定するサービス」 に対し、全世代の約5割が何らかの「違和感を覚える」と回答していることがわかりました。

注目すべきは、10代の意見が 全体と比べて7ポイント以上高い ことです。この傾向は「サービス」に限らず、後述する 「商品」や「店舗・売り場」 といったジェンダーに関連するカテゴリでも見られ、特に 10代を含む20代以下の世代は、全体よりも強く違和感を覚えている ことがわかります。

「色のバリエーション」に対する意識の変化

こうした多様な価値観が存在することを踏まえ、「色のバリエーションに対する意識」 を調査したのが<図3>です。

結果を見ると、若い世代ほどジェンダーによって「商品選びの自由」を制限されたくない という意識が強いことがわかります。特に10代では、「違和感を覚える」と回答した割合が 全体と比べて9.3ポイント高い という特徴が見られました。

この数値は、他のジェンダーに関する設問項目(<図2>・<図3>)と比較しても差が大きく、特に注目すべきポイント だと言えます。

色のバリエーションについて考えると、商品を作る側や提供する側は、最適な在庫数を導き出すために一定の検証が必要 になります。しかし、今回の調査結果からは、消費者が自分に合った色を適量生産し、それを販売すれば商売が成立する可能性がある ことが示唆されています。

これまでの常識では、企業が提案する色に消費者が合わせる という形が一般的でした。しかし、今後は 消費者のニーズに合った数量と色を把握し、それに応じた商品を提供することが求められる のかもしれません。もし適正な数だけ生産することができれば、単価が上がったとしても 無駄な在庫を生まず、持続可能な販売戦略 に繋がる点も注目すべきです。

次に、売り場に関する意見 を見てみましょう。従来、売り場は 男性フロアと女性フロアに分かれていたり、店内の一部が「女性コーナー」「男性コーナー」と区切られていたりする のが当たり前でした。しかし、今回の調査では、回答者全体の1/4がこの状況に違和感を覚えている という実態が明らかになってきています。

こちらも20代以下の若い世代ほど「違和感」を強く感じている傾向が見られます。この違和感の高さは、「実際に自身とは異なるジェンダー向けの商品を購入した経験、または購入しようとした経験」が影響しているのではないか と考えられます。

「男女」で区分された売り場は過去のものに?

こうした流れを見ていると、商業施設のフロアを「男女」で分けること自体が、過去のものになっていく可能性がある と思えてきます。近年のSNSの普及も相まって、性別ではなく「価値観」で売り場が区分される時代に移行していくのかもしれません。SNSやD2C(Direct to Consumer)がその価値観を醸成し、リアルな売り場にもその変化が反映されていく ことは十分に考えられます。まだ断言はできませんが、決してあり得ない未来ではないでしょう。

かつての大量生産・大量消費の時代では、「男女」というカテゴリ分けがコスト削減や販売戦略として理にかなっていた のかもしれません。しかし、今はその分け方に違和感を抱く人が増えているのが現実です。この変化は、ネット通販などが新たな購買体験を提供する機会として活かせる要素 なのではないでしょうか。

時代が変わる中で、かつて「当たり前」だった「男女」という枠組みが、むしろ違和感を生む時代に突入しています。 これからは、その固定観念にとらわれず、消費者のニーズに応じた商品が生まれ、売り場が作られていく時代 へとシフトしていくのかもしれません。

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