1. HOME
  2. event
  3. 事業
  4. PayPay LINE で EC も多様化へ Zホールディングス 2021年度第2四半期(決算)

PayPay LINE で EC も多様化へ Zホールディングス 2021年度第2四半期(決算)

通販の文脈で見ても、もうヤフーはかつてとは違った形で差別化を図ろうとしているのだろう。先日、行われたZホールディングスの2021年度第2四半期決算の話を聞いていて思った。メディアの集客力に付随してモールとしての価値を謳った時代とは変わっていて、今の要は間違いなく「PayPay」や「LINE」にある。それと共に広がるのは多様化し、日常と密接に繋がるECである。

PayPay LINE を効果的に活用して事業を伸ばす

 

成長の片鱗は少し見え始めていて、2021年度第2四半期を終えて決算で売上収益は3776億円(YOY33.3%増)で、調整後EBITDAは1008億円(YOY35.4%増)で好調に推移している。

その中で着実に「eコマース」は力をつけていて、取扱高8,441億円(YoY+7.5%)の着地である。

 

その中にあって、上の写真に入れているが、物販系ECはYahoo!ショッピング、PayPayモールに加え、ZOZOTOWN、LOHACOなどがそれにあたる。当初から、代表取締役川邊健太郎さんは、ナンバーワンを目指すと話しているだけあって、たとえば、ZOZOTOWNをPayPayモールに出店するなどして、相互に活用しあって、そのグループの価値をフルに活かして、取扱高を伸ばしている。

さて、冒頭「PayPay」を強化していると書いたが、それもそのはず「PayPay」であれば購買データが把握できるから、そこに基づいて、生産性の高いアプローチができるわけであり、ある意味、それがメディアとしての役割も担っているから理に叶っている。

具体例を挙げるなら「超PayPay祭」7月実施回において、それが表れている。「事前期間に対象ストアで購入しておくと、グランドフィナーレが さらにおトク」といって、施策設計 • 購入履歴に応じたプロモーションを強化したのに伴って、グランド フィナーレに再購入したユーザー数が昨年11月対比31%伸びたのだ。

大事なのは、マスに対してのアピールする事なく、自らで仕掛けをして成果を出している点で、投資も抑えることができるわけである。実際、昨年2020年11月実施の「超PayPay祭」に対して、かかった費用が28%も減少できたとしている。僕がユーザーと繋がっていて、PayPayもある種、メディアであると喩えているのは、このような結果からである。

PayPayはどうマネタイズしているの?

ちなみに、現時点では「PayPay」は相乗効果をもたらす、歯車のようなものだが、それ自体はどういうマネタイズの構造になっているのだろう。これについても決算発表の中で、3階建て構造というユニークな表現で説明していたが、下の写真を見てほしい。

1階が「加盟店の手数料収入」、2階が「加盟店への販促サービスなどでの収益」3階が「金融サービスによる利益」だとしており、これを一つ一つ、積み上げていく。

気になるのは一階部分の手数料である。最近、彼らは決済手数料を有料化しており、その影響が不安視されていたが、離脱は加盟店数で0.2%取扱高で0.1%という具合で、減少は軽微であったと説明している。それどころか、10月のPayPayの取扱高は過去最高記録となったそうだ。

これを見るに、キャッシュレスの追い風を背景に加盟店にとっても、必要な存在として定着すれば、利用者も増えて、良いサイクルが生まれてくるだろう。

LINEを活用してECの多様化を図る

1.経済圏の強さを発揮して、自社ECを運用する「MySmartStore」

もう一つ、彼らはコマース事業では多様性に応える事で他の経済圏と差別化を図ろうとしており、その意味では自社ECへの注力にも注目である。その部分ではLINEの強みを生かしたもを全面に出し、これまでヤフー時代には見られない動きである。新しい動きは10月20日からの「MySmartStore」である。

ストアごとにLINE公式アカウントを設置しており、ここを通じて、キャンペーン告知、クーポンなど販促メッセージを送ることができるとしている他、一連の購入フローをLINEで完結できるとしている。

独自ドメインの通販サイトではお客様の取り込みが課題となっているが、「LINE公式アカウント」と合わせることで、結果に繋げやすい、と彼らは説明する。

また、PayPayモールとYahoo!ショッピングともそれらの自社ECをクロスセルさせて、自社ECサイトでありながら、グループ内の価値を生かしていく。濫立する自社ECのプラットフォームの中でそうやって、彼らなりの付加価値を示したのである。

実際、主にそれらのモールでのつながりをフックに、店舗からの期待も大きいと説明して、導入開始から3か月間で、申し込みストア数は2万件にも及ぶ。モールで出店しているお店も、その個性を自社ECでも活かす形へ自分達を変えていきたい、という心の表れをここに見てとれる。

彼らは、そうやって、店舗の多様化を触発して、新しいネット通販のニーズに応えていこうというわけである。

現時点は「友達」増加に向けて動いている段階。ただ、第二フェーズとして、そこで繋がった「友達」をテコにして、今後CRM機能を実装していく。それは、中々モールではできなかった、店ごとにファンを作って、継続顧客をベースに、店としての土台を作っていく方向性も彼らは後押ししていこうというわけである。

メッセージ配信数の増加させて、アクティブ率の拡大ができれば、必ずやそれらはモールとは違った形で売り上げを作れるとしているわけである。

2.モール出店店舗にはLINEギフトを提案

LINEの活用という部分では、ソーシャルコマースの展開も意図して「LINEギフト」をヤフーショッピングと連携させている。10月27日時点での申込数は1300店舗に及ぶそうで、これも関心の高さを窺わせる。

冒頭話した通り、もうヤフーはかつてとは違った形で差別化を図ろうとしていることをわかっていただけたと思う。メディアは一定の価値を持ちながらも、そこの集客力に付随してモールの価値を高めていたのは、過去の話であって、今の要は間違いなく「PayPay」と「LINE」である。

「PayPay」はかつてでいうところの集客であり、販促。そして「LINE」は多様性が求められる今のECの風潮に対しての備えであるということだと僕は受け止めている。

今日はこの辺で。

Headline

| 事業

今後のイベントはございません。