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DX は「リアルをやめる」ことではない BPO 活用 で伸びる 通販

昨今「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が叫ばれていますが、その本質は「リアルを捨ててオンライン化する」ことではありません。むしろ企業が自社の在り方や顧客との向き合い方を改めて問い直し、必要なリソースを最適な形で使いこなす姿勢が求められているのです。

 こうした時代に、株式会社スクロール360 常務取締役の高山隆司さんが著したのが『EC通販で勝つBPO活用術』。それに関しての披露パーティに呼ばれ、僕もコメンテーターとして参加しました。なにせ、この準備として、高山さんのお面が届いて、それで記念撮影したくらいなんで(笑)。本書では、専門知識を持つ外部企業の力を一括して活用し、自社の強みを最大化するというBPO(Business Process Outsourcing)の意義を語っています。

そもそもBPOとは?

 BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、企業が業務プロセスの一部または全部を外部の専門業者に委託することを指します。単なる作業の切り出しや外注ではなく、業務の企画・設計から運営・分析に至るまで、業務全体をトータルに委託できるのが大きな特徴です。

BPOの特徴

幅広い業務のアウトソーシング

経理や人事などのバックオフィス業務だけでなく、カスタマーサポートやITサポートなど、フロントオフィス業務にも適用されます。

業務の一括委託

業務プロセスをまとめて専門家に任せることで、効率化や専門性向上が期待できます。特定分野に特化したノウハウが活かされ、業務品質の底上げにつながります。

経営資源の集中

自社のコア業務以外を委託することで、経営資源を本当に注力すべき領域に集中させることができ、競争力を高める効果が見込めます。

一般的なアウトソーシングとの違い

BPO は単なる作業切り出しではなく、企画や運営面までを含む包括的なアウトソーシングです。業務全体を任せることで、より大きな改善やコスト削減を狙うことができます。

BPOの利点

コスト削減

ノンコア業務を変動費化することで、固定費削減や経営の柔軟性が高まります。

効率化

専門知識・経験を持つ外部業者の力を借りて、業務プロセスの質を上げ、スピードを向上させられます。

リソースの補填

自社には不足している人材やスキルをスムーズに確保し、全体の業務を止めることなく進められます。

BPOの導入例

  • • 人事業務(給与計算、採用活動など)
  • • 経理業務(請求書作成、決算サポートなど)
  • • 顧客サポート(コールセンター業務など)
  • • ITサポート(システム保守、ヘルプデスクなど)

BPO 活用は「通販企業の核」があってこそ

高山さんの出版記念パーティに参加した際、印象的だったのは「通販企業の在り方」や「あるべき姿」が強調されていたことでした。実は BPO 活用の要点は、それぞれの通販企業が持つ独自のカラーや顧客対応の姿勢を大切にしながら、外部の専門知識を組み合わせることで最大の成果を出すところにあります。

一方で、店舗によっては売上を伸ばすことに注力するあまり、物流を「おまけ」と見なし、コスト重視で外注してしまうケースも見られます。しかし今こそ、自社の通販価値を高めるためにも、物流などの専門リソースをどう活かせるかが重要なのです。これこそが、高山さんのいう「BPO」活用の核心と言えるでしょう。

通販で大切なのは「継続的な顧客体験」

当日のパネルディスカッションでは、FABRIC TOKYOの森雄一朗さん、ムービングの臼井穀さん、アスクルの輿水宏哲さんが登壇し、「通販企業の核」について語られました。そこに通底していたのは、モノを売って終わりではなく、顧客との関係を長く深めることが大切だという考え方です。

従来の小売では「販売すること=ゴール」となりがちでしたが、今はリピーターを得るための“顧客体験”が欠かせません。リアルの店舗であっても、そこを「お客さんとの関係のスタート」と捉え、その後に続く継続的なコミュニケーションこそが鍵を握ります。実際に百貨店や丸井などでも、“売らない店”のコンセプトやD2Cブランドとの協業を進め、顧客とのエンゲージメントを高める取り組みが広がっています。

「ナラティブ」を活かすストーリー型の提案

高山さんは本書の中で、「ナラティブ」という言葉を用いながら、アウトドア用品店の具体例を紹介しています。

• 初心者向けのテントを買った顧客に対して、「テントの立て方動画」をメールで知らせる。

• その次の週には「キャンプ飯のレシピ」を案内する。

こうした物語性を伴う接客により、顧客との信頼関係を少しずつ育てていくわけです。ここで重要なのは、通販企業が自社の世界観やカラーをしっかり打ち出し、長い関係性を築く意志を明確に示すこと。そうしてはじめて、物流をはじめとする外部のプロフェッショナルが、その世界観に合わせたきめ細やかなサポートを提供できます。

物流と通販はタッグで成長する

高山さん率いるスクロール360は、様々な通販企業のBPOを手がけており、

• 月に16万羽もの折り鶴を送れるキャパシティ

• 通販企業ごとの要望に合わせた梱包や同梱物の工夫

など、他社にはないサービス体制を整えています。これは「売上を伸ばしたい」「顧客を大切にしたい」と本気で考えている通販企業と、物流の専門家であるスクロール360がタッグを組み、協力関係を深めることで実現した結果といえます。物流は決して“おまけ”ではなく、通販企業のブランド価値を左右する重要なパートナーなのです。

DX 時代こそ問われる通販企業の姿勢

ECが当たり前となり、あらゆる企業がデジタルで顧客とつながる時代です。だからこそ、企業自身が「顧客とどう向き合い、どんな価値を提供するのか」をはっきりさせることがますます重要になっています。自社独自のポリシーや世界観、顧客を喜ばせる具体的な体験の設計があってこそ、外部リソースの活用も効果を発揮します。

まさに高山さんの本が示す「BPO活用術」は、単にコストカットや業務削減の話ではなく、通販の核をどう磨き上げ、その価値を高めるかがポイントです。物流という専門領域をプロに任せることで、自社は顧客とのエンゲージメントやブランド戦略に集中できる。これこそが、DX 時代の通販が目指すべき姿の一つではないでしょうか。

まとめ

通販企業が成長するためには、自社の世界観や顧客との関係性をしっかり築く姿勢が欠かせません。そのうえで、物流などの専門家とタッグを組み、外部のリソースを活かすことで、DX を単なるオンライン化ではなく、本質的なサービス品質の向上へとつなげられます。

「BPOを上手に使ってECで勝つ」。この言葉の背景には、単なるアウトソーシングではなく“企業と顧客をどう結びつけるか”という深い考えがあるのです。もし自社の通販価値をより高めたいと感じているなら、『EC通販で勝つBPO活用術』を手にとって、自らの姿勢を見直してみるのも良いかもしれません。

今日はこの辺で。

(執筆者の感想)

高山さんの出版記念パーティに参加し、物流の専門家がここまで「企業のあり方」や「顧客への姿勢」に重点を置くことが新鮮でした。まさにDX 時代の要諦は“リアルかデジタルか”の二元論ではなく、顧客との長い付き合いをどう構築するかという一点に尽きるのだと改めて感じています。

  • EC通販で勝つBPO活用術:https://amzn.to/39JAnPq
  • ※リンク載せますが、僕のポリシーとして、アフィリエイトリンクにはしていません(笑)。

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