後払い決済サービスが広げる新しい購入スタイル―クレカを持たない若年層が趣味や学習に積極利用―メルペイ調べ
近年、商品やサービスを購入した後から支払いができる「後払い決済サービス」(Buy Now Pay Later:BNPL)の市場が急速に拡大しています。メルペイはこの動向を踏まえ、「後払い決済サービスに関する実態調査」を実施。今回は、その調査結果から見えてきた利用状況や特徴をわかりやすくまとめました。
後払い決済サービス市場の拡大
• 国内EC市場での後払い決済額
2022年には約1兆3,500億円にまで拡大すると予測されています
(出典:「オンライン決済サービスプロバイダーの現状と将来予測 2018版」矢野経済研究所調べ)
• グローバル市場での後払い決済額
2025年には約72.8兆円に達すると見込まれています
(出典:インサイダー・インテリジェンス「BNPL(Buy Now Pay Later)2021年1月」)
メルペイの後払い決済サービス
- • 2019年4月:「メルペイスマート払い(翌月払い)」の提供開始
- • 2020年7月:「メルペイスマート払い(定額払い)」の提供を開始
- • 20代~30代を中心に幅広い層で利用が進行中
今回の調査概要
- • 対象:全国の10~50代、男女800名
- • テーマ:後払い決済サービスの認知・利用状況、および利用者特性
• ポイント:
- 1. 後払い決済サービスの利用実態
- 2. 後払い決済サービスの認知度・利用率と感じるメリット
- 3. 後払い決済サービスの利用シーンと利用者の特徴
1)後払い決済サービスの利用実態
まず、普段使用している決済手段を複数回答で尋ねたところ、23.3%が後払い決済サービスを利用していると回答しました。これはおよそ4人に1人が利用している計算となり、後払い決済が着実に浸透している状況がうかがえます。
2)後払い決済サービスの認知度・利用率とメリット
次に、知っている後払い決済サービスとしてもっとも多く挙げられたのが「NP後払い」で、**認知度が32.4%、利用率が25.6%**と高い水準を示しました。
一方で年代別に見ると、10代・20代の約36%が「メルペイスマート払い」を認知していることがわかりました。若年層にとって「メルカリ」の利用が身近であることが影響しており、その延長線上で「メルペイスマート払い」にも自然と親しんでいるという構図が推測されます。
利用者が感じるメリットの例
- • 手元に現金やクレジットカードがなくても買い物ができる
- • 支払いタイミングを調整しやすい
- • 急な出費や突発的な購入ニーズにも対応できる
3)後払い決済サービスの利用シーンと利用者特性
後払い決済サービスをどのような場面で使うかを聞いたところ、クレジットカード保有者(62.8%)、非保有者(60.2%)ともに「日常の生活必需品の買い物」が最も多いという結果でした。日常的な出費に気軽に活用している様子がうかがえます。
ただし大きな違いが見られたのは、「趣味や学習、旅行・ライブといった体験型消費」の利用割合です。クレジットカード非保有者は、クレジットカード保有者に比べて後払い決済サービスを使う比率が高いことがわかりました。具体的には、英会話などの学習サービスや旅行・イベント参加費など、“非日常”に近い体験消費に後払い決済を活用している人が多い傾向があります。
クレカを持たない人が趣味や学習に後払い決済を使う理由
- • 支払いを分割・先送りできるため、大きな出費になりがちな趣味・学習費用の負担が抑えられる
- • 現金やデビットカード決済と区別することで、趣味や学習専用の支出として管理しやすい
- • クレジットカードを作れない・作らない層でも気軽に利用できる
今後への展望
調査結果からは、クレジットカード非保有者・若年層ほど、趣味や学習などの“非日常的”な体験に後払い決済を活用する傾向が見られました。このことから、以下のような可能性が考えられます。
- 1. 趣味・学習系サービス事業者の後払い対応が拡大
- 後払い決済を導入することで、クレジットカードを持たないユーザーでも利用しやすい環境を整えられる。
- 2. サブスクリプションサービスとの親和性向上
- 月額や定額制での支払いに後払い決済を組み合わせることで、より幅広い層がサービスを利用しやすくなる。
- 3. 若年層のクレジットカード保有への“橋渡し”
- 後払い決済をきっかけに決済の仕組みに慣れ、将来的にクレジットカードを作る段階へとスムーズに移行する可能性もある。
おわりに
後払い決済サービスは、クレジットカードを持たない若年層をはじめ、多様なユーザーがさまざまな用途で利用し始めています。とりわけ、趣味や学習・旅行・ライブなどの体験消費においては、支払い方法の選択肢が広がることで利用意欲を刺激しているようです。今後も新たな決済手段として「後払い」はさらに拡大し、サービス提供者側・消費者双方にとって大きな可能性を秘めているといえるでしょう。