LINE 、AWS と連携 企業の DX 実現 顧客体験に深みを
LINEがどう自らの企業価値を高めようとしているのか。「LINE CX DAY」という催しはその部分に対しての答えを顕著に示してくれたと思う。LINEは「LINE DX Program with AWS」の提供開始を発表。アマゾン ウェブ サービス ジャパン( AWS )とAWSのパートナー企業の支援のもと、どういうプラットフォームを形成して、その地位を盤石にするのか。
1. 企業価値向上を目指すLINEの戦略
LINEは「LINE CX DAY」において、新たに「LINE DX Program with AWS」を発表した。これはアマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS)およびAWSのパートナー企業と協力し、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するプログラムである。LINEはもともとメッセージアプリとしてスタートし、そこから培ったコミュニケーション基盤を活用して、企業と顧客をつなぐプラットフォームへと進化を遂げてきた。今回のAWSとの連携強化は、さらに企業価値を高める大きな戦略の一端だと言える。
2. コロナ禍で求められる顧客体験の変化
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、オフライン中心の顧客接点が見直されている。こうした状況下で、LINEはまず「LINE公式アカウント」を起点に企業と顧客がつながることを提案している。LINEの強みである「One to Oneコミュニケーション」を活かし、企業が効果的に顧客とやり取りできるプラットフォームを整備することで、新たな顧客体験の創出を目指している。
3. 「LINE公式アカウント」とパートナーエコシステム
LINEは自社のAPIを広く外部に公開しており、テクノロジーパートナーが自由にLINE上でサービスを開発できる環境を整えている。その結果、多くのパートナー企業がLINE上で独自のサービスを競い合い、質が向上してきた。
たとえば、渋谷区との連携により、住民票の申請から支払い(LINE Pay)までをLINE上で完結できるようになった。これはテクノロジーパートナーのアイデアと技術力が実現した例である。このように、パートナーとの協業によってLINEのプラットフォーム自体の価値が高まり、多様な顧客体験を生み出している。
4. AWSとの連携によるバックエンドインフラ強化
LINE上のサービスが活性化すれば、企業のニーズに合わせたバックエンド(インフラ)の構築やアーキテクチャ設計が重要になる。ここで注目されるのがAWSとの連携だ。AWSは高い技術力と多数の導入実績を持ち、クラウドインフラサービス市場をリードしている。
そこでLINEは、AWSおよびAWSパートナー企業の支援を得て「LINE DX Program with AWS」の提供を開始。月間利用者数8,400万人超のLINEユーザー基盤と、AWSの強力なインフラを組み合わせることで、企業のDXを加速させることが可能になる。
5. コミュニケーション軸のプラットフォーム強化へ
LINEはメッセージアプリという強固な基盤を活かし、企業と顧客をつなぐプラットフォームを拡充してきた。そこにAWSのクラウド技術を組み合わせることで、バックエンドを盤石にし、公式アカウントを利用する企業が増加するほどサービスの価値が高まる構造を生み出している。
今回の「LINE DX Program with AWS」は、まさにコミュニケーションを軸にしたプラットフォームとしてのLINEの強みをさらに高める取り組みであり、これによってLINEの企業価値向上の道筋が一層明確になったと言える。