ヤマト JAL 宅急便 の新・流通手段として飛行機を発表
クロネコヤマトのマークが入った飛行機を見ておっと驚いた。「宅急便でものを運ぶ」といったらクルマなどを連想するのが普通であろう。だが、先ほど、ヤマトホールディングスと日本航空の記者発表はそれを覆す内容であった。首都圏から北海道、九州、沖縄地域への長距離輸送に飛行機の「貨物専用機」を活用することを明らかにしたのである。
ヤマト JAL 飛行機で貨物専用機を保有し 空でも運ぶ
1.ヤマト運輸がフレーターを活用するのは初
ヤマトが「貨物専用機(フレーター)」を活用するのは初めて。まずは3台保有する。ただし、何かこれで特別なプランを設けるというわけではない。通常の「クロネコヤマトの宅急便」の輸送の手段としてこれを追加させるわけだ。例えば、乗り換えの負荷などを軽減させるなどして、生産性を高めていくというわけである。
2.2024年問題が控える今の物流業界
なぜ、生産性を高めていく必要性があるのか。その部分のヒントは、これらを開始する時期にある。2024年。実は、昨今、物流に関連して「2024年問題」が叫ばれている。
これは働き方改革で年間の時間外労働時間の上限が、960時間に制限されるようになるというもの。それを意識したという部分なのだ。今まさに右肩上がりで配送が増えている。その一方で、働く量は制限される。だから、今のうちに別のインフラを確保して、生産性を高めようというわけだ。そうでもしないと、そういう課題に応えられないからだ。
あくまで今の宅急便サービスを維持することを強調
1.リースを受けてヤマト運輸が保有
実際にはヤマトグループがJALグループからリースを受けて、「貨物専用機(フレーター)」を保有。そして、運行を委託する形になる。具体的には、年間で10万トン〜15万トンくらいの物流を想定している。
運行のペースは今後の状況次第。だが、鉄道、フェリー、旅客機床下貨物スペースに加え、これらで「運ぶインフラ」の分母を広げていくのである。そうする事で安定的な輸送力の確保とサービス品質の維持を図るというわけである。
2.JALにとっても旅客需要の減少を埋める材料に
これはJALグループにとっても渡りに船だろう。昨今、コロナ禍の影響もあって今後、旅客需要の部分で不透明な部分もある。その一方で、ネット通販をはじめとして貨物専用の需要は伸びる可能性は十分考えられる。そちらにリソースを割くというのは自然の流れだろう。
一つ付け加えておくと、ヤマトグループらしいと感じたのは、地方創生の意味合いも持っているとしている点。以前から全国津々浦々、地方とのネットワークを重んじ、生産物をいかに良質に運ぶか。これまでも地方自治体などとの連携も密にしてきた彼らが、飛行機によるスピード輸送で、その価値を最大化できると考えている。
SDGsやコロナ禍で急速に世の中が変容して、働く環境や消費のあり方の変貌している。これまで当たり前だと思っていたインフラは改めて見直しが迫られているということ。今までなかった利用シーンは、社会が新たな局面に来ていることに気づかせてくれる。
今日はこの辺で。