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フリマアプリ の取引 年齢間に違い 生活総研 メルカリ 調査

 フリマアプリ は従来の買い物の発想を変えていく要素が見られる。その特徴として世代間を越えた「モノの価値へのリスペクト」だ。ひと世代上のものでも、抵抗なく若い世代が購入したり、逆も然り。ただ、面白いのは商品カテゴリーによって、やりとりの世代が異なる。 博報堂 生活総合研究所( 生活総研 )とメルカリ総合研究所(運営: メルカリ )による「フリマアプリでの生活者間取引構造の実態分析」である。

博報堂 生活総研 メルカリ総研 が示す 年齢を超えた フリマアプリ の実態

冒頭にも書いたとおり、博報堂生活総合研究所は、メルカリ総合研究所と共同で研究を行い、「フリマアプリでの生活者間取引構造の実態分析」を実施した。これは、合計1,199カテゴリーにおよぶフリマアプリ「メルカリ」の商品カテゴリー毎に、2019年の取引の出品者、購入者の年齢分布を分析したものである。
そして、取引の傾向を下記の3つに分類し、その割合を抽出している。年上から年下への「おさがり型」、年下から年上への「逆おさがり型」、ほぼ同年齢の「年齢一致型」といった具合で、定義は下記のとおりである。
  • 年上から年下への「おさがり型」商品カテゴリーの定義
  • =出品者の平均年齢が、購入者の平均年齢より1.0歳以上高い商品カテゴリー
  • ・年下から年上への「逆おさがり型」商品カテゴリーの定義
  • =出品者の平均年齢が、購入者の平均年齢より1.0歳以上低い商品カテゴリー
  • 出品者・購入者の平均年齢が一致する「年齢一致型」商品カテゴリーの定義
  • =出品者と購入者の平均年齢の差が1.0歳未満の商品カテゴリー

おさがり型

美顔ローラーは、美容に目覚めた20代が 年上の世代から購入

それでは商品を見てみることにしよう。例えば「美顔ローラー」で言えば、出品者の平均年齢は38.4歳、購入者の平均年齢は33.9歳となり「おさがり型」であると言えよう。下図より、出品者は30代、購入者は10代後半から20代前半を山として分布していることがわかる。

同様の年齢分布を「体重計」なども示していて、共に女性の取引者が多い商品カテゴリーである。美容に目覚めた20歳前後のZ世代に、ミレニアル世代からツールが受け継がれている様子が見て取れるわけである。

フィルムカメラは、価値を感じた若い世代が、価値をわかった上の世代から購入

次に「フィルムカメラ」の場合、これは想像がつきやすいだろうが、出品者の平均年齢は39.2歳、購入者の平均年齢は32.2歳となり「おさがり型」である。下図より、出品者は全年代にわたり満遍なく分布し、購入者は20歳前後の年齢が突出していることがわかる。

Z世代はスマホ、SNSネイティブである一方、フィルムカメラやカセットテープなど、敢えて画質や音質などのクリアさを抑えたアナログツールにも興味を示す世代であり、このデータにもその傾向が表れているといえる。

逆おさがり型

コーヒーなどの嗜好性が、上世代の満足度に直結

では「逆おさがり型」はどういう商品で見られるというのだろう。そこで「コーヒー」でのデータを挙げたいと思う。コーヒーの出品者の平均年齢は38.8歳であるのに対して、購入者の平均年齢は43.7歳となり、「逆おさがり型」である。

また、下図より、出品者は30代、購入者は40代を山として分布していることがわかる。同様の年齢分布を「茶」など他の嗜好性飲料も示しており、贈答品などを自宅で使いきれない下の世代から、上の世代にモノが循環していることが伺えるわけである。

高校球児が指導者となった年上へと逆継承

ユニークなもので言うと、野球の練習機器である。主にボールが取引されている「練習機器(野球)」の場合、出品者の平均年齢は37.4歳、購入者の平均年齢は38.9歳となり、「逆おさがり型」である。下図より、出品者は18歳に突出した山があり、40代後半にもう一つの山がある一方、購入者は40代前半を山として分布していることがわかる。

40代の近い世代間で取引がある一方、部活を引退した18歳の高校球児から、野球を始める子どもを持つ親や指導者の世代に「逆おさがり」していることが分かる。さらにいえば、親や指導者を介して、引退する高校球児から次の世代の球児にボールが受け継がれている、という流れも考えられるだろう。

年齢一致型

趣味性の高いマニアックな「ヲタ」系商品に「年齢一致型」

最後に、「年齢一致型」はどのような商品カテゴリーに見られるのか。ここで、「バッジ(アニメ・コミックグッズ)」のデータを挙げたい。「バッジ(アニメ・コミックグッズ)」の場合、出品者の平均年齢は27.7歳、購入者の平均年齢は28.2歳となり、「年齢一致型」となる。

下図より、出品者・購入者の年齢分布が10代後半を山として、ほぼ一致していることがわかる。その他にも、模型などおもちゃ・ホビー関連、釣りなどスポーツ・アウトドア関連といった趣味性の高い商品カテゴリーでは、出品者と購入者の年齢が一致するカテゴリーが多くあったと言う。

フリマアプリは、時代に左右されることなく、純粋にものの価値と必要性に着目して行動していることを示すもの。だから、人々の生活が見えてきやすい部分があって、この年齢の違いに商売の本質が垣間見ることができる気がする。

広告でトレンドを作り出すものとはまた違っていて、これらのデータはこれから商品を提案しようとする、メーカーや小売の人たちにも参考になりうるはずだ。人間の心の動きは、その時々で違うのだ。