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日本酒 サブスク 拘ったのは 温度“マイナス5℃”

各地の 日本酒 を 飲み頃“マイナス5℃”で届ける サブスク

 さくら酒店は自らの展開中の「日本酒おまかせ便 酒標(さけしるべ)」シリーズの中に、全国各地の日本酒を「マイナス5℃」で熟成させて届ける新しい サブスク サービスを加え、8月10日から開始することを発表した。

マイナス5℃がキメ手

 「マイナス5℃」は、お酒の未知なる味わいを引き出す氷点下の温度。その中で熟成させて、飲み頃になったものを月に1本、届けるという着眼点である。 日本酒 専門の酒販店が世の中の酒好きに挑む。発想の良さは、保存環境を差別化要因にしたわけだ。しかも、毎月定額(つまりは サブスク )で自宅へ届けるというのが良い。

 実のこのサービス開始前にMakuakeのクラウドファンディングで、実施。反響は大きく、公開初日の開始から6時間ほどで目標金額を達成。最終達成率は675%(6,751,390円)である。

 ポイントは、下記の通り。

  • ・全国各地の銘酒をマイナス5℃で熟成させ、飲み頃になったものを月に1本届け、そのお酒(地域)は毎月、変わるので、自宅にいながら帰省や旅行をする気分も味わえる。
  • ・「マイナス5℃」は、日本酒の劣化の主な原因である「酒内の酵母」や「酵素」の活動を最小限に抑える温度。お酒が凍り始める一歩手前の環境下に置くことで、お酒本来の味わいを損ねることなく、綺麗に熟成させることができる。
  • ・これまでの日本酒の管理の常識は「冷蔵」か「常温」しかなかったものを、本来の味わいをベースに、フレッシュさと熟成感を兼ね備えた「マイナス5℃」の味わいを楽しむことができる。

日本酒ファンの垂涎の射美

 届ける日本酒として、一例挙げるなら、射美(杉原酒造=岐阜県揖斐郡)。

 「日本一小さな酒蔵」という番組がきっかけで、日本酒ファン垂涎の的になった幻の酒である。今やほとんど市場に出回らない「射美」を醸す5代目蔵元の杉原慶樹さん。同氏は青年海外協力隊を経て、日本の文化である日本酒を守りたいと一念発起。廃業寸前の蔵を立て直し、農業試験場の職員と共同開発したオリジナル酒米で独創的な酒を醸したのだ。

日本酒 は なぜ マイナス5℃ がベストなのか

 最後に、マイナス5℃なのか。そのウンチク。

 通常、温度が高いと化学反応の速度が速まる。一方、 温度が低いと遅くなる。このことを「アレニウスの法則」という。つまり、温度が高いとあらゆる成分が変化してしまうスピードが早くなる。 それは味わいが崩れるスピードも早まることを意味する。

 つまり、お酒の中には味わいや香りを形成する様々な成分がある。けれど、特にお酒の中に含まれる酵母や酵素は、 温度が高いほど活発に活動。 味わいの成分を著しく変化させてしまう。

活動を最小限に収めるための温度

 だから、これらの活動を最小限に抑える。加えて、味わいのバランスを最も良く保つ。そのためには、 お酒が凍る一歩手前の、 できるだけ低い温度で保管することが必要になる。

  その温度こそが「マイナス5℃」なのだ。実は、日本酒はアルコール度数が高いので「 マイナス5℃」でもぎりぎり凍らないという部分も加味すると絶妙な温度なのだ。

 日本酒はその地方ならではの個性を表すもの。当然、その違いを本当に美味しい味わいで、実感したい。ここでその保存環境の観点から、温度にこだわり差別化した点は、歓迎されるだろう。

 そして、実は、ベストな状態のお酒を購入しやすい価格(定額制)にすることができているのは、流通システムの簡略化により実現したのも秀逸。従来の座組みにとらわれない発想だけでなく、生産管理も併せて、拍手を送りたい。日本酒を新たな切り口で提案し、日本酒の文化としての裾野を広げようとする気概を感じる。

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