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楽天 送料込みライン 開始は「 一部店舗 から」と発表

 楽天は3月6日、ライブ配信にて記者会見を開き「送料込みライン」に関してその開始を「 一部店舗 から」と明言した。これは個人的見解と受け止めて欲しいのだが、僕もこの会見を見ていて、その最中に某メディアから「楽天18日からの送料一律無料化を撤回」というプッシュ通知が届いて、少し気になった。

言い方次第であるが、この表現があたかも今まで言われていた「送料込みライン」そのものが撤回されたかのような表現にも受け止められないか、と思った。EC業界の現場で働く人においては、混乱を招きそうな表現だなと思った。むしろ現場の混乱を避けるために書いた。

実際には、この会見の中では「送料込みラインは3月18日から開始するが、既に準備できている店舗のみで実施する。『送料込みライン』を3月18日時点でやらないと決めたショップは専用のフォームから申請すれば、送料込みラインの対象外となる」というものだった。

3月18日 送料込みライン を「一斉には」行わない

楽天は、今記載した通り、この記者会見で、送料込みラインに関して、3月18日には「一斉に」開始を行わない方針を発表した。勿論、開始の延期ではなく、この3月18日に準備が整っている店舗を対象に始めるということ。

彼ら曰く「『送料込みライン』の準備を行っている店もおり、そのような店舗においては今更、方針転換をしても逆に作業が増えてしまう」ことから、それを配慮しての予定通りの3月18日のスタートと言うわけだ。

具体的には、店舗ごとに「共通の送料込みライン」の一律適用の対象とならないよう、 自ら選択する事が可能にすることになった。なお、それを実行するためには、専用フォームで事前申請をした上、配送方法で「宅配便[特定送料]」を設定する必要があるので、注意が必要だ。それをすれば、共通の送料込みラインの「適用対象外」として扱われる。

送料込みラインの必要性については以前と変わらず

この「送料込みライン」に関しては、現在、公正取引委員会が「緊急停止命令」の申立てを東京地方裁判所に対して行っている。ただ、その判断は今、公正取引委員会側の主張と、楽天側の主張とを元に「東京地方裁判所に委ねられている」という段階。

つまり、その結論は出ておらず、そこで楽天としては自分達の姿勢は裁判所の判断のもとで理解されるもの、という考えなので、彼らは3月18日に開始するというわけである。

改めて、彼らが店舗のほうで「送料込みライン」を選択できるようにしたことの理由は、新型コロナウイルスの感染拡大があるからとしていて、店においても現場スタッフの人員不足などが叫ばれている実態をあげた。

また、この状況はしばらく続くものと思われるため、いつまで適用するのかは現段階では期限を設けないとしている。ただ、無期限にこの状況を放置するのは店舗にとっても不安を起こすので、目安として一旦5月を目処にその後の方向性を示すとしている

導入店舗へのセーフティネットも用意

合わせて、導入後の売上や利益についての心配の声が店から聞かれることから、このような「共通の送料込みライン」を導入する店舗へ、導入後一定期間「安心サポートプログラム」を提供することも発表した。導入店舗へのセーフティネットである。

その中身については、仮に利益額、送料差益の部分に関して、マイナスの部分が出てしまった場合、楽天は何らかの支援金を提供するということのようだ。

また、会見では「導入時期」、「導入後の不安」に関しての楽天なりの回答を示した後で、第三者の意見として慶應義塾大学大学院法務研究科の石岡克俊教授の意見書を添えて、それを踏まえても会社として、この送料込みラインを実施する決意に至った旨も明らかにした。楽天としても自らの正当性を主張し、また店舗の声を踏まえて、変更点を示したというのが今回の記者会見だったわけだ。

関連記事:楽天 「 緊急停止命令 」 取り下げ と前日の慶大教授の見解

楽天の提案に対して店がどう動くか、その判断はその各々にある

この楽天の決断が正しいのかどうか、それはやってみないとわからない。

ただ、楽天は一旦、「送料込みライン」というものに対して確実に、実施することを宣言し、そこに生まれる様々な声を背景に見解を示したので、あとは店の判断にかかっている。

この件に関しては、若干、冒頭書いた通り、その報道合戦が過熱しているような気がしていて、店舗はこういう時こそ、言葉に踊らされない、冷静さが重要だと思う。また、誰もが発信できてしまう世の中にあって、情報を見極めた上で、行動される事を勧めたい。

なぜならその先に、約5万店舗の経営者がいて家族がいてスタッフがいて、その生活がある。

そして、楽天も、楽天で、会見は、少々、自分の言い分を説明している印象があった。どっちの側に、誰の側に着くということではなく、ここにあるべきは、より良いショッピングの環境を整えるのみである。

会見の冒頭、執行役員の野原彰人さんが、奇しくも「楽天はマーケットプレイス型であり、楽天市場を通して、店舗さん、ユーザーの三者でウィンウィンの関係性を築く中で、ビジネスが成立している」と話していた。今まさに、その役割分担の中で、楽天が自らの成長もありつつも、何をして、どれだけ役割を果たす事がベストなのか、それが問われている。

今日はこの辺で。