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ワークマンが切り開く次の成長線──法人FC解禁が示す「出店モデル」の転換点

ワークマンの成長戦略が、静かに、しかし決定的に転換点を迎えている。作業服を起点に独自の進化を遂げてきた同社は、2024年9月から「Workman Colors」に限って法人フランチャイズ(法人FC)を解禁した。個人による単店経営を原則としてきた従来モデルから一歩踏み出し、モール出店×法人運営という新しい構造を取り入れたのである。その結果は、わずか数カ月で明確に表れた。

法人FCはすでに全国網をほぼカバーし、2026年には年間新店の半数を法人FCが担う見通しだという。この動きは単なる出店加速ではない。「誰が、どこで、どう運営するか」という小売の根幹設計そのものを見直す試みである。

1. 個人FC限定だったワークマンが、なぜ法人FCを解禁したのか

ワークマンはこれまで、加盟店を個人による単店経営に限定してきた。理由は明確で、オペレーションの簡素化と現場裁量の最大化にあった。しかし、Workman Colorsという新業態の成長により、従来モデルでは取りこぼしてしまう市場が顕在化した。

それが、都市部の大型ショッピングモールである。

年中無休が前提となるモール運営は、家族経営を基本とする個人FCには負荷が大きい。

結果として、Colors店は地方路面店に偏り、需要の高い都市部での展開が進まなかった。

この構造的な制約を解くために選ばれたのが、法人FCという選択肢であった。

2. 法人FCがもたらした「モール出店」という突破口

法人FCの解禁は、Colors店の出店立地を一変させた。人員配置やシフト運営に強い法人であれば、モールの年中無休運営にも対応できる。実際、法人FC解禁後わずか3カ月で、5店舗が稼働を開始している。

さらに2026年には、11店舗がすでに契約済みまたは契約手続き中であり、法人FCは10社・16店舗体制へと拡大する見込みだ。10社で全国をほぼカバーできる状態になり、モール側との出店交渉が成立すれば、即座に展開できる体制が整った。

3. 売上1.5倍──モール店が生む経済合理性

ワークマンが法人FCを「好スタート」と評価する理由は、数字にも表れている。モール店の売上は、個人FCによる路面店の1.5〜2.2倍に達するという。モール店は、単独集客に依存する路面店と異なり、他店舗からの回遊客という追加の流入が見込める。

一方、個人FCでは売上が2億円を超えると、家族経営では運営が追いつかなくなるという現実もある。法人FCはこの制約を超え、高売上・高回転の店舗を前提にした運営設計が可能となった。これはワークマンにとって、売上成長と安定運営を同時に成立させる構造である。

4. コスト構造でも有利なモール×法人モデル

もう一つの大きな変化は、出店コストである。路面新店は、円安とインフレの影響で建設費が過去の約2倍に膨らんでいる。これに対し、モール店は居抜き出店が基本となり、初期投資を抑えられる。

低コストで出店でき、かつ売上は路面店を大きく上回る。この「コストは低く、売上は高い」という構造は、法人FCモデルと極めて相性が良い。

5. 運営品質の均質化という、もう一つの狙い

法人FCの導入は、売上や出店数だけの話ではない。ワークマンが重視しているのが、店舗運営品質の均質化である。物販経験を持つ法人が運営することで、売場づくりや接客品質が安定し、顧客満足度が高まる。

個人FCに見られがちな品質のばらつきを抑え、ブランド体験を全国で揃えることができる。これは、Colors店を「次のワークマン像」として育てるうえで欠かせない要素である。

6. メガヒット商品が後押しする法人FCの拡張

Colors店の好調を支えているのが、リカバリーウェア「MEDiHEAL®」と、着る断熱材「XShelter」という2つのメガヒット商品である。両商品は2026年の全社売上の1割以上を占める見通しで、Colors店はその販売の約3割を担う。

商品力、出店立地、運営体制が噛み合ったことで、モール側からの出店要請も急増している。

7. 法人FCは「例外」ではなく「次の標準」へ

2026年、ワークマンは法人FCによるモール出店を20店規模まで拡大する計画だ。年間新店の半数を法人FCが担うという数字は、このモデルが実験段階を終え、標準モデルへ移行しつつあることを示している。

個人FCと法人FCを明確に役割分担し、立地・運営・売上規模に応じて最適な形を選ぶ。

ワークマンが描いているのは、一律ではなく、構造で勝つフランチャイズ戦略である。

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