新しい暮らしが生み出す“食”のトレンド:緊急事態宣言下で売れたものとは?
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2021年1月7日に再度緊急事態宣言が発令され、その後も延長が決定しました。外出自粛やテレワークの推奨、飲食店の短縮営業などにより多くの人が“家で過ごす時間”を増やしています。この“巣ごもり”需要を背景に、ネット通販や宅配サービスで何が売れているのか。Yahoo!ショッピングのデータをもとに、注目のヒット商品を見ていきましょう。
1. 世界的ブーム「代替肉」の波がネット通販にも
近年、肉の代わりに植物由来の原材料を使った「代替肉」の需要が世界的に伸びています。いわゆる“脱ミート”の流れは大手外食チェーンやファストフード業界にも広がり、アメリカでは代替肉メーカーである「ビヨンドミート」の上場が話題となりました。
こうした背景を受けて、日本のネット通販でも大豆ミートの売上は前年比4.5倍を記録しています。高タンパク質・低カロリーという健康面でのメリットもあり、“家で健康を意識した食事を楽しみたい”という消費者のニーズとマッチしているのです。
2. 家で手軽に新鮮な野菜を!「野菜の詰め合わせ」が好調
健康志向の高まりと、ネットスーパーをはじめとする宅配サービスの利便性向上が相まって、「野菜の詰め合わせ」が前年比6.5倍という大きな伸びを示しています。特に産地直送で新鮮な野菜を届けてもらえるサービスが注目されており、外出しづらい状況でも季節の野菜を楽しめる手軽さが人気の理由です。
3. おうち時間ならではの楽しみ「ぬか床」ブーム
在宅時間が増えたことで、調理や保存食づくりに挑戦する人も増加傾向にあります。その象徴ともいえるのが「ぬか床」の売れ行き。前年比2.8倍という伸びは、自宅で糠漬けを作る人が急増していることを示しています。糠漬けは手間暇がかかるイメージがありますが、実は発酵食品として健康に良いだけでなく、漬ける野菜を自由に選ぶ楽しさも魅力です。野菜の詰め合わせを取り寄せて、糠漬けに挑戦するという流れが生まれているのでしょう。
4. 家の食卓へ“付加価値”を取り入れる動き
これらのヒット商品を通して見えてくるのは、外食が減った分、家の食卓を充実させるための工夫をする人が増えているということです。家族や自分のために時間をかけて料理したり、手間を惜しまず健康的なメニューに挑戦したりする様子がうかがえます。緊急事態宣言を機に、当たり前だった外食や外出が制限されるなか、**“自宅にこそ価値を取り入れる”**という消費行動へと変化していると考えられます。
まとめ
緊急事態宣言下での生活様式の変化は、ネット通販や宅配サービスにも大きな影響を与えています。外出自粛で増えたおうち時間が、代替肉や新鮮な野菜、さらにはぬか床づくりなど、多種多様な“家庭での食”の楽しみ方を広めるきっかけとなりました。
今後も自宅で過ごす中で、手作りや健康志向といった新たな価値観が発展していくことが予想されます。こうしたトレンドをうまく取り入れて、“家時間”をより充実させるアイデアを探してみてはいかがでしょうか。