田名網敬一が蘇らせる「おもしろブック」 ー 75年の時を超えて再誕
2024年9月、集英社創業100周年を記念して、田名網敬一がアートディレクションを手がけた新しい「おもしろブック」が発売されます。1949年に創刊されたこの雑誌は、戦後の日本の少年少女たちに大きな影響を与え、特に『少年王者』で人気を博しました。今回の復刻版は、過去の名作に加え、新作マンガや多彩なクリエイターとのコラボレーションを収録し、75年の時を経て再び読者を魅了します。
田名網敬一と「おもしろブック」の関係
「少年少女おもしろブック」は、1949年に集英社から刊行された初の雑誌。その看板タイトルは山川惣治の『少年王者』でした。
当時中学生だった田名網敬一は、この雑誌を待ちわびるファンの一人で、毎月発売日には書店で待ち構え、本の匂いをかぎながら家に持ち帰ったというエピソードが残っています。その後、アーティストとして世界的に評価を受けた田名網は、数々の雑誌や書籍のデザインを手がけ、「PLAYBOY日本版」や「Myojo」などでも活躍しました。
そんな彼が、75年後に再び「おもしろブック」を蘇らせるプロジェクトにアートディレクションとして携わり、自身が「これがおもしろい!」と感じるものを集めた新しい「おもしろブック」を企画しました。
復刻版の魅力と収録内容
新しい「おもしろブック」は、B4サイズで202ページの大ボリューム。創刊時の人気作品であった山川惣治の『少年王者』や、杉浦茂の『猿飛佐助』を原寸大で再録し、さらには赤塚不二夫×吉勝太による新作マンガも収録されています。
また、英語の併記により、海外の読者にも楽しんでもらえるよう工夫されています。ビビッドな色彩表現を可能にする高発色UVインクが使われており、視覚的にも非常に魅力的な作品集となっています。
田名網の多様なコラボレーションとコンテンツ
この新しい「おもしろブック」には、マンガやアートにとどまらず、ファッション、音楽、文学、旅、料理、占いなど、様々なジャンルのコンテンツが盛り込まれています。田名網は、過去の作品や新作を通じて山川惣治、杉浦茂、赤塚不二夫などのレジェンドアーティストとのコラボレーションを実現。
また、前橋汀子や朝吹真理子、坂田明×いしいしんじなどの現代のクリエイターとの共作も収録し、多様な世代のクリエイターたちが集結しています。中でも、国立新美術館での回顧展にあわせて発表された『TTT / The Tanaami Tarot』は、タロット占いができる付録として特に注目されています。
集英社創業100周年を記念した一冊
この復刻版「おもしろブック」は、集英社の創業100周年を記念して刊行されます。国立新美術館の「田名網敬一 記憶の冒険」展特設ショップや、集英社マンガアートヘリテージ トーキョーギャラリーなどで限定販売される予定で、一般書店では取り扱われません。また、これにあわせて、田名網敬一「おもしろブックWORLD」展がトーキョーギャラリーにて開催されます。
田名網敬一が再び手がけた「おもしろい」本を、ぜひ手に取り、その圧倒的なエネルギーと匂いを感じてみてください。