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渋谷再開発が描く“次の100年”──スクランブルスクエア・アッパーウエスト・宮益坂で都市の未来を拓く

渋谷、次の100年へ──重なりあう想いと挑戦の都市づくり

渋谷のまちづくりは、時代の空気とともに歩んできた。関東大震災からの復興、そして東横線の渋谷駅開業を起点に、カルチャーの発信地として、そしてビジネスの最前線として変貌を遂げてきたこの街は、いま再び、大きな節目を迎えている。

 2025年6月、東急株式会社をはじめとする関係各社は、次の100年を見据えた3つの再開発プロジェクトの詳細を発表した。関係する企業やステークホルダーが多いがゆえに、進めるには緻密で困難な調整が伴う。だが、時代の流れは立ち止まらない。人々の関心も、待ってはくれない。

だからこそ、渋谷は進む。その挑戦の先に、誰かの想いが届く街を目指して──。

第一章:100年にわたる渋谷の軌跡と、再開発の意志

歴史を背負い、未来へ走る「都市の鼓動」

 1927年、東横線渋谷駅の開業から始まった渋谷のまちづくりは、文化、エンタメ、ファッションを次々と生み出し、人の心を惹きつけてきた。その時代ごとのニーズに応じて東急百貨店、文化会館、109などを整備し、渋谷は“時代の感性”を象徴する街として発展した。

2000年代にはIT・スタートアップの中心地としての顔も持ち、駅地下化と副都心線との直通を契機に、「100年に1度」とも言われる大規模再開発が本格化。単なる再整備ではなく、渋谷に関わる全ての人の記憶と希望を受け止めながら、都市の在り方そのものを問い直す挑戦が、静かに、しかし確かに進んできた。

第二章:スクランブルスクエアが示す、都市の可能性

「難しいからこそ、意味がある」──複雑さに挑む共同プロジェクト

 東急・JR東日本・東京メトロの3社による共同開発「渋谷スクランブルスクエア」は、まさに“都市の心臓部”に挑むプロジェクトだ。1885年から続く渋谷駅の歴史の中で複雑に絡み合った交通・構造・動線の課題に対し、歩行者ネットワークを再構築し、「歩いて楽しい渋谷」への転換を図る。

 2031年には中央棟・西棟が完成し、渋谷スカイを上回る多層的な眺望、広場、商業空間が誕生予定。建築家・隈研吾とSANAAが手掛けるデザインは、技術と文化の象徴でもある。

 この再開発の本質は、目に見える建物ではなく、「どれだけ多くの人が、この街に心を動かされるか」にある。その舞台づくりが、まさに今、進行している。

第三章:渋谷アッパーウエスト──文化が息づく、もう一つの渋谷

喧騒から静けさへ。都市に生まれる“リトリート”

 旧東急百貨店本店跡地を中心とした「渋谷アッパーウエストプロジェクト」は、にぎやかな駅前とは異なる“文化の空気”を宿す開発だ。文化村、美術館、閑静な住宅街が隣接するこの地に、新たな文化複合施設とスモールラグジュアリーホテル、上質な賃貸レジデンスを融合。

「東京アーバンリトリート」というコンセプトのもと、人が自分を取り戻す場所として設計されるこの施設は、心の余白を育てる渋谷の新たな顔になる。

 喧騒の渋谷があるからこそ、静けさを慈しむもう一つの渋谷の価値が際立つ。文化と生活がゆるやかにつながるこのプロジェクトには、都市の“もう一つの美しさ”が詰まっている。

第四章:宮益坂の再生──東口が担う「都市の入口」

生活とビジネスが交差する、新しい“玄関口”へ

 宮益坂地区は、渋谷駅東口とヒカリエに隣接する交通要所。その地に建つ新たな高層複合施設は、180メートルのスケールで、商業・オフィス・ホテル・文化支援を兼ね備えた都市拠点となる。

 御嶽神社の再整備、地下・地上を貫く歩行者ネットワークの構築など、単なるビルの建設ではなく、地域の文化と暮らしを再定義する取り組みでもある。

 再開発の起点が駅だけでなく“神社”にもあるという事実に、この町が育んできた精神の深さを感じる。そして、それを未来に渡そうとする姿勢に、胸が熱くなる。

第五章:すべてが交差する2031年──未来への約束

「街は、心をつなぐインフラになる」

 2031年──渋谷は新しい姿を見せる。駅前では多層広場とデッキが人の流れを包み、アッパーウエストでは静かなる時間が豊かさを深め、東口では文化と国際交流が行き交う。

 東急が描くのは、単なる都市機能の刷新ではない。「人の気持ちに応える街」「想いが出会い、育まれる街」という理想だ。

 そして、ハードの完成はゴールではない。むしろ、そこからがスタートだ。思いがけない出会い、偶然の風景、語りたくなる日常──そんな“セレンディピティ”が詰まった都市こそが、渋谷らしい未来である。

おわりに──変わり続けるから、惹きつけられる

 会見後、僕はこう伝えた。「これまで、ずっと渋谷スクランブルスクエアの東棟、中央棟は2027年完成と言われてきた。だからこそ、そこに向けて、準備してきた企業もあろう。それが、突然「2031年に完成します!」そう説明されても、理解が追いつかないのではないか」と。だからこそ、なぜ遅れたかの説明を丁寧にするべきで、その真摯な姿勢こそ、協力する気持ちにつながるはずだ。

 まだ、渋谷のハチ公口改札は混雑が続き、まだ、隣接するはずのSHIBUYA SAKURA STAGEは事務所の需要しては好調のようだが、物販の店は賑わっているとは言い難い。それはこの工事に伴う動線の悪さが少なからず影響しているといっていいだろう。

すると、遅れた説明としては、まずJR東日本、東京メトロ、東急という具合に、関係する会社が多いことを挙げた。そして「なにより、駅改良工事に関して、町を機能させながら、人の安全を第一に考えた進行があります。この点を考慮しながらすすめると、想像以上に、時間がかかってしまう。3社の意向と、今の工事の進捗からすると、2031年の完成が最速になってしまう」。そう言うのだ。なるほど。ただ、今一度、それは、誰のためにそれをやっているのかを考えたい。

 難しい工事も、関係者の調整も、時間のかかる整備も、すべては“人の気持ち”のためにある。待ってはくれない未来に対し、渋谷はまた一歩、挑戦する。そういうことなのだ。それを支える企業、職人、クリエイター、そして住む人、訪れる人たち。誰かの想いが、誰かの一歩をつくる──。そう信じて、渋谷の再開発は、動き続けている。

 今日はこの辺で。

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