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楽天 2019年度 通期 (決算) 経済圏で企業価値を上げる

 

楽天 は「 2019年度 第4四半期 通期 決算 」に関する説明会を開催し、代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏らが説明を行った。主なトピックとしては、通期で見ると、連結売上高が約1.3兆円(前年同期比14.7%増)で、グローバル流通総額が19.0兆円(前年同期比24.3%増)、国内EC流通総額が3.9兆円(前年同期比13.4%)。一部、マスコミで言われている通り、2019年12月期連結決算は純損益が318億円の赤字となっていて、これは、海外で投資しているLyftの影響によるもの。

楽天 決算 発表で、新規ジャンルの積極投資を強調

 

今回の発表を聞くに、楽天の企業価値は、今後、経済圏をベースに語られている。楽天カードの会員は1900万人と成長していることについて「ECをきっかけに楽天を利用していた顧客がファイナンス側にワープして、楽天グループ内のカード、銀行、保険などに浸透している」と説明して、会社の成長性と経済圏の関係性を力強く説明している。

三木谷氏は合わせて「コアなビジネスだけではなく新たな可能性のあるところに投資をすることで成長を促進していきたい」としており、その考え通り、最近の決算発表の資料でも売上を、「コアビジネス」「成長フェーズ」「投資フェーズ」に分けて説明をしている。

楽天決算2019
楽天決算2019

ちなみにいわゆる楽天市場、楽天トラベルなど、既存事業で構成される「コアビジネス」に関しては、売上収益前年同期比16.9%増、営業利益が前年同期比19.5%増。

この土台が盤石であることを説明し、会社自体の安定性について触れた上で、「成長フェーズビジネス」のkobo Viber、VIKIなども黒字化して、会社の勢いに衰えがないことを強調した。これは「投資フェーズ」のLyftを意識しての発言でもあろう。

また、海外への視野も感じられ、楽天経済圏の認知が世界でも広がり始めていると触れ、台湾、スペインなどを筆頭に70%のブランド認知になっている事を明らかにした。この拡大が、楽天経済圏の形成の好材料となっている。

また、流通している楽天のポイントは3200億にも及んでおり、経済圏としての盤石さを持って企業の価値を説明している。

ECでは物流へのテコ入れを強化

ECのジャンルに関しては「ワンデリバリー」構想という、物流への投資を積極的に行っている事をアピール。それが顧客のショッピング環境を向上させるとした。

その取り組みの具体的な中身はというと、「Rakuten EXPRESSと呼ばれる流通網が現時点で既に人口カバー率61%。他にも、今後、保管拠点に関しても強化していき、2021年までで楽天市場の販売の50%を「楽天スーパーロジスティクス」という自前の物流サービスなどを経由にするとした。

三木谷氏はこれにより「一昨年起きたような、配送を拒否するとか、配送料を引き上げると言った問題はなくなる」と胸を張った。

しかも、ライバルを牽制してか、物流のプライシングに関しても言及。A社では出荷作業人配送費を足した金額は282円〜381円に対して、楽天の場合は253円であることなど、実際の数字を上げて、他社における物流サービスにおける価格の優位性を説明していた。送料込みラインの話に絡んで、自らも、会社として、送料での粗利に関して、努力している姿勢を打ち出したものと思われる。

送料込みラインに関しては理解を求める

また、この中で、「最近、新聞等などでお騒がせしておりますが」と言って送料込みラインの話題について触れた。ここで強調していたのは、商品代金が同じなのに送料で儲けているなどの不正店舗についての話などであり、合わせて、送料のわかりやすさを統一することが、購入の機会をふやすとして、理解を求めた。

一方、優越的地位の濫用ではないかという指摘については、三木谷氏は「経済的な合理的な範囲の中でやってくださいと伝えているわけで、あくまでも価格の裁量権は店舗に任せているので、このルールについては理解をしていただきたい」と説明している。

またそれでも、この件が原因で退店をする企業に関しては、楽天市場のショップの方で、Amazon、ヤフーなどの販売チャネルがあることを通知するなどして、極力、自分たちの方向転換が、店の経営に影響を与え過ぎないよう配慮するとも言った。

コアな事業は堅実に成長していることを強調

具体的な数字の話に関しては、廣瀬研二氏が行い、2019年通期の売上収益で1兆2639億円(前年同期比14.7%増)、2019年の第4四半期に関して売上収益が3582億円(前年同期比15.1%増)だとしていずれも過去最高収益であることを強調した。

ただ、先ほどの三木谷氏の説明にもあった、未来の可能性を持っている事業への投資も行っている関係上、ここ最近のライドシェア関連の株価下落の影響を受けて、Lyftの部分でマイナスが出る部分もあったとした。

話を聞く限りにおいては、楽天は楽天経済圏での購入金額、回数の増加、それとグループ内のクロスユースの精度を上げることで、企業としての価値を向上させ、売上を伸ばしていきたい意向であり、そのカラーは以前にも増して、強く打ち出していた。

すると、海外にも進出する必要性もあり、国内外問わず、楽天というブランドの認知拡大のために、動くことが成長につながると考えられるわけで、その新規ジャンルの開拓をする上では、未知なるカテゴリーにも投資をしていくものと思われる。

ECは、それぞれの事業との相乗効果の軸として語られる通り、この企業にとっては根幹事業であることは間違い無いが、どちらかというとど真ん中に据えていたところから、他との事業のバランスを見ながら、効率よく、楽天グループの中でイレギュラーの少ない体制にして、スマートに運営していく方向性に向かっていくように思えた。

企業としては、真っ当ではあるが、二人三脚でやってきた店舗としては少し寂しい気持ちもあるのかもしれない。これも時代の変化であり、その時その時でできることの中身が変わる事を意味しており、成長の為、必要な事なのかもしれない。楽天も、店舗も、自分達の今を思い、変化の時を迎えている。

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