節約しながら、あたたかく・豊かに過ごす冬へ──楽天が示す2025年冬の消費トレンド
2025年の冬は、全国的に寒さが厳しく、節約志向が高まる一方で「お金をかけるべきところにはかける」といった、メリハリをつけた消費がみられる。その背景については、楽天市場が実施した最新調査でも明らか、具体的には、物価上昇に不安を抱える人が9割を超え、8割以上が「節約を意識している」と回答しているのだ。この記事では、楽天が公開した「冬の消費トレンド2025」の発表内容をもとに、今年の冬を象徴する3大トレンド──パーソナル暖房/まとめ買い・家チャージ/おうちグルメ──を紐解く。
9割が「物価上昇に不安」──節約意識の高まりが消費構造を変える
楽天市場が行った20代〜60代の1,000名への調査によると、約9割が今年の物価上昇に不安を感じていると回答した。さらに「この冬は節約したい」と答えた人が8割を超え、節電・節約志向が一段と強まっていることがわかる。
背景には、政府の電気・ガス補助金の終了や、10社以上の大手電力・都市ガス会社による家庭向け料金の引き上げなどがある。例年冬季の光熱費は平均より2〜3割高くなる傾向にあり、家計への負担感が顕著だ。
そんな中、「光熱費の高騰」が生活の不満点として最も多く挙がっており、消費者の意識は“価格だけで選ばない節約”へと変化している。単に支出を抑えるだけでなく、「少ないエネルギーで最大限快適に暮らす」ことに価値を見出す消費傾向が強まっているのだ。
この意識変化は、家電・日用品・食品といった日常消費のあらゆるカテゴリに波及しており、楽天市場の購買データにもはっきりと表れている。
ピンポイントで“あたためる”時代──ヒーター付きマットやUSB家電が急伸
節電志向の高まりを受け、人気が急上昇しているのがパーソナル暖房だ。
「部屋全体を暖める」から「自分の手元や足元を暖める」へ──コンパクトに節約暖房?か。その発想の転換が、楽天市場の売れ筋ランキングにも表れている。
ヒーター機能付きの「デスクマット」。そして、写真の通り、それ自体が暖かい「マウスパッド」。椅子に敷いて使える「ランドセル用メッシュパッド」、さらにUSBで使える「ブランケット」など、1時間あたり約2円で暖まる省エネ家電が人気を集めている。
また、リビング向けには「冷えソックス」「ルームシューズ」などの着る暖房シリーズが拡大。外出先でも使える充電式アイテムは、夏場はハンディファンとして、冬はヒーターとして使える2way仕様が好調だ。
こうした製品群は、「光熱費を抑えながら、快適さを犠牲にしない」新しい冬の定番として、2025年も需要が拡大すると見込まれている。
大容量・まとめ買いで“安心”をストック──家チャージの拡大
2つ目のキーワードは「まとめ買い」だ。それを“チャージ”と表現するのは実にウマい。節約思考と相まって、携帯さながらに“チャージ”するのだ。楽天市場のデータによれば、大容量パック・まとめ買い需要(=家チャージ)が前年同期比で約2倍に増加している。
とくにトイレットペーパーやティッシュペーパーなどの生活必需品が上位を占め、消費者の“備え意識”が一段と高まっている。調査では、「買い物頻度を減らして効率的に補充したい」「ストックがないと不安」といった声が多く、節約と安心の両立を求める心理がうかがえる。
実際、トイレットペーパーの流通額が前年の約2倍、「ティッシュペーパー」は約1.5倍と急伸。年末年始のブラックフライデーや初売りセールでは、さらに関心が高まる見通しだ。節約の中にも、“自分の時間を大切にするための合理化”が見える。家チャージは、単なるまとめ買いではなく、「暮らしの効率化」を象徴するキーワードになりつつある。
“自分を癒す”消費が加速──ファッション小物やコスメが人気
一方で、節約ムードの中でも「自分へのご褒美消費」は根強く伸びている。アンケートでは、4割以上の人が「自分のためのご褒美を買いたい」と回答。人気カテゴリーは「コスメ」「衣類」「ファッション小物」「小型バッグ」など、自分磨きやリラックスにつながるアイテムだ。
特に女性層では「ご褒美=自分を整える時間」と捉える傾向が強く、メイクアップ用品やスキンケア、香り雑貨などの“セルフケア消費”が目立つ。楽天市場の「Rakuten Fashion」では、2〜5万円台の高評価バッグが売上を伸ばしており、節約と贅沢が共存する“バランス型消費”が特徴的だ。
つまり、消費者は「価格」よりも「満足度」でモノを選ぶようになっている。節約を前提にしながらも、自分らしさや癒しを得るための投資を惜しまない──そんな二面性が、2025年冬の購買行動を形づくっている。
“おうちで外食気分”が主流に──行列グルメを自宅で楽しむ新習慣
3つ目のトレンドは「おうちグルメ」。
物価高で外食を控える一方、自宅での食事を“より楽しく・豊かに”したいというニーズが急増している。つまり、食卓が豪華になっている傾向が強い。
楽天の調査では、「人気グルメを自宅で楽しみたい」という回答が大幅に増加。なかでも「生ドーナツ」「韓国料理」「麻辣湯」「タコス」など、“行列ができる外食店の味”を自宅で再現できる商品が注目を集めている。
とくに「生ドーナツ」は前年の約1.2倍、「韓国グルメ」は1.3倍と、家庭でも手軽に“ご褒美時間”を演出できるスイーツ・惣菜が好調。コロナ禍を経て定着した“おうちレストラン”文化が、物価高の時代に再び注目されている。
節約の中にも「食の楽しみを失わない」知恵が光るトレンドだ。
節約と充実のバランスへ──「賢く、あたたかく生きる」冬の消費哲学
多くの人にとっての豊かさはどこに。ある種、物価の高騰で、節約しなければならない一方で、人としての充実感を味わいたい。ごく当たり前の心理が、こうした全体傾向に現れている。総括すると、2025年の冬は「節約」と「充実」の両立を目指す“賢い消費”の時代だ。
光熱費や物価の上昇に備えながらも、心地よさや自分らしさを諦めない。そのバランス感覚が、生活者の価値観を映している。節約を“耐えること”から“工夫すること”へ──。
そんな発想の転換が、次の冬のスタンダードになるかもしれない。
今日はこの辺で。