楽天モバイル、5G プラン 月額2980円 300万名 1年間無料
楽天モバイルが発表した新プラン「Rakuten UN-LIMIT V(ファイブ)」は、月額2,980円(税別)で4Gと5Gの両方が利用できる画期的なサービスだ。しかも先着300万名は1年間無料になるため、三木谷浩史氏(楽天株式会社 会長兼社長)が「タダ5G」と呼んでいるのも納得できる。
1.月額2,980円で4G・5Gが両方使える「タダ5G」
• プラン概要
「Rakuten UN-LIMIT V」は、月額2,980円(税別)で従来の4Gと新しい5Gの両方に対応。料金そのものは4Gプランと変わらず、先着300万名を対象に1年間無料で利用できる。
• サービスエリア
当初は東京・神奈川など6都道府県の一部地域からスタートし、今後順次拡大予定。エリアは限られるものの、無料期間を活用して新しい通信環境を試せるのは利用者にとって大きな魅力だ。
2.楽天オリジナル端末「Rakuten BIG」の登場
• 新5G端末「Rakuten BIG」
楽天自ら発表した5G対応スマートフォン「Rakuten BIG」は、4眼AIカメラを搭載し、価格は69,800円(税別)。発表会では三木谷氏が実機を手に紹介し、楽天モバイルの5G対応端末ラインナップを力強くアピールした。
3.すべてが完結するアプリ「Rakuten LINK」
• 電話・SMS・チャット・ペイメントを一本化
三木谷氏が特に強調したのが「Rakuten LINK」というアプリの重要性だ。電話やSMS、チャット、ペイメントなどが集約されており、ユーザーのコミュニケーションや決済がこのアプリ一つで完結する。
• 経済圏のゲートウェイ
楽天が提供する多種多様なサービスへの入り口として機能し、ポイントを含めた“楽天経済圏”を活用する基盤になる。ここからさらに利用を広げ、様々なサービスを横断的に使ってもらうことで企業価値を高める狙いがある。
4.楽天経済圏の強みとポイント戦略
• 膨大なポイント発行量
楽天の年間ポイント発行数は3,200億を超え、累計発行ポイントは2兆を超える。多くのユーザーの日常に溶け込んだ楽天ポイントは、経済圏の大きな武器となっている。
• ECとの高い親和性
楽天はもともとネット通販で成長してきた企業であり、楽天モバイルユーザーは楽天市場やその他の楽天グループサービスとの相性が良い。スマホの利用が増えるほど通販や各種サービスの利用機会も増え、ポイントの循環がさらに活性化する見込みだ。
5.他社との競争と「経済圏」時代の到来
• NTTドコモ完全子会社化との対比
発表直前にはNTTがNTTドコモを完全子会社化するニュースもあった。これまでの“縦割り”構造から、グループ全体でシナジー(相乗効果)を目指す動きが通信業界全体で加速している。
• 「モバイル」が経済圏の起点
もはや携帯事業単独での収益化だけを求めるのではなく、経済圏を広げるための起点としてモバイルが重視されている。楽天も同様に、この新プランで多数の利用者を取り込み、ポイントやアプリ利用を通じて自社経済圏に取り込む戦略といえる。
6.小売や事業者にとってのチャンス
• 新規顧客を取り込み、ファン化する
5G時代の到来と通信サービスの活性化は、小売・EC事業者にとっても大きな商機だ。モバイルをフックにどう自社の商品・サービスへ誘導し、ファンになってもらうかが鍵となる。
• 変化に対応できるかが勝負
市場や時代の流れは一気に変わる。モバイルと経済圏の融合をうまく取り入れ、ユーザーとの長期的な関係を築けるかどうかが、各社のビジネスの成否を左右するといっても過言ではない。
まとめ
楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT V」は、4Gと5Gを同一料金で提供し、さらに先着300万名に1年間無料を打ち出す大胆なプランだ。しかし、楽天の狙いは単に通信回線での収益を上げるだけにとどまらない。
「Rakuten LINK」をはじめとするサービスを通じてユーザーを自社の経済圏に取り込み、楽天市場など他のサービスとのシナジーを高めることで、最終的に企業価値の向上を目指している。
通信業界ではNTTのドコモ完全子会社化など、大手各社がグループ全体での価値最大化を図る動きを活発化させており、楽天の5G戦略はまさにその流れを象徴しているともいえる。これからの“経済圏戦争”のなかで、楽天がどのように存在感を示すかが注目される。
いずれにしても、5Gを軸にした企業間競争は激化する一方だ。小売やその他の事業者にとっては、この時代の変化をうまく捉え、モバイルをフックに新規顧客を呼び込み、長く使ってもらう仕組みをどう作るかが勝負の分かれ目となるだろう。