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一見さんよりリピーター。「楽天」利用度の高いユーザーで手堅く売上を 楽天G 2024年度第1四半期(決算)

会員組織としての意味合いが強くなった。そんな印象が強い。先ほど、楽天グループは2024年度第1四半期決算の発表を行い、感じたのはその部分。勿論、彼らの収益の中心は経済圏によることは変わらない。ただ、事業規模の拡大に伴い、収益性の高い顧客を特定して、そこに対して付加価値のボリュームを大きくしている。SUPによるルール改定を2023年12月に行ったことによる変化は、それを示している。その点にこそ、今という時代の潮流があるような気がする。

SPUルール改訂の影響あり

 

具体的に言えば、「国内EC流通総額」がそれで、前年同期比-4.7%。マイナスに転じている。つまり、第1四半期(2024年1-3月)で言えば、2024年12月のSPUルール改定が響いているというわけである。ここでわかるのは楽天というグループに対して貢献度の高いユーザーに、そのポイント付与の割合を大きくしたということ。恩恵にあずかれないユーザーが離れた可能性がある。

とはいえ、彼らがこれを悲観していない。その理由は、然るべきユーザーが離れているわけではないからだ。つまり、SPUでのポイント発行は、いわば楽天による持ち出し。だから、その後の利益貢献に直結するものとして行っている。

ゆえに、彼らの事業が変化すれば、その利益の貢献をしてくれる人も変わってくる。時代に合わせて、楽天についてきてくれる人。今回でいえば、楽天モバイルを含めた利益貢献度の高いユーザーをより重視していくことになった。

利益に貢献しているユーザーへのSPU付与は「+17pt」。つまり、貢献度の高いお客様はポイント付与の度合いが大きいから、よりコアな顧客になるよと。

 

それを鑑みれば、-4.7%は想定の範囲内。自分たちの考える未来へと着実に進んでいることを強調した。これをまた新たなデフォルトとして経済圏への流入を促すのみ。

楽天としては順調に未来を見据えている

そういう流れを加味しながら、業績を見ていこう。インターネットサービスのセグメントは売上収益で前年同期比+5.4%。Non-GAAP営業利益は、前年同期比+14.8%である。

逆説的なのだが、改めて、楽天市場は彼らの事業の柱であると気付かされる。つまり、モバイルを利用しながらも、ECの利用があって成立するビジネスモデル。

だから、引き続き、ECで売り場としての利便性を高める投資をする。それが、物流への投資であり、実際、それが顧客からも受け入れられている。楽天スーパーロジスティクス(RSL)の利用している店舗は、未導入の店舗と比べて、12.5pt高い。(2023年4月-2024年4月調べ)

実際、2021年に稼働開始の4施設が満床。その後の2施設も稼働率が上昇。それを背景に、楽天側の都合で言えば、この物流への投資もしっかり回収できていることを明らかにした。収益が改善しているというのである。

求められるニーズに挑戦しつつも生産性にも配慮

そして、彼らにおける成長の潤滑油になっているのはフィンテック事業の好調ぶりである。それは、ECが事業の要であり、そこと強い親和性を持つのがカードだから。SPUの環境変化がありながらも、楽天カードのショッピング取扱高は前年同期比+12.5%。当然、金融での利用が、フィンテック内のクロスユースを生む。証券の口座数が前年同期比+22.1%。

興味深いのは、下記の図である。日本におけるキャッシュレスが浸透していくのと、並行してフィンテック事業が伸びている。繰り返すが、ECの利用とともに、カード利用が定着した。だから、カード市場が大きくなって、ECの増加とともに、カードが伸びた。

でも、物事に完璧はない。カードを重視すれば、スマホ決済は後を追う形になる。それをフォローするために、楽天Payアプリで、楽天カードの主要機能を搭載する。つまり、国内ナンバーワンとして楽天カードの強さをスマホ利用の日常で使いやすくさせていくわけである。

ここまでコア事業に関して触れてきた。けれど、概ね、この決算会見で記者から質問が飛び交っていたのは、モバイルである。彼らにとっては単体での収益に限らず、既に存在するEC、金融を軸とした経済圏との兼ね合いで、それらを見ているのが特徴。

モバイルは経済圏への寄与度で尺度を図る

それでいうと、品質向上の甲斐があって、特に経済圏のユーザーの中でモバイルを利用する人たちが増加していて、経済圏内での単価を押し上げている。通信料金を安めに設定し、そこでの利用度合いを増やす。そうすることで通信ARPUを上げていく。ただ、2023年の第4四半期では2007円なのに対し、2024年第1四半期では1967円なので、やや減少。これについては、3月時は2024円だとして、契約獲得が前半に集中したことによる影響とし、一時的なものであると説明した。

なによりも、彼らの特徴としては通信の利用者の多くが、楽天経済圏を利用していることにある。だから、SPUの貢献度の高さを強調し、また、その利用者の恩恵を大きくするわけである。経済圏への貢献は、下記の通り。モバイルによるエコシステムB2C ARPUの押し上げ額が+1055円である。

以上から、僕は、以前にもまして、楽天が会員組織的側面を強くしているという印象を抱いたと書いた

店舗は常に変動を織り込んで対処すべき

それが、店舗にとっては、今まで買ってくれていたお客様が離れてしまう部分もなきにしもあらず。なので、店としてはそれを取りこぼさないように、他のモールや自社ECも見つつ、リスクヘッジをする必要があるだろう。一方で、楽天では、楽天ならではのお客様を取りこぼさず、掴み続ける事が大事である。

また、楽天は、EC、金融を軸にした楽天経済圏への寄与度が高い「モバイル利用者」を育てていく。それはモバイルが定額を生み出す要因であり、全てのインフラの入り口だから。その通信は使う頻度が上昇するから、安く、使ってもらう環境を作り、ARPUをあげる。必然的に、そこで生まれたポイントはECなどの利用に還元していくのである。

そうすれば、自ずと親和性の高い金融が伸びて、会社全体の業績を押し上げる。

だから、会員的色彩が強くなったと思う。

でも、それは必然なのだ。大事なには他の記事でも書いたけど「どこが売れるか」ではなく、「誰に売るのか」が店にとって大事。楽天で出会うべきお客様をしっかり掴んでおく事。

まずはそこから。店は店で、それできちんと楽天の恩恵を受けられるのだから。

今日はこの辺で。

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