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楽天 2020年度 第1四半期 決算 利益は減 ネット通販に光明

 楽天は先ほど、2020年度第1四半期の決算説明会を行い、代表取締役社長兼会長の三木谷浩史氏らが席上、業績に関して発表を行なった。それによれば、連結売上収益は3314億4300万円、前年同期比 +18.2%である。楽天市場、楽天トラベルなどを含めた“国内EC流通総額”は9271億円で2019年第4四半期に対比で9.8%増で成長が加速しているという。税引前利益が358億円のマイナス。NON-GAAP営業損失は181億3600万円である。

楽天 2020年度 第1四半期 決算 業績ハイライトはこちら

  現状としては、楽天は、楽天市場などの根幹部分をコアビジネス、そして、CtoCなどを成長ビジネス、そしてモバイルや物流などの投資ビジネスと3つのフェーズに分けて展開している。
 これは、思うに、楽天経済圏をベースにした考え方で、投資フェーズのビジネスの中には例えば、Lyftなどが入っており、新たなジャンルのカテゴリーに投資をすることで、経済圏の幅を広げ、既存の事業に相乗効果をもたらすことを考えている。
 
コア、成長、投資に分けて、経済圏を形成コア、成長、投資に分けて、経済圏を形成
 いわば今回のマイナス分は、投資フェーズビジネスにあるモバイルへの投資や、新型コロナウイルス禍における影響と考えられる。
次に業績ハイライトを見てみることにしよう。

ショッピングEコマース流通総額は、4月に限って言えば前年同期比 57.5%増

 今回、彼らが強調していたのは、ショッピングEコマース流通総額。
  4月に限って言えば前年同期比 57.5%増となり、コロナウイルス感染拡大による楽天トラベルなどの伸び悩みを埋めている。三木谷氏はこの点に関して「満遍なく多くのジャンルをやっていること、マーケットプレイス型の強さが出ているのかもしれない」と分析している。
 注文件数と購入者数も顕著に増えている。下記を見て分かる通り、1月〜4月で、注文件数も前年同期比で24.1ポイント増。
 なお、国内EC「業績」に関しては、売上収益は1246億1500万円で前年同期比14.8%増となったと説明している。営業利益は102億9600万円で前年同期比14.3%減となっており、その理由は物流への投資によるところだとした。下記を見ていただくとわかりやすかと思う。
 なお、スマートフォンなどの利用者が、コマースの売上を押し上げる結果となっており、楽天市場のモバイル流通総額比率は75.5%となっている。やはりデジタルの伸びを牽引しているのは、スマートフォンである。
 楽天市場を起点に、楽天市場流通総額において楽天カードの決済比率が63.2%と上昇しており、経済圏の構想は功をそうしていると言って良い。
 ショッピングの盛り上がりが、カードの売上の上昇にも繋がっていて、兼ねてからエコシステムは順調に推移している。複数の楽天系サイトを利用したユーザーがクロスユースを行い、継続購入をして、楽天系サービスを活用することによって生まれる、メンバーシップバリューは6.2兆円で前年同期比32.7%増となっていて、経済圏がこの会社における企業価値そのものになっていると言っていい。言い換えれば、もうeコマースだけの会社ではない。

送料無料ラインに関して導入店舗のGMS28.7ポイント増と説明

 また、楽天市場で、昨今、世間的な関心事ともなった「送料無料ライン」の導入に関しても、2020年4月末段階において全体の店舗の約80%がプログラムに参加していると発表した。この送料無料ラインを導入した店舗(通称39ショップ)においては、対未導入の店舗に関して、GMSにおいて前年比28.7ポイントアップしていると話していて、ある一定の成果が出ていることを明らかにした。
 取り組んだ施策としては、「3980円(税込)以上で送料無料」という外部広告を打ち、サイト内で対象ショップアイコンや対象注文の明示をした他、利用するとポイント3倍にするなどのキャンペーンをあげて、これらの施策を最大化させる努力を楽天サイドでも行ったことを明らかにしている。
 現状においては、まずモバイルなどの投資が大きく、この会社の業績に影響をしており、ただし明るい材料としては、新型コロナウイルス感染防止の動きの中にあってもむしろeコマースの利用者が増加していることがある。背景には、彼らはジャンルに偏りないマーケットプレイスの強さが発揮されたとしており、そのような要素が、結果的に経済圏を利用する機会となり、上昇を促して、結果的に楽天トラベルやスポーツなどの不振をなんとか食い止めようとしているところだろう。
 特段、ネット通販において特別なことをしているわけではないが、単純にインターネットを軸に足場を固めてきたということがこの会社を支えていて、今までお客様と企業とをつなげてきたその橋渡しの役目が、ネットへの流入者の増加と共に、一気に流れ込んで、成果を生み出している。同じく小売のプラットフォームの三越伊勢丹の決算と比較するとその差は顕著である。
 楽天トラベルなど伸び悩んでいるものもあるので一長一短だ。とは言え、大事なのはリアルにこだわりすぎることなく、ネットとリアルの融合の中で、自分たちのお客様と向き合い、その関係を築いてきたことは大きいのだ。楽天モバイルへの投資がこの会社の試金石となるが、これからにおいては、この会社に限らず、いかなる事態にも応え得る受け皿を、作っておくことが、会社を支える上で、いかに大事なのかが分かるだろう。

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