2025年2月期 第2四半期 タカシマヤ決算
2025年2月期第2四半期(2024年3月~2024年8月)のタカシマヤは、営業収益が前年同期比で10.1%増加し、2434億3100万円となりました。営業利益は38.2%増の287億6000万円、経常利益は36.3%増の302億3800万円、親会社株主に帰属する中間純利益は27.5%増の190億7800万円と、いずれも堅調な成長を遂げました 。
国内外の百貨店事業
・国内の動き
国内百貨店事業は堅調な国内顧客売上高に加え、インバウンド需要の増加が収益の大幅な増加を支えました。第1四半期では特にインバウンド売上が顕著に伸び、全体売上高の約8割を占める国内顧客売上も安定して推移しました。
国内顧客においては、ラグジュアリーブランドやファッション関連商品(婦人服、紳士服、化粧品など)の販売が好調で、特に高額品の売上が前年を大きく上回りました。これに加え、人気テレビ番組と連動したイベントやシーズンに合わせた企画が多くの顧客を引き付けたことも、売上に貢献しました 。
8月には円高によるインバウンド売上の減速リスクが表面化しましたが、これまでの強い販売力と、高品質な商品やサービスの提供を維持することで、引き続き国内外の顧客に支持されました。
タカシマヤは、これらの要素に加えて、アーカイブ活動を通じた文化発信にも力を入れ、顧客の知的好奇心を刺激し続けています。今後も、実店舗の強みを生かしたワンストップでの買い物体験を提供することで、インバウンド依存から脱却した収益基盤を確立する方針です 。
・EC事業
EC事業においては、共通の倉庫による出荷作業の一元化を進め、配送料の効率化を図っています。8月には化粧品の専門オンラインストア「TBEAUT」を新設し、オンラインと実店舗を連携させることで、新たな顧客層の開拓と売上増加を目指しています。このように、タカシマヤはデジタルとリアルの融合によるサービス拡充を進めています 。
海外百貨店事業では、シンガポールやベトナムの店舗が堅調に成長を続けています。特にベトナムでは、化粧品を中心とした商品の販売強化が成功を収めており、現地通貨ベースでの増収増益を達成しました。一方、上海では景気の減速が響き、内需の低迷とツーリスト需要の回復の鈍化により、売上が減少しました。それでも、為替の影響により収益が押し上げられ、全体として計画を上回る結果となりました 。
・海外の動き
タカシマヤの海外商業開発事業では、ベトナム市場が順調に成長しており、商業開発の進展が収益に貢献しています。また、国内の商業開発事業でも、コスト削減の成果が営業利益を押し上げ、全体の収益構造を強化しています。今後も国内外での百貨店および商業開発を柱に、さらなる成長を目指す計画です 。
・成長を牽引するESG経営とDX戦略
タカシマヤは、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営を推進する中で、「TSUNAGU ACTION」を中心に持続可能なビジネスモデルの構築を進めています。具体的には、衣料品やコスメの回収を通年で行い、上期で約10トンの回収を達成。再資源化に向けた取り組みが強化されています 。
・人的資本への投資と組織改革
タカシマヤは、「人」を大切にする経営を掲げ、人的資本への積極的な投資を進めています。特に百貨店事業を支える販売人材の育成が重要視されており、顧客ニーズに即応できる「販売のプロ」の育成が進行中です。また、労働条件の改善やカスタマーハラスメント対策の強化を通じて、従業員が働きやすい環境作りにも取り組んでいます 。また、今後、タカシマヤは中期経営計画(2024~2026年度)に基づき、持続的成長の実現に向けた施策を強化します。特に、インバウンド需要の変動に対応しつつ、国内顧客に対するサービスの強化を図り、デジタル技術を活用した「まちづくり戦略」を推進していくとのことです。