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PayPay は Yahoo!JAPAN に続く“第2のメディア”か ZHD2020年通期(決算)

 PayPay は Yahoo!JAPAN に次ぐ“第2のメディア”。そんなことを思った。PayPayはリアルで誰しもが関わる決済。マスへのアプローチができる強力な武器なのであり、メディアだ。ヤフー、LINEを傘下に持つ Zホールディングスの2020年通期第4四半期の決算発表会を聞き、思ったことだ。

段階を経て顧客に近づく

1.PayPayが切込隊長

彼らの狙いはPayPayでマスへとアプローチして、LINEで距離を縮める。一方で、企業にはSmart Store Projectを使い、それを活用してマネタイズ機会を作る。また、グループ総出で「超PayPay祭」のような花火をあげる。そうすることで、全方位で存在感を発揮していく狙いなのだ。

まず実績から。2020年通期で見ると、売上収益が1.20兆円(YOYで14.5%増)で2年連続で2桁成長をしていて、ショッピング事業の成長が牽引している格好だ。

ショッピング事業はYOYで45.1%増で大きく成長。「超PayPay祭」が前回実績比で取扱高57%増。訪問者数10%増。CVR38%増。客単価6%増。取扱高を筆頭にいずれも、大きく飛躍したことが大きい。

2.マスアプローチを決済との接点に委ねる

ネット通販は、PayPayでの高い浸透度を背景にして、ネットとリアル両方を股にかけた勝負のセールで最大限、効果を発揮した。

リユース事業に関してもPayPayフリマの成長率が5.7%増(2019年は1.3%減少)と伸びている。こういう背景もあって、eコマース取扱高全体は、3兆円を突破。3.22兆円(2019年通期は2.59兆円)となった。

3.PayPayの底力はいかほどか

また、PayPay単体での決済の力はどれだけのものか。

2020年第4四半期で見てみよう。決済回数は6億1559万回(YOYで1.6倍)。加盟店は316万店(YOY1.5倍)。登録者3803万人(YOY1.4倍)。

これを受けて、川邊健太郎さんはこう語る。「交通系の電子マネーに匹敵する」と。確かにこれだけQRコード決済が肉薄するとは、2年前想像できない人も多かったのではないか。

eコマースにおいてはソーシャル的な活用で差別化

1.Smart Store Projectの意図するところは

ネット通販に絡んで新しい動きはSmart Store Projectだろう。

これは自社ドメインの通販サイトを作ることができるツール。ここで新たな利用企業を獲得していく。それと同時に、彼らはここでモール系の他社とは差別化して、eコマース取扱高を上げていく構えである。

今更なぜ、自社ドメインの通販サイトなのか?

独自ドメインにとって、永遠の課題は集客である。ここまでの彼らの仕掛けは、その集客で発揮されるところとなり、具体的にはPayPay加盟店に対して提供したり、LINEの公式アカウント利用企業に提供する。

2.既に企業と顧客とで関係性ができているところに攻め込む

PayPayにしても、LINEにしても、それぞれの企業は、お客様との関係構築ができている。

だから、その関係を起点とした独自ドメインの存在を意図するわけである。しかも、LINEの接客はCRMの観点から強みがあって、自社ドメイン通販サイトにおける問題を解決してくれるものとしている。だから、後発でもやる意味があると考えているわけだ。

ヤフー・LINE経営統合の記者会見より

3.PayPay は Yahoo!JAPAN に続く 第2のメディア と思う理由

だから、彼らが描く戦略がここにも繋がってくると、経済圏の強化もできつつ、eコマースの底上げができる。一石二鳥である。加えて、リアルの店舗のDXの推進を図れて、ネットが不慣れな人ほど、歓迎される土壌がある。彼らの戦略が奏功すると考えるのはそれぞれにメリットがあるからだ。

今は「決済」を軸にした経済圏の争いが見られる。だが、恐らくその戦いの舞台はこの「リアルネットの相互の利用における最大化=オムニチャネル」に及んでいくのではないか。

Zホールディングスにおいては、PayPayをフックにしてマスへのアプローチを本格化させる。かつては情報革命でYahoo!JAPANでの集客をフックに、eコマースに繋げようということだった。しかし、今やメディアも多様化して、Yahooとしてもメディアだけではかつての勢いは作れなくなってきた。

4.かつてのメディア力を補完するのは何か

メディアの部分は、スマホ時代においてまずは、LINEで補完する。かつ、キャッシュレスの時代において、PayPayでデイリーユースを促し、消費者に浸透させる。それができれば、ここでの繋がりがダイレクトにお客様へのアプローチ手段になるわけだ。これがかつてのYahoo!JAPANに匹敵するメディア力である。

ゆえに、PayPayがYahoo! JAPANに続く第二の“メディア”だと位置付けた。ここを通じて、あらゆる発信をしていくだろう。

Yahoo!JAPANがネットの中で不特定多数の人を集め、そこでの広告収益をベースにしていたところから変化している。確実に個々のお客様へのアプローチを強化し自らのデータを活用して、特定ユーザーへの貢献度合いを上げていく方向へと路線を変えてきた。そう。PayPay Yahoo!JAPAN に続く 第2のメディアなのだ。

今日はこの辺で。

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