物流の未来を拓く「Nexa Warehouse-Optimizer」──2024年問題と労働力不足に挑む革新ソリューション
物流業界は今、大きな変革期を迎えている。オンラインショッピングの急拡大や消費者のニーズ多様化を背景に、サプライチェーンのスピードと柔軟性がかつてないほど求められるようになった。一方で、2024年問題や深刻な労働人口不足といった社会課題も重くのしかかり、業界全体として早急な対応が迫られている。そのようななか、Nexa Wareが2024年8月22日より提供を開始した新たな物流倉庫向けデータ分析サービス「Nexa Warehouse-Optimizer」は、物流の在り方を抜本的に変革する可能性を秘めている。
2024年問題と労働力不足がもたらす深刻な影響
2024年問題とは、主に「トラックドライバーの時間外労働規制強化」によって生じるさまざまな課題を指す。とりわけ問題視されているのが、1運行あたり平均1時間34分に及ぶ“荷待ち時間”である。荷主企業の倉庫内作業の遅延や、正確な出荷準備時刻の算出が困難であることなどが主な原因となり、ドライバーの拘束時間が増大しているのだ。
同時に、2030年には国内で約644万人の労働力が不足すると予測され、物流業界で働く人材の確保が一層難しくなる見通しだ。こうした背景から、倉庫内の作業効率をいかに高め、いかに省力化を進めるかが物流業界全体の重要なテーマとなっている。
「Nexa Warehouse-Optimizer」の登場──KDDI物流センターでの先行導入
これらの課題に対して、KDDIでは自社物流センターに「Nexa Warehouse-Optimizer」を2024年8月1日から先行導入。スマートフォンやその周辺機器を扱う物流業務の現場で、災害時も含めた迅速な対応や効率化を図っている。そして今回の正式リリースにより、**「WAKONX Logistics」**の一環として、さまざまな企業へと本サービスが広く提供される計画だ。
物流業界が期待する倉庫DXの要
「Nexa Warehouse-Optimizer」は、倉庫内のデータを集約・分析し、作業工程を最適化するためのデータ分析サービスである。業務の進捗をリアルタイムで可視化し、作業員のシフトを自動化することで、混乱や遅延を未然に防ぐ。KDDI物流センターでの実証実験でも、作業効率が1.4倍に向上する成果を挙げており、非常に大きなインパクトが期待される。
「Nexa Warehouse-Optimizer」の機能と特徴
1. データ集約・加工
倉庫内に設置されたマテリアルハンドリングシステム(マテハン)やロボット、WMS(倉庫管理システム)などから得られる膨大なデータを「Conata®」と呼ばれるプラットフォームを通じて集約。デジタルツインのように倉庫内の状況を再現しながら、業務全体を一元管理する。
これにより、従来は別々に管理されてきたシステムやデバイスのデータを横断的に把握することが可能になり、可視化や意思決定の精度が飛躍的に向上する。
2. KPI可視化・ボトルネック分析
各物流倉庫の作業フローに合わせてカスタマイズされた**KPI(重要業績評価指標)**を、Webダッシュボードでリアルタイムに可視化。作業の進捗やボトルネックとなるポイントを把握しやすくすることで、ボトルネックの解消や優先度の高い業務へのリソース配分をスムーズに行うことができる。
3. シフトシミュレーション・作業完了予測
倉庫内の作業内容や出荷予測量に応じて、自動で作業員のシフトを作成する機能を搭載。さらに、当日の作業進捗を基に作業完了時刻を自動予測し、必要に応じてシフトをリアルタイムで修正できる。これにより、トラックドライバーの荷待ち時間を大幅に削減すると同時に、作業員の負担増や残業の発生を未然に防ぐことが期待される。
倉庫DXからサプライチェーン全体の最適化へ
「Nexa Warehouse-Optimizer」は単に倉庫のオペレーションを効率化するだけにとどまらず、サプライチェーン全体の最適化に大きく貢献する。
• ロボット活用:人手不足の深刻化に対応するため、ロボットなどの自動化技術と連携し、一気通貫で作業効率を高める。
• フィジカルインターネットの活用:物流のデジタル化によって、輸送ルートや在庫配置などを柔軟に最適化。社会インフラの利用効率を高め、トラックドライバーの負担軽減にも寄与する。
• DXの推進:物流業務をデジタル化することで、リアルタイムな情報共有とスピーディな意思決定が可能となり、業界全体の競争力向上に寄与する。
Nexa WareとKDDI・椿本チエインがもたらすシナジー
もともとNexa Wareは、株式会社椿本チエインとKDDIによる合弁会社として2024年4月に設立された。ロボット技術やモノの動きを制御するチェーン技術で実績のある椿本チエインと、通信・IT分野で豊富な知見を持つKDDIの強みが組み合わさることで、今までにない次世代型の物流ソリューションが開発・提供可能になったのである。
「WAKONX」の役割──DX時代のビジネスプラットフォーム
KDDIが提唱する「WAKONX」は、AIやIoTなどの先進技術を活用し、日本企業が抱える共通課題を“協調領域”として解決していく新たなビジネスプラットフォームだ。業界が連携しやすい仕組みを整えつつ、企業ごとに競争力を高めるサービスも拡充することで、日本のデジタル化を強力に後押しすることを目指している。「Nexa Warehouse-Optimizer」は、その「WAKONX Logistics」を支える重要なピースであり、物流における課題解決のキーとなるだろう。
今後の展望──物流が果たすべき役割と変わるべき点
現代社会を支える物流は、決して止めることのできないライフラインだ。生活必需品から医療品、災害時の緊急支援物資に至るまで、必要な物資を必要な場所へ届ける使命を担っている。しかし、2024年問題や労働人口不足が現実味を帯びる今、従来の人海戦術や時間に頼ったやり方では、サプライチェーンが立ち行かなくなる可能性が高い。
そこで注目されるのが、倉庫のDX(デジタルトランスフォーメーション)である。人材の有効活用と、ロボットなどの自動化技術との協働、さらにデータ分析に基づく作業シフトの最適化によって、少ないリソースで最大限の成果を上げる必要がある。データの可視化により、“どの作業にどれだけの時間がかかっているのか”を正確に把握し、リアルタイムで柔軟にリソースを再配分できる環境を作り上げることこそ、これからの物流には欠かせない変革といえる。
「Nexa Warehouse-Optimizer」はまさに、この流れを加速させるソリューションだ。KDDIやNexa Wareの技術力を背景に、倉庫内業務を効率化するだけでなく、サプライチェーン全体の最適化を視野に入れている。これにより、物流業界が直面する荷待ち時間の削減や労働人口不足など、複雑化する社会課題に対して新たな価値を提供していくのだ。
まとめ
物流が今の時代に果たす役割はますます大きくなっている。ところが、2024年問題や労働力不足といった深刻な課題も同時に進行しているのが現実だ。このような状況下でリリースされた「Nexa Warehouse-Optimizer」は、物流倉庫内の業務をデジタル化し、自動化・効率化を進めることで、新しい物流の形を示す大きな一歩といえる。データ活用やロボット技術など、先端テクノロジーが生み出す変革が、従来の常識を塗り替え、物流業界に新たな成長の可能性をもたらすだろう。
KDDIと椿本チエインの合弁によるNexa Wareという新しいプレイヤーの登場や、「WAKONX」というDX時代を支えるプラットフォームの存在は、業界にとって大きな追い風となる。物流の未来を支える新しい価値が、ここから次々と創造されていくに違いない。数年先を見据えて、企業は今からでも倉庫DXに取り組み、自社の競争力向上と社会課題解決に同時に貢献できる体制を整えていくことが求められるだろう。