ライフが挑む「EC売上100億円」への道――ネットスーパーアプリが変える買い物体験
株式会社ライフコーポレーション（以下、ライフ）は、首都圏と近畿圏で275店舗を展開する地域密着型のスーパーマーケットチェーンです。新型コロナウイルス感染症拡大による生活様式の変化やキャッシュレス推進などを追い風に、EC事業への投資を拡大。その一環として、チェーンストア向けECプラットフォーム「Stailer」を展開する株式会社10Xと連携し、「ライフ ネットスーパーアプリ」を提供開始しました。ライフは、2021年度にEC事業売上100億円を目標に掲げていますが、この新たなサービスがその成長を支える大きな柱になりそうです。
■ EC事業強化の背景
ライフは2019年度のEC事業売上30億円を、2020年度に50億円へ拡大し、さらに2021年度には100億円を目指すと発表しています。近年の消費者の購買行動のオンライン化に対応するだけでなく、新型コロナウイルス感染症拡大を機に進んだ「新しい生活様式」への対応としても、ECの重要性が増しているのです。ライフが運営する「ライフネットスーパー」は、各店舗から商品を出荷する店舗型ネットスーパー事業で、2021年2月時点で61店舗がサービスを提供。実際に2020年度のEC売上高は前年同期比50％増と、大きく成長を遂げています。
さらに、Amazonとも協業を進めており、2019年には「Prime Now」に、2020年11月には「Amazon.co.jp」上にもライフのストアをオープン。東京・神奈川・大阪エリアでのサービス展開を拡充しています。これらの取り組みが総合的にEC事業を押し上げ、ライフの目標である100億円達成を支える原動力となっています。
■ 10Xの「Stailer」との連携
ライフのネットスーパーアプリは、10Xが提供するチェーンストア向けECプラットフォーム「Stailer」を活用して構築されています。「Stailer」はスーパーマーケットやドラッグストアなど多店舗運営を行う流通事業者向けのサービスで、以下のような仕組みを提供します。
1. 消費者向けモバイルアプリ
直感的な操作性と豊富な商品ラインナップを兼ね備え、スピーディかつ便利な購買体験を実現。
2. 店舗向けピック・パック＆在庫管理システム
店舗スタッフがスムーズに商品を準備できるよう、在庫状況やピック作業を最適化。
3. 配送業者向けオペレーティング・システム
受注情報と連動し、顧客へ素早く商品を届けるための流通管理を効率化。
4. 分析ツール
EC事業を継続的に成長させるためのデータ分析機能を搭載。利用状況や購買データを可視化し、販促や商品ラインナップの最適化に活かすことが可能。
すでに「Stailer」はイトーヨーカドーなど他社でも導入実績があり、その効果は折り紙付き。ライフが推進するネットスーパーのスピード感ある立ち上げに大きく貢献しています。
■ 「ライフ ネットスーパーアプリ」の3つの特徴
ライフが新たに打ち出したネットスーパーアプリには、以下の3つの特徴があります。
1. 一覧性の高い売り場
モバイルアプリならではの軽快な操作感で、豊富な品揃えから効率よく商品を検索・購入可能。セール品も手軽にチェックできるため、買い物計画が立てやすい点が魅力です。
2. プライベートブランド商品が充実
「スマイルライフ」「ライフプレミアム」「BIO-RAL」「スターセレクト（ヤオコーとの共同開発）」という4つのプライベートブランドを幅広く取り揃えています。実店舗で人気の高い商品を、自宅から気軽に購入できるのは大きなメリットです。
3. お気に入り商品を保存できる「マイリスト」
よく購入する商品をあらかじめリストに登録しておけば、次回以降はワンタップでカートに追加できるため、日常の買い物時間を大幅に短縮できます。
■ 新たな生活様式に応えるライフのDX戦略
ライフは店舗の地域密着性を強みに、デジタルトランスフォーメーション（DX）を積極的に推し進めています。今回のネットスーパーアプリも、その一環として注目すべき取り組みです。
- • キャッシュレス決済の推進
- • リアル店舗とネットスーパーの連動
- • コロナ禍における新しい生活様式への対応
こうした取り組みにより、単なる店舗型スーパーから、オンラインとオフラインを融合させた総合的な「新しい買い物体験」を提供する企業へと進化を遂げています。
■ おわりに
ライフが目指すEC事業売上100億円への挑戦は、ネットスーパーアプリの充実やAmazonとの連携など多角的な戦略によって着実に前進しています。デジタルとリアル店舗の融合が進む中、買い物体験そのものが大きく変化しつつある今、ライフの取り組みは私たちの日常をさらに便利で豊かなものに変えていくでしょう。