デバイスがあってこそ実現する“真の技術革新”
JECCICAコラム「デバイスあっての技術革新」まとめレポート
先日、一般社団法人ジャパンEコマースコンサルタント協会(JECCICA)のサイトで、「デバイスあっての技術革新 〜見るべきはソフトとハードの両面から〜」というコラムを執筆しました。今回はその概要を145MAGAZINE向けにかいつまんでお話ししながら、私自身が感じたポイントも付け加えてお伝えします。
1.古い工場跡で生み出される最先端テクノロジー
コラムの冒頭では、板橋にある古い工場跡に拠点を構えるロビットという企業を訪れた話から始まります。ここで取り組まれているのは、AIを使った「外観検査」の技術開発です。
• 外観検査とは、製造された製品が不良品かどうか、傷の有無などを確認する工程。
• これまでは熟練の担当者が目とカンを頼りに行ってきたため、労力や人的コストが大きい作業として知られています。
ロビットではAIを活用し、こうした検査をいかに自動化・効率化するかに取り組んでいるのですが、それだけでなく「AI(ソフト)を最大限活かすためのハード」も自社で開発している点が特徴だといいます。
2.ソフトだけでは活きない技術
「AIを導入すれば完結しそうなもの」と思われがちですが、ロビットがこだわっているのは、“検査対象に最適な照明・角度を確保し、正しいデータを機械学習させる”ハードウェアの部分も重要だということ。
• 傷を見やすい角度でライトを当てる装置を製品ごとに作る。
• そのうえでAIの精度を高め、判定ミスを最小限に抑える。
ソフトとハードの両輪が揃ってこそ“AIによる外観検査”が機能するのです。このように、**「技術力」と「ものづくり感覚」**の両面を持つ企業はまだ少ないとのこと。
3.なぜロビットは両方を作れるのか?
コラムによると、ロビット自身が**「メーカーでもある」**という点が大きいそうです。
• 自分たちで製品を作り、現場の課題を肌で感じている。
• 「AIを使えばいい」という発想だけでなく、実際の工場や作業者の声を反映したハードウェアも自社で組み立てる。
こうしてソフトとハードを一体で作り込む姿勢が、他社にはない強みになっているのだといいます。
4.導入する企業側の意識変革もカギ
もちろん、AI外観検査の導入には投資が必要です。しかし不良品が見つかった場合の返品コストやトラブル対応を考えると、最終的には大きな損失を防ぎ、経営の安定に寄与します。
• 個々の作業工程だけを見るのではなく、事業全体を俯瞰して“外観検査の品質向上”の意味を捉える企業も増えつつある。
• そうした前向きな姿勢が、ロビットのような新しいソリューションを受け入れ、さらに発展させていく土台になるのではないでしょうか。
5.145MAGAZINEとしての視点
僕自身、ネット通販やデジタルの取材をしていて、「AIなどのソフト面ばかり注目されがち」と感じることが多いです。しかし、今回のコラム執筆を通じて改めて思ったのは、ソフトが活きるためには、ハードをどう作り、どう組み合わせるかがとても大事だという点です。
• 単に「デジタルシフトしよう」と取り入れても、現場の使い方や環境にマッチしなければ意味がない。
• そこに気付くかどうかが、技術革新を本当の意味で自社の強みとして活かせるかの分かれ道になるでしょう。
6.JECCICAコラムをチェック
ロビットの事例を含め、さらに詳しいエピソードや私の考察については、JECCICA公式サイトのコラムでご紹介しています。興味がある方は、ぜひ以下のリンクから全文をご覧ください。
デバイスあっての技術革新 〜見るべきはソフトとハードの両面から〜
https://jeccica.jp/technological-innovation/
ものづくり視点を持つ企業がAIを導入すると、どう新しいビジネスチャンスが生まれるのか。ぜひ読んでみていただければと思います。
まとめ
• AIの外観検査はソフトだけでなく、ハード(照明角度・検査装置など)も一体的に設計する必要がある。
• ロビットは「製品を作るメーカーとしての知見」も持ち合わせているからこそ、両面をカバーできる。
• 企業が導入するうえでも、“部分最適”だけに目を奪われず、全体コストや将来の生産性を考えた意思決定が欠かせない。
今回の事例は、ハードとソフトがセットになってこそ真の技術革新が起きるという示唆を与えてくれます。デジタルやAIに飛びつくだけでなく、「どう組み合わせ、誰が使うのか」を考える姿勢が、これからのビジネスにはますます重要になるでしょう。