1. HOME
  2. event
  3. 催し
  4. IVS Launchpad SEED 2025 優勝──Lingble 原田真帆人が示した「世界を一つに捉える」海外展開の新常識

IVS Launchpad SEED 2025 優勝──Lingble 原田真帆人が示した「世界を一つに捉える」海外展開の新常識

VS Launchpad SEED──freeeもWantedlyも、ここから始まった。そして今年、その“登竜門”の頂点に立ったのは、Lingble CEO 原田真帆人さんだった。数百社の応募の中で、たった一社だけが勝ち残る舞台。けれど、彼が語った6分間は、驚くほどシンプルだった。海外展開は、登ったことのない山に挑むようなもの。多くのブランドがその“最初のカオス”で足を止める現実。誰もガイドしてくれない世界を、一人で切り開いてきた人間が語る言葉には、余計な脚色がない。

 「世界をバラバラに扱うのではなく、一つの流れとして捉え直す。」その思想を、そのままプロダクトに落とし込み、その思想を、そのままプレゼンに込めた結果としての“優勝”だった。

① 海外展開は、登ったことのない山に挑むようなもの

原田さんは冒頭、こう語った。「海外展開って登ったことのない山を登るようなもの。ワクワクするけど、実際はとにかく大変なんです。」

たった一国で売上を作るだけでも、法務・物流・在庫・返品・CS・通貨対応など10以上の専門チームが必要。本来は大企業にしか持てない体制だ。だから多くの中小ブランドは、最初の“カオス”で挫折する。そのリアルさと体験に基づいた語りは、会場の空気を一気に引きつけた。

② 「優れたガイドがいない」──それがLingble誕生の原点だった

かつて原田さんは、日本デニムEC「DENIMIO」を一人で運営した。世界最大規模に成長させたが、その裏側では深夜3時のチャット対応、法律・返品・トラブル処理などを一人で抱え続けた。

そこで抱いたのが、この疑問だった。

「なぜ、海外展開には優れたガイドが存在しないのか?」

そのフラストレーションこそが Lingble を生んだ。優勝したプレゼンは、この“原点の熱”が土台にある。事業紹介ではなく、「なぜLingbleが必要なのか?」という必然性から入った時点で、他社と明確に違った。

③ 15年の支援でわかった──世界で戦うブランドが必ずぶつかる“二つの壁”

 Lingble はこれまで34カ国でブランドを支援してきた。その中で、規模に関わらずすべての企業がぶつかる壁がある。

壁①:海外認知をつくるのは圧倒的に難しい

最低限の認知だけでも、3年で1億円規模のブランド投資。中小ブランドはスタートラインに立てない。

壁②:売れ始めた瞬間、“ブランドの主導権”を失う

代理店契約が始まると──

  • 国ごとに勝手にECが乱立
  • 価格がバラバラ
  • データが分断
  • ストーリーが歪む

結果、世界展開が極端にスローダウンする。

この“二つの壁”の整理は、審査員に最も刺さった部分だったはず。課題の定義が鋭く、再現性が高い。多くのピッチが“解決策”から入る中、原田さんの構造的な語りは頭ひとつ抜けていた。

④ 解決策:海外運営を“一つの流れ”として扱えるようにする

原田さんの問いはこうだ。「もし小さなチームが、大企業と同じやり方にアクセスできたら?」

その解がまず最初に Lingble Link

Lingble Linkがつくる“一体化した運営フロー”

  • 国内サイト
  • 越境EC
  • 各国EC

これらがすべて ひとつに連結されるわけだ。つまり、代理店はここにログインするだけで、自分が出荷するべき情報だけを正確に見ることができる。しかも、配送会社ともダイレクトに連携している。API連携によって、ここを起点にあらゆる繋がりをシームレスに捉えていくことができる。商品情報、在庫、通貨別のグローバル価格の設定まで一箇所でできる。カスタマーサポートもである。

 ここで原田さんは強調した。「国ごとに分断されていた世界が、初めて“連続性のある運営”になる。」ピッチ会場ではこの一言で、聴衆の姿勢が変わったのを感じるほどだった。

⑤ さらに──“ガイド”の不在を埋めるAI、TSURO-san(ツロウsan)

しかし、インフラだけでは不十分なのだ。新興のブラントにとってはどう戦うかが大事。だから原田さんは、15年間の海外実務データを学習したAIを作った。

TSURO-san の三つの役割

  1. ブランド・マーケティングのコパイロット

  2. オペレーション自動化コパイロット

  3. データクオリティを守るコパイロット

TSURO は、海外展開の現場を理解した“専任ガイド”として機能する。インフラとそれをサポートする環境設計。そこに使われるAI。このAIの説明で、会場の反応は一段階上がった。単なるプラットフォームではなく、思想と実務が統合されたプロダクトであると伝わったからだ。

⑥ そして、審査員を射抜いた“結論”──世界中のトラフィックをひとつの器へ

原田さんが最後に語ったのは、Lingble Link と TSURO-san が組み合わさることで生まれる未来。

「国ごとに別サイトを作るのではなく、世界中から集まるトラフィックを一つの器に集め、中長期の資産としてブランドに残す。」

これは、LVMH や LG などトップブランドがすでに実践している考え方。その“正攻法”を、中小ブランドでも扱えるようにする──。

ここに、IVS Launchpad 審査団が最も強く頷いた理由がある。

⑦ 優勝という結果が示したもの

数百社から選ばれた“優勝”とは、単なる栄誉ではなく、

  • 課題設定の正しさ
  • 解決策の構造性
  • 実務に基づいた信頼性
  • 仕組みと思想の一貫性

このすべてが揃っていることの証明だった。

そして何より、原田さんがこのピッチで語った内容は、彼が15年かけて積み上げてきた“世界の扱い方”そのものだ。だから勝ったのだと思う。

結び

Lingble は、海外展開を“難しい挑戦”ではなく、一本のストーリーとしてつなぎ直す存在になろうとしている。そして今回は、その思想が正式に評価された一日だった。

原田真帆人という男が語った6分間は、これからの日本企業の海外挑戦に、確かに「新しい当たり前」を提示していた。

今日はこの辺で。

Current NEWS

“情報”を追う | 催し