三越伊勢丹 オーダー スーツも スマホ 採寸で実現
オーダースーツといえば、これまでは店舗で採寸するのが一般的でした。しかし近年は、スマートフォンから写真を撮るだけで採寸が完結するサービスが増え、百貨店各社も積極的に取り組みを進めています。そうした時代の変化を象徴するのが、三越伊勢丹による「Hi TAILOR(ハイ・テーラー)」のオーダースーツです。
1. 三越伊勢丹「Hi TAILOR」でオンライン完結
三越伊勢丹は、2020年6月10日より「Hi TAILOR」でオーダースーツの取り扱いを開始しました。同サービスではこれまでシャツのオーダーを扱っていましたが、新たにスーツも追加。ウェブ上だけで自動採寸から生地選定、完成まですべて行えるため、自宅にいながら注文が完了します。
2. 自動採寸で一人ひとりに最適なサイズを提案
「Hi TAILOR」の大きな特徴は、自動採寸です。
- • スマートフォンなどで、正面と側面の写真2枚を撮影。
- • 身長・体重を入力したデータと合わせてクラウド上で約30,000通りのパターンと照合。
- • ジャケットは500種類、パンツは60種類のパターンデータを用意。
これにより、人の手を介さず最適なサイズを提案できます。また、フィット感の好みも選べるので、仕上がりイメージに近いスーツを作りやすい点が魅力です。
3. 豊富な生地とシンプルなカスタマイズ
「Hi TAILOR」では、紺・グレー・黒などスタンダードな色を中心に約90種類の生地から選択できます。さらに、老舗の織物工場・葛利毛織工業社の生地を別注し、品質面にもこだわりを見せています。
カスタマイズでは、ボタンや裏地などのデザインを極端に増やさず、一定の種類に厳選。伝統的なイギリスのテーラーリングをベースにしつつ、堅くなりすぎないスーツを提案しています。
4. オーダー方法は3ステップで完結
1. 商品を作る
- • 約90種類の生地、または4種類のデザイン(THE BASIC / TRAVELER / SENSE / CEREMONY)から選ぶ。
- • 推奨パーツ“Hi TAILOR STANDARD”がセットされているので、そのまま迷わず購入も可能。
2. サイズを決める
- • 身長・体重を入力し、正面と側面の写真を2枚撮影するだけ。
- • その後、好みのフィット感を選び、仕上がりを決定。
3. 商品到着
• 最短3週間で工場から直接手元に届く。
5. 伝統×最新技術で“長く使える一着”を
三越伊勢丹は、長く愛用できるスーツを目指し、バイヤーやベテランスタイリストの知見を生かしてラインナップを厳選。どのスタイルを選んでもきちんと見えるよう、イギリス伝統のテーラーリングをテーマにしつつ、現代らしい軽さも取り入れています。
さらに、スマホを使った自動採寸と手軽なカスタマイズを組み合わせることで、伝統を守りながらも時代に適応する新たな試みに挑戦しているのです。
6. 体型データを活用した“マッチパレット”の開始
三越伊勢丹は、「Hi TAILOR」のほかにも、体型をデジタル計測して似合う洋服を選び出す『マッチパレット』を「伊勢丹新宿店」の婦人服フロアで開始しました。体型ごとに似合う服は異なるため、そこにデジタル技術を組み合わせ、より的確な提案を実現しています。
7. 百貨店の新たなチャレンジ
近年、コナカなどの紳士服店でもイメージを強化する取り組みが広がっているように、顧客の体型や好みに合わせたオーダーサービスは今後ますます増えていくと考えられます。
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その中で、百貨店が大切にしてきた“おもてなし”や“品質へのこだわり”をどう時代に合わせて進化させていくかが大きな課題となります。三越伊勢丹の「Hi TAILOR」や「マッチパレット」は、まさにこの課題に挑戦する試みの一つといえるでしょう。
百貨店が長く培ってきたイズムを尊重しつつ、スマートフォンとデジタル技術を活用して「顧客満足度の向上」と「簡単・便利」を両立させる動きは、これからも拡大していきそうです。