フェリシモ×セイノーHD――シェアリング発想の「置き配」サービスが始動
フェリシモとセイノーホールディングス(以下、セイノーHD)が、新たな「置き配」サービスを発表しました。近年注目を集めているギグワークを物流に組み込み、セイノーHDグループの大規模な輸送網と掛け合わせることで、配送の効率化とコスト削減を実現するというものです。本記事では、この取り組みの狙いや仕組みをわかりやすく解説していきます。
「OCCO(オッコ)」を活用した新発想の置き配サービス
今回のサービスの要となるのが、LOCCO社が提供する「OCCO(オッコ)」という置き配プラットフォームです。ポイントは、「幹線(大規模輸送網)+ギグワーク」というハイブリッドな体制を築いていること。セイノーHDグループの持つ信頼性の高い輸送網を活かしつつ、Uber Eatsなどでも注目されているギグワーカー(空き時間を活用して働く個人)を組み合わせることで、柔軟かつ効率的な最後の一手(ラストワンマイル)を実現しようとしています。
どのように荷物を届けるのか?
1. セイノーHDの物流拠点を活用
セイノーHDは全国に多数の拠点を持っています。そこで時間に余裕がある配送業者などが荷物を集荷し、まずは幹線輸送で各地域の拠点へと送ります。
2. ギグワーカーによる最終配達
地域拠点に届いた荷物を、今度はギグワーカーや地域の配送パートナーが受け取り、最後の配達を担当。いわゆる“ラストワンマイル”部分を柔軟に補うことで、人材不足を補完し、コストの最適化を図ります。
3. 最終的には置き配で完了
ギグワーカーや配送パートナーは、受取人が希望する場所に荷物を置いて配達を完了します。対面受け取り不要の置き配は、受け取り手の都合に合わせられるため、利用者にとっても便利です。
なぜフェリシモが関わるのか?
通販の老舗であるフェリシモは、すでに大規模な顧客基盤と物流を抱えています。そこに「幹線×ギグワーク」を組み合わせた新しい置き配サービスを導入することで、以下の効果が期待できます。
• コスト削減
2019年末にフェリシモ会員を対象とした都内での実証実験では、物流コストが10%以上削減できることが証明されました。
• 顧客満足度向上
好きな場所・時間帯に応じて、置き配で受け取れるため受取がスムーズになります。これにより、再配達などの手間を減らし、利用者の利便性を高めることができます。
連携強化とギグワーカーのネットワーク拡充
• リビングプロシードの傘下入り
ラストワンマイル部分をより強化するために、セイノーHDはフリーペーパーの配布を主事業とするリビングプロシード社をグループに迎える予定です。約10,000名の配布員(=ギグワーカー)を「OCCO」とつなぎ、さらに柔軟な配達体制を築き上げます。
• 幅広い企業の参加によるシェアリング
「誰もが参加できるLCC(ローコストキャリア)宅配ネットワーク」を掲げ、荷主や幹線輸送会社、ギグワーカーがフラットにつながる仕組みを目指しています。これにより、企業ごとのリソースを超えた柔軟な連携が可能になり、最終的には顧客満足度の向上につながります。
おわりに
企業間のシナジーとテクノロジーを活用することで、従来の“企業から企業”への物流(BtoB)だけでなく、“企業から人”への物流(BtoC)を第三の物流として捉え直し、新たな仕組みを構築しているのが今回の取り組みのポイントです。フェリシモやセイノーHD、各パートナー企業が持つ強みを持ち寄ることで、消費者にとってより便利でコストも抑えられたサービスが生まれています。今後、実用化が広がるにつれ、私たちの荷物受け取りのスタイルが大きく変わっていくかもしれません。今後の展開からも目が離せない注目のサービスです。