ユニクロ、過去最高の上期業績を達成──2025年8月期 上期決算を読み解く
ユニクロを展開するファーストリテイリングが、2025年8月期の上期(2024年9月〜2025年2月)の決算を発表しました。国内・海外ユニクロ事業の伸長が牽引し、売上・利益ともに過去最高を記録しました。ここでは、上期の成果、各事業の状況、通期見通しまでを丁寧に読み解き、今後の展望に迫ります。
1:上期決算は売上・利益ともに過去最高を記録
2025年8月期・上期の連結売上収益は1兆7,901億円(前年同期比+12.0%)、事業利益は3,016億円(+20.1%)と、大幅な増収増益を記録しました 。
売上総利益率は53.3%(+0.4pt)に改善。販管費率は36.5%(-0.7pt)と効率化が進みました。特に国内ユニクロ、東南アジア・欧州・北米での伸長が大きな要因です。
親会社の所有者に帰属する中間利益も2,335億円(+19.2%)となり、好業績を裏付けています。
2:国内ユニクロが絶好調。ECも堅調に成長
国内ユニクロ事業は、売上収益が5,415億円(+11.6%)、事業利益が**975億円(+27.7%)**と過去最高を更新 。
ヒートテックやパフテック、ダウン商品が好調で、気温に合わせた在庫投入と販促が功を奏しました。インバウンド需要の回復も寄与し、EC売上も**824億円(+10.9%)と二桁成長。3月の既存店売上は+11.5%**と快調でした。
3:海外ユニクロは欧米・東南アジアが牽引。中国は変革期
海外ユニクロは売上1兆141億円(+14.7%)、事業利益**1,695億円(+13.0%)**と堅調に推移 。
- 北米:+25%超の増収増益。店舗とEC双方で伸び、シームレスダウンなどが好調。物流の自動化による効率化も進展。
- 欧州:約3割の増収でコア商品の再評価が進行。ただし輸送費高騰により粗利率がやや低下。
- 東南アジア・インド・豪州:通年商品や冬物需要に応え、大幅増収増益。常夏地域にも適した商品設計が功を奏する。
- 中国大陸:売上約4%減、営業利益約11%減と苦戦中。気候差に対応できなかった点と、消費マインド低下が要因です。
4:ジーユーは変革期。事業利益は二桁減
ジーユー事業は、売上収益が1,658億円(+3.9%)と増収した一方で、事業利益は131億円(-13.3%)と減益 。
ヒット商品の欠品や、トレンド商品の不在が響きました。販管費率は+1.4ptと上昇。2025年4月には黒瀬友和氏が社長に就任し、「ユニクロ的経営知」を導入し再構築中です。
5:通期予想も上方修正。関税や為替の影響は注視
通期の連結売上収益は3兆4,000億円(前期比+9.5%)を予想し、事業利益も5,400億円(+11.3%)と、いずれも過去最高を見込んでいます 。
ただし下期には、米国の関税影響(事業利益へのマイナス2〜3%)、為替の変動など不確定要素も。グローバルでのSKU管理・人材育成を課題に掲げ、「価値を売る商売」への再構築を強めていくとしています。
締めの言葉
2025年上期の決算から見えるのは、単なる売上の伸びではなく、「地域別最適化」と「商売の本質」の両立を目指す姿勢です。後半戦に向けて、各事業の課題をどう乗り越えるかに注目が集まります。
今日はこの辺で。