コロナ禍で試される地方の主体性
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外出自粛や観光客の激減など、地方を取り巻く状況は非常に厳しいものとなっています。しかし、そこでただ「助けてください」と嘆くだけではなく、当事者が自ら状況を打開しようとする姿こそが、新たな未来を切り拓くのではないでしょうか。本稿では、北海道のふるさと納税をめぐる取り組みを中心に、その主体性について考えてみたいと思います。
北海道・網走市の事例:飲食店と水産加工会社の連携
ふるさと納税を活用した挑戦
北海道・網走市の水産加工会社である牛渡水産は、市内の飲食店から観光客減少による売上の落ち込みを聞き、何とか状況を好転させようと行動を起こしました。具体的には、地元飲食店の味を詰め合わせたお礼品を新たにふるさと納税に登録し、全国の方々に網走市の「食の魅力」を届けようとしたのです。
飲食店の取りまとめ役として
牛渡水産は、ふるさと納税の商品発送などのノウハウをほかの飲食店に共有し、普段はふるさと納税に関わる機会のない店舗でも、手軽に出品できる仕組みを整えました。現在は8店舗が参加し、居酒屋や寿司屋、肉料理店など多彩な業種が一堂に会するプロジェクトとして広がっています。
消費者の「応援」「支援」意識の高まり
「さとふる」によると、2020年3月から5月にかけて、“応援”や“支援”という言葉がタイトルに入ったお礼品が約24倍に増加したそうです。各地の生産者や飲食店が自ら挑戦している姿が、多くの人の心を動かし、寄付や購入といった形で支援につながっているのです。
未来への展望:パンフレット同封の狙い
牛渡水産をはじめとする飲食店は、商品の発送時に網走市を紹介するパンフレットを同封する計画も進めています。味を通して網走のファンになってもらうだけでなく、将来的には実際に足を運んでもらうことを目指しているのです。コロナ禍が収束した後も、新たな観光需要の呼び水となる可能性があります。
「助けてください」ではなく、自ら強くなる
こうした網走市の事例から見えてくるのは、“行動する”ことの大切さです。受け身になってしまうと、「次」も「その次」も状況を変えられないまま終わってしまいます。自らが動き、強くなる意志を持たなければ、新しい道は切り開けないのではないでしょうか。
過去の事例:銚子電鉄が示した底力
かつて、千葉県の銚子電鉄は経営危機に瀕し、倒産寸前とまで言われました。しかし、そこでただ支援を求めるのではなく、鉄道会社なのに“ぬれ煎餅”を売って収益を生み出すというユニークな戦略を打ち立てました。その必死の取り組みが地元やメディアの注目を集め、さらに支援の輪が広がる好循環を生んだのです。
失敗を恐れず、次のアクションへ
新型コロナウイルスの影響で、思い通りにならないことは増えています。しかし、成功は失敗なくして得られないとも言います。大切なのは、自分たちで状況を分析し、考え、そして行動を起こすこと。困難を乗り越えるには、自ら強くなるしかありません。行動を起こすことで初めて、周囲の応援やチャンスが舞い込んでくるからです。
結び
コロナ禍は厳しい現実を突きつけていますが、網走市のふるさと納税や銚子電鉄の例が示すように、当事者が主体的に動き、工夫し、挑戦する姿こそが、未来を切り拓いていくのではないでしょうか。その一歩を応援することで、地域が持つ本来の力をさらに引き出し、多くの人の心を動かす可能性が広がっていくはずです。