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イオン 2026年2月期・第2四半期(中間期)決算まとめ—— 営業収益・営業利益が中間期で過去最高。トップバリュ拡販とDXで収益性が向上

イオンは2026年2月期第2四半期(2025年3月〜8月)の連結決算を発表。営業収益は5兆1,899億円(前年比+3.8%)、営業利益は1,181億円(+19.8%)と、いずれも中間期として過去最高を更新しました。猛暑商戦や「トップバリュ」の拡販、価格戦略の見直しに加え、店舗DXと経費構造改革が奏功した形です。

連結ハイライト:最高売上・最高営業益を更新

  • 期間:2026年2月期 第2四半期(6カ月累計)
  • 営業収益:5兆1,899億円(+1,905億円/+3.8%)
  • 営業利益:1,181億円(+195億円/+19.8%)
  • 経常利益:1,064億円(+166億円/+18.5%)
  • 親会社株主に帰属する中間純利益:40億円(+9.1%)

物価高環境でのPB拡販や「涼感提案」が増収に寄与したほか、価格戦略と店舗DXによる人時生産性の改善で収益性が向上したことが明記されています。

過去5年の中間期推移:売上は5期連続で最高、利益も回復基調

営業収益が5期連続で最高を更新(5兆円超)。営業利益も2期ぶりに過去最高を更新しました。親会社株主に帰属する中間純利益は、前四半期の赤字から黒字に転換し、前年の37億円から40億円へ増益です。

セグメント別:増収は全セグメント、利益はGMS改善と4部門の二桁増益が牽引

全ての報告セグメントで増収。利益面ではGMS(総合スーパー)が営業損失を大幅に縮小(-2億円、前年から+80億円)し、SM(スーパーマーケット、129億円、+28億円/+28.0%)、ヘルス&ウエルネス(227億円、+42億円/+22.8%)、ディベロッパー(328億円、+55億円/+20.1%)、サービス・専門店(168億円、+24億円/+16.7%)がいずれも二桁増益で全社の最高益更新に貢献しました。総合金融は269億円(-5億円)、DS(ディスカウント)は36億円(-2億円)、国際は48億円(小幅減)です。

需要を掴んだ「トップバリュ」:グループ売上+11.7%

物価高で節約志向が高まる中、価格訴求型「ベストプライス」を中心にPB「トップバリュ」の拡販を強化。またグループ売上が前年同期比111.7%。事業別ではGMS108.5%、SM111.9%、DS119.2%、ヘルス&ウエルネス120.3%と、広範に伸長しています。カテゴリー別でも価格訴求領域が二桁増と、増収・荒利率改善に寄与しました。

主要セグメント詳報

GMS(総合スーパー):DXと経費改革で大幅改善

店舗DX(セルフレジ・電子棚札・AIオーダー等)で人時生産性が向上し、営業損失を大きく縮小。法人別ではイオンリテール、イオン九州、キャンドゥなどが改善に寄与。既存店は食品が堅調で、非食品も専門店化などで強化が続きます。

SM(スーパーマーケット):129億円、二桁増益

トップバリュ拡販、KVIの価格訴求、DXによる生産性向上が奏功。まいばすけっとは1,262店まで拡大(8月末)し都市部の支持を拡大。法人別ではU.S.M.Hやミニストップなどの動きが示されています。

DS(ディスカウント):増収も投資コストで減益

既存店売上・客数は堅調で、前年同期比106.3%の増収。ただし成長投資に伴う一時費用増で営業利益は36億円(前年から-2億円)。下期はPB拡販とオペ効率化で巻き返しを図ります。

ヘルス&ウエルネス:二桁増益、調剤も好調

ウエルシアHDは食品が牽引し物販が伸長、調剤の処方箋受付も増加。品目別では食品+9.6%、調剤+11.2%などが目立ち、セグメント利益は227億円(+42億円)に拡大。

総合金融:取扱高・債権残高は拡大、利益は微減

国内外のショッピング・キャッシングとも残高は拡大。マレー圏の債権残高拡大に伴う費用増などで営業利益は269億円(-5億円)。AEON Pay会員は期首から132万人増の948万人に。

ディベロッパー(イオンモール):国内外で堅調、過去最高を更新

営業収益・営業利益・経常利益が過去最高。国内は猛暑の「涼感スポット」施策やインバウンド(免税売上は前年の約1.5倍)が寄与。中国・アセアンでも専門店売上が堅調で、歩合賃料が増えています。

サービス・専門店:映画・屋内遊戯が好調で増益

イオンディライトは省エネ関連・改装工事の受注拡大、イオンエンターテイメントはヒット作で動員増、イオンファンタジーは猛暑で屋内需要が増加。セグメント利益は168億円(+24億円)。

国際:ベトナムが増益、マレーシアは費用増で横ばい

イオンベトナムは経済成長を背景に既存・新店とも堅調。マレーシアは販促強化で増収も投資・活性化費用で利益は横ばい。中国は消費マインド低調ながら湖北で増益確保。

通期見通し:営業利益2,700億円(+13.6%)を計画

2025年度(通期)は、営業収益10兆5,000億円(+3.6%)、営業利益2,700億円(+13.6%)、経常利益2,500億円(+11.5%)、当期純利益400億円(+47.2%)を予想。中間期の進捗率は営業収益49.4%、営業利益43.7%。下期はPB中心の価格戦略、DXによる生産性向上、経費改革を加速します。

財政状態(8月末時点の抜粋)

  • 現預金:1兆3,605億円(前期末比+1,021億円)
  • 受取手形・売掛金:2兆402億円(+1,844億円)
  • 有利子負債(金融子会社除く):2兆5,979億円(+623億円)
  • 銀行業における預金:5兆5,054億円(+3,084億円)

発表の貸借対照表ダイジェストから、運転資本・有形固定資産ともに伸長しており、事業投資・金融子会社の残高拡大の双方が見て取れます。

配当と株式分割:年41円(見込み、分割考慮なしベース)へ増配

2025年9月1日に1株→3株の株式分割を実施。分割前基準の中間配当は20円、期末は7円を予定。分割非考慮ベースでは期末21円、年間41円(前年+1円)の見込みです。

まとめ:PB×DX×経費改革で“質の成長”が鮮明に

中間期は、①トップバリュの存在感、②店舗DXの浸透、③経費構造改革の継続、の三点が数字に表れました。GMSの赤字大幅縮小とモール・H&Wの二桁増益が組み合わさり、全社の最高益更新を後押し。下期は投資コストを吸収しつつ、PBと生産性でどこまで稼ぐ体質を高められるかが焦点です。

 

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